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2006_U21_韓国vs日本・・後半10分あたりの「分岐点」・・やはりゲームこそが最良の学習&発展機会・・(韓国vs日本、1-1)・・(2006年11月14日、火曜日)

本当にこんなに大きな実力差があるのだろうか・・。押されつづける日本代表を観察しながら、そんなことを思っていました。個々のチカラの差!? そしてそれを基盤にしたチーム力の差!? そうかな〜・・本当にそんなに大きな差があるのかな〜〜。

 たしかに前半でのグラウンド上の現象はジリ貧でしたよ。全体的にゲームを支配され、次の攻撃でも味方が押し上げられない。これでは、孤立するカレン・ロバートが、2-3人の韓国ディフェンダーに取り囲まれて潰されてしまうのも道理。そして、再び攻め立てられる。でも「攻め込まれる」とか「押し込まれる」なんていう表現に当てはまる展開は、立ち上がり10分くらいまでだったよね。それ以降は、日本の守備ブロックも、しっかりと局面勝負で頑張れていましたよ。だから、ウラのスペースを突かれるといった、無様に崩されたシーンはほとんどなかった。まあ、後方からの直線ドリブルで2-3人が置き去りにされたり、高い位置でボールをかっさらわれてそのまま攻め込まれたなんていうシーンはあったけれど・・。

 とにかく前半は、「このゲームは一体どうなってしまうんだ・・」といった展開だったよね。日本が、自分たちの意志(イメージ)を主体にした仕掛けを繰り出せたのは、前半25分の、谷口からカレン・ロバートへのスルーパスが出されたシーンが最初だったからね。

 その試合での日本代表は、これまで出場したことのない選手が多く、チームとしての「攻守のイメージ・シンクロ・レベル」が十分ではなかったという側面もあったと思いますよ。何をやったらいいのか分からず、(ボールがないところで)様子見でオタオタしているといった印象だったからね。もちろん局面での勝負では、そこそこの内容は魅せていた。だからこそ、「ホントにこんなに大きな差があるの?」っちゅう疑問にぶつかったわけです。

 そんな展開フローを逆流させるためには、もう何といっても、(前から)ガンガンのプレッシング守備を仕掛けていくしかない。もちろん、人を抑える「マン・オリエンテッド」なプレッシング。韓国プレイヤーが一人として「フリーで」ボールを持つことが出来ない状況を作り出し、そしてその状態を維持するのですよ。そう、それまで日本がやり込められていたのと逆の状況を演出するのです。でも、それに必要な「心理ダイナミズム」を創造できるだけのリーダーシップが見あたらない・・。

 後半も、まさに同じような展開でゲームが立ち上がりました。でもね、「こりゃダメだ・・」と、半ば諦めかけていた後半10分あたりのことです。どんな背景要因がそこにあったのかは分からなかったけれど、急に、日本代表の攻守にわたるプレーが活性化していったのですよ。こんな風にネ・・

 ・・ボール奪取勝負までの様々なディフェンスプレーが有機的に連鎖しはじめる・・チェイス&チェックから、トラップの瞬間を狙ったアタックやインターセプト、ボールがないところでの忠実なマーク、そしてパワーが倍増したボール奪取勝負・・そんな守備でのエネルギーの噴出が、次の攻撃パワーを高揚させないはずがない・・そしてゲームが格段にエキサイティングな内容へと変容していく・・ってな具合。

 そんな「逆流現象」をみながら、ちょっと考え込んでいた湯浅でした。そこに至った一番の要因は? 選手たちが、「ふざけるなヨ!!」と吹っ切れた!? 何が原因か分からなかったけれど、まあ、そういうことなんだろうね。後半11分の組織的な攻めでは、この試合では初めて、本格的な勢いが感じられる仕掛けが見られたわけだけれど、それをキッカケに、攻守にわたる日本代表のサッカーが格段に活性化していく・・。

 相手のプレッシャーが弱くなったから? それとも、日本の動きが良くなったから? さて・・。まあ、それらが、錯綜しながら(相互に影響を与えながら)同時平行で進行していたということなんだろうね。そこでの日本の高揚プロセスは、こんな感じかな・・

 ・・それまでの韓国守備ブロックは、簡単に(ボール奪取勝負)のターゲットを絞り込めていたけれど、急激に、日本選手たちのサポートの動き(ボールがないところでの動き=フリーランニング)が活性化したことで、守備のイメージが大きく分散させられはじめた・・そして日本代表が、人とボールをうまく動かせるようになる・・そんな組織プレーコンテンツの高揚にともなって、トラップ&コントロールや実効キープ、はたまた勝負ドリブルなど、組織プレーのなかにミックスされる個の勝負プレーも、面白いようにうまく機能するようになっていく・・。

 後半10分あたりの分岐点・・。それを正確に分析するのは難しい。やはり、グラウンド上の当事者(選手)が一番よく感じているはずだよね。このポイントについては、機会があったら是非選手に聞いてみたいね。

 ゲームのなかで大きく成長した「U21」。もちろん「その現象」のもっとも重要なバックボーンは、攻守にわたる主体的なリスクチャレンジだったことは言うまでもありません。(勝負の)ゲームこそが最良の学習機会であり、そこにこそ(そこにしか)発展のチャンスは潜んでいない・・のです。

 




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