トピックス
- 2006_ワールドカップ日記・・やっぱりクロアチアは強豪だぜ・・(2006年5月24日、水曜日)
- 昨日のパーティーの後、夜中になってからオーストリア対クロアチアのテストマッチがテレビで放映されました。「1-4」でアウェーのクロアチアの圧勝。やはり・・というか、クロアチアは、しっかりとしたサッカーをするじゃありませんか。相手のオーストリア代表は、2年後に控えるヨーロッパ選手権のホストカントリー(スイスとの共催!)ですからね。強化真っ最中の売り出しチームなのですよ。それも彼らの首都ウイーンでのゲームだからネ。そんな状況のなかで、クロアチアは、まさに質実剛健と表現するにふさわしいしっかりとしたサッカーを展開したのです。
しっかりとした質実剛健サッカー・・。この形容の意味するところは、まず何といっても中盤から最終ラインにかけての守備ブロックの堅牢さです。この試合では、トゥドール(セリエのシエナ所属)とニコ・コバチ(ブンデスリーガのヘルタ・ベルリン所属)が守備的ハーフのコンビを組んだのだけれど、その機能性が、とにかく抜群でした。このコンビだったら、(ブラジルに敬意を払って安易に使わない!)ダブルボランチという表現をあてはめることさえ出来ると感じます。とにかく、相手の攻撃の芽を摘むときの効果レベルは尋常じゃないし、次の攻撃での(ゲームメイカーとしての)リーダーシップも素晴らしい。
もちろんそれは、忠実でダイナミックな(全力ダッシュのオンパレード!)チェイス&チェックを基盤にした守備の起点作りが効果的だからに他なりません。そのことで、相手のオーストリア攻撃陣の「仕掛けアイデア」がまったく広がりをみせられないのですよ。アイデアが抑制されているオーストリア攻撃陣・・だから、中央突破ばかりに傾注していく(中央を仕掛けていかざるを得なくさせられている!)・・だからクロアチア最終ラインの「読みディフェンス」も存分に機能する・・ってな具合。
そんな素晴らしい機能性を魅せつづけるダブルボランチがいるから、ロベルト・コバチを中心に、これまたヨーロッパ屈指のディフェンス能力を秘める最終ラインも落ち着いて対処できるというわけです。最終ラインでは、何といっても、右サイドのスルナ(ウクライナのシャフタール・ドネツク所属・・このワールドカップの後、確実にヨーロッパの一流リーグへ移籍する!)が特筆の能力を内包していると感じます。守ってよし、攻撃参加でも抜群の危険性を魅せつづける。それも、ドリブル突破やパスコンビネーションが、本当に高い次元でバランスした素晴らしい仕掛けイメージを基盤にしている。この試合でも、彼のオーバーラップによるサイドからの崩しが目立っていましたよ。まあ・・ね、オーバーラップ後のカバーリングに対するコンビネーションがうまく機能せず、その空いたスペースを利用されるといったケースもあったけれどネ・・(スルナとシミッチとのタテの相互カバーリングがうまく機能しない時間帯もあった・・)。
攻撃陣では、二列目センターを任されている代表監督の息子、ニコ・クラニチャールも、まあまあのプレーを展開しましたね。それでも、ボールの流れをみていると、ニコ・コバチとトゥドールがコンビを組んでいるときは、どちらかといったら「攻撃の汗かきプレーヤー」に成り下がっていたというイメージ・・。まあ彼がボールを持った場合、「シンプルタイミング」と「勝負タイミング」のメリハリがうまくついていないから、どちらかといったら、「クリエイティブなボールの動き」を阻害する停滞状況に陥ってしまうシーンも多かったからね。また個の勝負でも、そんなに目立った存在感を提示できているわけじゃない。まあ、セットプレーでのボールは良かったけれどネ。あっと・・それに、中盤ディフェンスでの貢献度も足りないし・・。
それに対して、後半から登場したイビツァ・オリッチは素晴らしい才能を秘めたプレイヤーですよ。シンプルなパスコンビネーション良し、ドリブル良し、シュート良し、そして前線からのディフェンスも良し。ロシアのCSKAモスクワに在籍するオリッチ。彼もまた、ワールドカップ後に活性化するプレイヤー市場を賑わす存在になることでしょう。
さて最後に、この試合で先発したツートップの、プルショとクラスニッチのコンビ。良かったですよ、本当に。ボールがないとろでの仕掛けのフリーランニング・・ボールを持ってからの強烈な勝負マインド・・そのマインドは、パスコンビネーションと勝負ドリブルが高い次元でバランスしている・・。先制ゴールは、左サイドのスペースへ向けて「斜めの」爆発フリーランニングで動いたプルショへ、中盤で抜群の汗かきプレーに徹していたバビッチ(ブンデスリーガのレーバークーゼンに所属)からタテパスが出たシーンから始まります。素早く余裕をもってボールをコントロールするプルショ。そして、スッと切り返した次の瞬間には、中央ゾーンに走り込むクラスニッチへの「強烈な横パス」を決めていました。そして最後はクラスニッチの魔法。相手を翻弄するようにトラップを「流し」、そして振り向きざまにドカン!とシュートを決めちゃうのです。その後クラスニッチは二点目のゴールも奪ったのだけれど、そこで、相手ゴールキーパーも含む3人を抜き去ったソロドリブルは見事でした。
攻守にわたって、チームとしてしっかりとまとまっているクロアチア。強敵です。相手にとって不足なし。さて・・
-
[ トップページ ] [
Jワンポイント ] [湯浅健二です。
]
[ Jデータベース ]
[トピックス(New)] [
海外情報 ]