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2006_U21_日本vsパキスタン・・脅威と機会は表裏一体・・(日本vsパキスタン、3-2)・・(2006年11月30日、木曜日)

やっぱり、世界的な情報化が進んでいるということなんだろうな・・。試合を観ながら、そんなことを思っていました。

 世界ランキングでは、40位代半ばの日本と、160位代のパキスタン。以前だったら、圧倒的な差で日本が大勝したはずなのに、それが、皆さんもご覧になったような辛勝。それも、最後の時間帯での日本代表は、同点に追いつかれたくないという心理がミエミエの落ち着きのないサッカーに陥ってしまった。先日は、韓国を相手に、あれほど内容のあるサッカーを展開した日本代表だったのに・・。

 私は、世界ランキングが「数字的に表現する差」が、世界的な情報化によって大きく縮まっていると思うのですよ。要は、選手たちのイメージトレーニング素材が豊富になっているということです。それに加え、(世界的な情報化と国際化をバックボーンに!)コーチのウデも上がっていることで、攻守にわたる「ボールがないところで勝負が決まる」という戦術的なメカニズムに対する理解も大きく促進されている。情報化による「ビジュアル・イメージトレーニング素材」が、正しく処理され、効果的に活用されているということです。

 もちろん、世界ランキングのトップ20との「最後の僅差」は、まだ厳然と存在している。攻守にわたる、身体的、技術的、戦術的、心理・精神的な「ほんの小さなコト」の積み重ねとも表現できる最後の僅差。ある程度のレベルまでは、本当にスムーズに進化していけるけれど、その最後の僅差を突破するためには、大変な努力が必要になってくるから容易ではない。そこでは、社会文化といった「アン・コントローラブル」な要素も大きく関わってくるからね。

 ということで、パキスタンの監督さんは優秀。人とボールを、素早く、広く動かそうという組織サッカーを志向する日本に対し、「そのプレーイメージを正確にトレース」するパキスタン守備陣なのです。単に人数を増やし、受け身のリアクションディフェンスを展開するというわけではなく、追い込みアクションと(予測ベースの)ボール奪取勝負アクションを、しっかりと有機的に連鎖させつづけるパキスタンといったところ。そのレベルまで選手たちのイメージを統一できたのは、まさにコーチのウデ以外の何ものでもありませんでした。

 もっと日本は、攻撃に変化をつけるべきだったよね。ショートパスを確実につなぐポゼッションは、あくまでも「次の爆発」のための準備だからね。そうあるべきなのに、導火線が湿って、途中で火が消えちゃうような仕掛けでは、パキスタン守備陣にとっても、まったく怖くない。何せ、いつも自分たちが前を向いた先で(背後ではなく、自分たちの眼前ゾーンで!)ボールが展開されているんだからね。

 日本がチャンスらしい雰囲気を醸し(かもし)出せていたのは、大きなサイドチェンジとか、ロングパスを効果的に使えたシーンがメインでした。右サイドで、ショート&ショートでボールをキープし(パキスタンの視線と意識を引きつけ)、次の瞬間に、逆サイドの決定的スペースへ飛び出していく増田誓志や青木敏弘、はたまた谷口博之へのロングパスが決まる・・なんていうシーン。

 日本が挙げた2点目のシーンは、そんな「変化」という視点でも素晴らしいゴールでした。最後尾で、確実な横パスをつなぐ・・相手の意識と視線がボールを追う・・その次の瞬間、パキスタン最終ラインの背後に広がる決定的スペースへ向けて、素早いタイミングでロングパスが出される・・そのパスをイメージし、ベストタイミングで飛び出すカレン・ロバート・・同時に、中央ゾーンでも、3人の日本人選手がパキスタンゴールへ飛び出していく・・そしてカレンから、飛び込んだ谷口へラストクロスがピタリと合わせられた・・。

 日本は、もっと「ショート・ショート・ロング」といった(仕掛けリズムに対する)イメージトレーニングを積まなければならないのかもしれない。もちろん、そのリズムばかりじゃ、ステレオタイプになってしまうから、あくまでもイメージだけれどね。

 そのためにも、最前線は、常にウラの決定的スペースへの飛び出しを狙っていなければならないのですよ。ドカン!という爆発音がするくらいに強烈な「飛び出しアクション」。パスがこなかったり、パスのタイミングが合わなくても、何事もなかったように全力で戻り、そこで(ボールのタテ方向の動きを誘発するパスターゲットとして!)鋭いタテの動きを繰り返しながら、勝負の爆発(タテへ抜け出す動き)を狙いつづける・・。それがあってはじめて、ボールの動きが活性化されるのですよ。それが、最前線のフタが・・。あっと、ここでは(まだ)そのことに触れるのは止めよう。

 守備の重鎮、青山直晃がケガで交代。また中盤ディフェンスの重鎮、青山敏弘もイエロー二枚で退場。次のシリア戦は(日本戦の後に行われた北朝鮮対シリアは、0-0の引き分け!)、そんな厳しい状況で臨まなければならないわけだけれど、優秀な反町監督のことだから、必ず良いフォームでチームをグラウンドへ送り出してくれるでしょう。脅威と機会は表裏一体・・なのです。

 




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