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2006_ワールドカップ日記・・まずEグループから・・世代交代という興味深いテーマ・・そして最後のジーコジャパンレポート・・(2006年6月22日、木曜日)

予選Eグルーブの最終節は、本物の勝負になりました。4チームすべてに決勝トーナメント進出の可能性が残されている。まさに、これこそがリーグ戦最終日の醍醐味っちゅうことになったわけです。

 私が観戦しているのは、もちろんイタリア対チェコ。チェコよりもイタリアの方が、ちょっとだけ「失うモノ」が多いかもしれないという心理シチュエーション。ということで、チェコが主導権を握り、イタリアがカウンターや(トップ選手の一瞬のタテへの抜けだしと正確にシンクロする!)一発ロングパス、はたまたセットプレーゴールを狙うという展開になるのは自然な流れでした。もちろん「それ」は、イタリアのツボ。そんな展開のなか、もう一つの試合、ガーナ対USAで、ガーナが先制したという情報が流れてくる。そして前半26分には、まさにイメージ通りに、トッティーのコーナーキックをマテラッツィーがヘディング一閃。さて・・

 その後(前半ロスタイムに)、チェコのポーラックが、二枚目のイエローで退場になってしまう。これでイタリアは断然有利になった。もちろんそれは「試合巧者のイタリアだから」という発想がベースです。彼らだったら、一人多いというアドバンテージを上手く(狡猾に)活用し切ってしまうでしょうからね。一点を追いかけるチェコが、タテのバランスを崩してまでも攻め上がってくる・・そのスキを突いたイタリアが、蜂の一刺しカウンターを見舞う・・ってな具合。そして、まさにその通りの展開になったというわけです。

 イタリアは、自分たちが一人多く、相手がガンガン攻め上がってくる状況を明確にイメージしていたということです。そして一人の選手を、攻守での勝負所にファジーに絡んでいくというイメージを与える。守備では、協力プレスへの絡みを主にイメージし、攻撃では、カウンターの中継や、その選手が真っ先に決定的スペースへ飛び出す・・ってなイメージ。たしかに狡猾な試合巧者だよな。

 まあ、前半の試合内容にしても、チェコに「往年の組織プレーパワー」が備わっていないことは明白だったからね。そのことは、第二試合のガーナ戦にも言えた。チームとしての彼らのハイライトは、2004年のヨーロッパ選手権だったということですかね。私がイメージする主力選手が少しでも欠けたら、急にチームの機能性が大幅に減退してしまうのですよ。この試合では、まあ、コレルとガラセク、ハインツェといったところですかね。またネドビェドやポボルスキーも、明らかにチカラが落ちている(特に、動きの量と質が減退)。まあ、仕方ない。

 これでチェコの一時代が終わったわけだけれど、次に彼ら(チェコ代表)が再び世界の脚光を浴びるまでにどのくらいの時間がかかるのだろうか・・。世代交代こそが、フットボールネーションとしての総体的なチカラを測るバロメーターですからね。日本は、中田英寿も含めて(物理的な部分だけじゃなく、心理・精神的な要素も含めて!)、まだまだ全然大丈夫だけれど、南アフリカWCあたりから、もっと若手がうまくミックスしてこないとネ。世代間の「ストラグル」も含め、とにかく世代交代ほど、様々な興味深い動きを内包しているテーマはないということです。

 ところで世代交代。その点ではブラジルにかなう国はない。とにかく、次から次へとタレントが発掘され、淘汰され、上澄みがどんどんと大きく育ってヨーロッパで組織プレーをたたき込まれる。もちろんそれは、絶対的なサッカー人口が多いからに他なりません。また、人種のサラダボールという側面も無視できません。とにかく、文化的な側面も含め、様々な「異なったモノ」が混成された場合、基本的には「より強いモノ」なるという原則があるのです。少なくともサッカーにおいては・・。

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 さて、そのブラジルと日本とのリーグ最終戦。ご覧になったとおり、すべての面で大きな差を見せつけられてしまいました。それも、メンバーを落としたブラジルであるにもかかわらず。これは一朝一夕に埋まる差ではありません。私は、これだけ完璧に叩きのめされたこともあったから、まあ、スッキリとしていますよ。

 とはいっても、オーストラリアやクロアチアは、そのブラジルと、「本当の意味で互角」のサッカーを展開した時間帯もあったわけです。「互角」というのは、ボール奪取勝負(ディフェンス)でのコンテンツと、次の攻撃において、どのくらい相手守備ブロックをトラブルに陥れたかという視点がベースになっています。そこでオーストラリアとクロアチア選手たちが魅せた「ギリギリまで闘う姿勢」こそが、日本に足りない部分だと感じていた湯浅なのでした。ギリギリまで自分自身を追い込んで闘えるだけの心理・精神的なテンション(張りつめた状態)が足りない。

 何といっても、相手を身体で抑えてしまうとか、本当の意味で身体を張るといったダイナミックなディフェンスがほとんど見られなかったのですよ。それではブラジルに甘く見られるのも当然です。

 要は、ディフェンスのときに「足と視線と意識」がフリーズしてしまうといったシーンが続出していたということです。もちろんそれは、ブラジル選手たちが展開する夢のような組織パスプレーに対応し切れなかったからに他なりません。ブラジル選手たちが展開するプレーは、日本選手たちのイメージを大幅に凌駕していたということです。守備は、予測することが基本だけれど、その「イメージング」をうまく機能させられなかったから、ブラジルの仕掛けに十分に対応し切れなかったということです。とはいっても、たしかにオーストラリアやクロアチアの選手たちも同じように「振り回され」てはいたけれど、それでも必死に「身体を寄せながら」食い下がっていたのですよ。だからこそブラジルも、彼らに敬意を払うようになり(少しずつ注意深くなったことで)、ゲームの流れが落ち着いていったということです。

 それに対して日本の選手たちは、ブラジルが展開するプレーにイメージが(予測が)追いつかず、フリーズ状態がつづいてしまう。だからこそブラジルは、たたみ掛けるように、軽快に人とボールを動かしつづけたのです。彼らのパス&ムーブの忠実さには舌を巻くのだけれど、それには、リターンパスをもらえる確率が高いという心理的なバックボーンもあるよね。だから、まあ当たり前。また、ココゾ!のタイミングでのオーバーラップも素晴らしい。そんな、ボールがないところでの動き(パスを要求する動き)もまた彼ら独特の自己主張っちゅうわけです。

 それにしても、夢のような組織プレーじゃありませんか。人とボールを、素早く、そして広く動かしつづけるブラジル。そこでは、その全てのタッチに、何らかのフェイントが内包されています。それは「個の勝負」というのではなく、一つひとつの組織プレーに、常に「小さな自己主張」がミックスされているということなんだろうね。ボールをトラップしては、次の瞬間にボールを「またぐ」ことで日本選手の動きを止め、そして、例によっての「二軸動作」で、トットンというタイミングでパスを出す。いや、見事です。

 そして、スペースである程度フリーでボールを持ったときには、彼ら本来の個人プレーが光り輝くのですよ。爆発的な突破ドリブルや、完璧なタイミングのワン・ツー・スリーというスーパーコンビネーション。本当にため息が出ます。

 たしかに日本の先制ゴールは素晴らしかったけれど、結局は「起死回生」というわけにはいかなかった。その前に、少なくとも3本は、絶対的なチャンスを作られていたし、前述したように、日本のディフェンス陣の「意識」が振り回されつづけていたから、ブラジルの攻めの勢いを「落ち着かせる」ことが出来なかったのです。もちろん、先制ゴールを奪われたブラジルの攻めの勢いが増幅していったという面もあります。フ〜〜。

 ブラジルの同点ゴールは素晴らしい展開だったよね。ロナウジーニョから逆サイドのシシーニョへスーパーサイドチェンジが飛ぶ・・シシーニョが、そのボールを、ヘディングで折り返し(ファーポストへのサイドチェンジ!)それをロナウドが上手いヘディングで押し込む・・。この二度のサイドチェンジで、日本守備ブロックは完全に振り回されてしまいました。

 そしてその後は、もう完全に「ブラジルショー」。日本チームは、まったく歯が立ちませんでした。コンビネーション、クロス攻撃、そして中距離シュート。何でもござれだからね。それにしても、ブラジルの中距離シュートは素晴らしい。それがあるからこそ(相手ディフェンダーが警戒して上げてくるからこそ!)、ワンツーなどのコンビネーションも活きるというわけです。

 この中距離シュートだけれど、練習しなければ上手くなりません。やはり彼らはハングリーなんですよ。だから、若くて無名なプロ選手たちは、嫌な(単調で退屈な)練習でもとことんやりつづけるというわけです。

 試合後の記者会見。ブラジルのパレイラ監督が、ロナウドについて、こんなことを言っていました。「本来のロナウドが戻ってきたのは嬉しい限り・・私は彼のことを信頼していた・・だからこそ、調子が悪くても使いつづけた・・そして、成果を出すことができた・・これからの彼には期待していい・・」。監督の確信なんだろうね。世界中のメディアが「デブのロナウド」と揶揄する雰囲気のなか、彼と落ち着いて話し合いながらモティベートしつづけた。「ウデ」を感じますよ。

 ジーコも、スッキリした表情で、落ち着いて会見していました。ジーコの4年間については、また別の機会に落ち着いてまとめることにしましょう。まあ今日は、こんなところで・・。
 



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