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2006_ワールドカップ日記・・ドイツ対ポーランド戦での「五秒間のドラマ」・・(東京新聞に2006年6月10日から7月10日まで隔日で連載したコラムから)・・(2006年7月15日、土曜日)

今日紹介するコラムは、6月14日に行われたグループリーグ緊迫の一戦、ドイツ対ポーランドの決勝ゴールシーンを「五秒間のドラマ」風にまとめたものです。要は、最終勝負でのイメージのシンクロと、それをベースにした実際のアクションという有機的なプレー連鎖(コンビネーション)です。

 ポーランド戦では、何度も決定的チャンスを外しつづけたドイツ代表だったけれど、後半ロスタイムに、ノイビルが決勝ゴールをたたき込んで劇的な勝利をかざりました。それは、まさに感動的な決勝ゴール。

 そこから、ドイツ国内でのスピリチュアルエネルギーが急カープを描いてまとまりはじめたのです。また、この決勝ゴールを演出したのが交代した二人(オドンコールとノイビル)だったことで、ユルゲン・クリンズマン監督の采配に対する信頼も上昇機運に乗りました。このゴールは、(日本戦での冷や汗の体感とともに!?)ドイツ代表の「大会を通じた発展」のベースとなった様々な心理的コンテンツを内包していたのです。

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 そのとき、ノイビルが「爆発」した。ドイツ対ポーランド、後半ロスタイムの劇的な決勝ゴールのシーンだ。

 中盤のシュナイダーから、右サイドにいるオドンコールの前方スペースへタテパスが出る。素早くスタートを切るオドンコール。ただ、彼がパスを受けるゾーンには、既に三人のポーランド選手が全力で迫っていた。オドンコールが最初にボールに追いつくだろうが、もしボールを止めたら、次の瞬間には相手選手のアタックに潰されてしまうだろう。ただ、そんなギリギリの「状況」こそが、決勝ゴールを呼び込んだとも言えるのだ。

 そのときノイビルは、ゴール前で二人のポーランド選手にはさまれるようにマークされながら、状況の変化に鋭い視線を送っていた。そして勝負イメージが固まる。「オドンコールは、ダイレクトでクロスを送り込むしかない・・」。そして次の瞬間、ノイビルの起爆スイッチが入った。

 ズバッ!! ノイビルが爆発ダッシュをスタートしたのだ。それは、オドンコールがボールに追いつく直前のタイミング。それこそが「パスを呼び込む勝負の動き」だった。チラリとゴール前に視線を投げるオドンコール。そして、ダイレクトで、全力で寄せてくる相手選手の横をすり抜ける鋭く正確なラストクロスを、ポーランドGKボルッチの眼前にある猫の額のような狭いスペースへと送り込んだのである。

 選択肢の限られた状況がノイビルの勝負イメージを固め、彼が繰り出した勝負の全力ダッシュがオドンコールのパスのタイミングとコースを決めた。それは、二人の状況判断と勝負イメージが有機的に連鎖した見事な決勝ゴールだった。(了)
 



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