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2006_ワールドカップ日記・・こんなモヤモヤした内容の試合を観るのは久しぶり(日本対クロアチア、0-0)・・(2006年6月18日、日曜日)

イライラ・・モヤモヤ・・イライラ・・モヤモヤ・・イラモヤ・・。重い足かせを縛り付けられているような鈍重な情緒。どうも、書き出すためのモティベーションも沸いてこないという体たらくなのですよ。ということで、まず、ニュールンベルクから、予約していたフランクフルトのホテルまでクルマを飛ばすことにした次第。

 ということで、先ほどフランクフルトに到着したのですが、既に2230時を回っています。フ〜〜ッ。ニュールンベルクのメディアセンターで、ブラジル対オーストラリアの素晴らしいエキサイティングマッチを観てから出発したのですが、結局フランクフルトに到着するまで2時間30分も掛かってしまったのですよ。ニュールンベルクからフランクフルトまでは約220キロ。普通だったら1時間半で楽に到着する距離なのです。ところが今日は、日曜日ということもあって、行楽帰りのクルマで道路が混んでいた。また10キロもの渋滞にもはまってしまった。どうもついていない。

 さて、とにかく印象だけでも書き残しておかなければなりませんよね。まとめると、こんな感じですかね・・たしかにゴールチャンスは作り出したし、「勝負」という視点では勝てるチャンスは十分にあった・・でも、ゲームの流れのなかで作り出されたチャンスの「量と質」では、明らかにクロアチアに軍配が上がる・・。要は、ゲーム内容だけだったら、確実にクロアチアの判定勝ちだったということです。クラニチャール監督も、「この試合の勝ち点をどのように考えるか・・?」と聞かれ、即座に「勝ち点2を失ったと考える」と答えていました。

 まあ、そういうことだよね。コンビネーションからのフリーシュート、クロスからの絶対的なヘディングシュート、可能性の高い中距離シュート、そしてPK・・。それら全てで、クロアチアにツキがなかったとしか言いようがない。たしかに「数字的」には、枠内シュートの数で、日本よりも「一本」多いだけだけれど、実際のシュートチャンスのコンテンツでは、完全に日本を凌駕していたということです。

 日本が作り出したチャンスは、前半と後半に中田英寿が放った中距離シュートと小笠原の中距離シュート、そして前後半に一度ずつあった、加地を仕掛け人にした絶対的チャンスチャンスメイクシーン。特に、前半18分に加地が送り込んだグラウンダークロスのシーンでは、誰もが日本の先制ゴールを確信したに違いありません。でも、(たぶん2番のシュルナだったと思うけれど)全力で戻ったクロアチア選手が、ギリギリのところで小笠原に身体を預けて阻止したのです。とにかく素晴らしいとしか表現のしようがない、ボールがないところでの忠実なディフェンスでした。

 そのシーンを見ながら、シュルナは、無意識レベルの(自動的な)反応で小笠原のマークへ急行したに違いないと確信していました。フットボールネーションでは、ボールがないところで勝負が決まるというメカニズムを子供の頃からたたき込みます。それも、自分が犯したミスを、何度でも、強烈な刺激とともに(自己責任ベースで)意識させるのです。そこで妥協することは決してありません。だからこそ彼らは、ボールがないところでのプレーでミスを犯さなくなるし、自動的に身体が動くレベルまで勝負イメージを高揚させられるのです。

 ボールがないところでのマーキングや、攻撃でのフリーランニング(クリエイティブなムダ走り)など。そんな汗かきのアクションをサボったり、気づかなかったり、遅れたりした場合、必ずコーチはプレーを止め、何らかの「刺激」とともに、そのことを選手に「意識」させます。そんな厳しいプロセスの積み重ねこそが、攻守にわたるボールがないところでのアクションの「量と質」を発展させ、オートマティゼーションの(考える前に身体が動くという)レベルを高揚させるというわけです。

 ところで、この試合で、中田英寿が「MVP」に選ばれました。彼の攻守にわたるプレーコンテンツからすれば、当然の正当報酬だと思います。嬉しい限りじゃありませんか。ボール絡みのプレーだけではなく、彼ほど、ボールのないところでも、攻守にわたってチームに貢献していた選手はいませんでしたからね。

 その中田が、しっかりとした口調で、こんなニュアンスのことを言っていました。「前半は、しっかりとボールを回して組み立てることが出来た・・でも後半は、ボールをキープさせられていたという印象もある・・それでも、ロングシュートなど、この試合での狙いはある程度は達成できたと思う・・とにかく勝てるゲームだったから残念・・悔いが残る・・」。

 まあ、そういうことだよね。「勝負」という視点では、オーストラリア戦と同様に、たしかに「勝てるチャンス」は十分にあったからね。彼自身も何本か惜しいシュートを放ったから、その実感がより強いということなのでしょう。だから悔しい。前向きで健全な感覚じゃありませんか。そして、「ブラジル戦については、とにかく勝つことしか考えていない」とコメントの最後を結ぶ。まあ、大したものだ。

 ちょっと、私のスピリチュアルエネルギーが底を尽きそうだから、とにかく言いたいことを簡単にまとめます。

 前述した、攻守にわたるボールがないところでのプレーに対する感覚を研ぎ澄ますというテーマ。それは、ユースの頃から、徹底して「意識」させなければいけません。もちろん「自己責任ベース」でミスの責任を追及する。そんな厳しさがあってはじめて、刺激ベースの効果的な学習機会になるものです。そして、そんな冷や汗が出るような体感を積み重ねることでのみ、攻守にわたるボールがないところでのプレーの実効レベルを高揚させられるというわけです。

 このことについてしつこく書いているのは、たしかに暑かったことで両チームともに全体的な運動量は少なかったけれど、ココゾの勝負シーンでのボールがないところでのアクションの量と質では、確実にクロアチアに軍配が上がるからです。それこそが、チャンスの「質の差」のベースにあったのですよ。スルーパスのチャンスなのに、爆発ダッシュが出てこない。決定的スペースがあるのに、足許でパスをもらおうとする。日本チームでは、そんなプレーばかりが目立っていましたからね。

 もう限界。やっぱり「あの渋滞」が堪えた・・。最後に、宮本恒靖が、次のブラジル戦を「累積」で出場停止になることについて一言だけ。それに対するソルーション(解決法)は、もうこれしかない! 稲本か福西を、最終ラインのリーダーにするのです。彼らならば、確実にその任をこなせるに違いありません。そして最後の最後に一言だけ問題発言を。本当に、最終戦が「消化試合」にならなくてよかった・・。
 



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