トピックス


2006_ワールドカップ日記・・湯浅の移動手段(リズムの確立)・・(NHKデータ放送&同HP連載コラムから)・・(2006年7月28日、金曜日)

今日は筆者の「移動」について、その一端を紹介しよう。

 私の場合、クルマでの移動がベースとなる。高級というわけではないが、強力なディーゼルエンジンを搭載した中型の乗用車だ。もちろんエアコンやカーナビなどもフル装備している。それに加えて、シガレットライターソケットから、コンピューターの電源を取るための特殊なアダプターも用意したし、インターネットアクセスにしても完璧なモバイル・ブロードバンド環境を整えた。私にとってクルマは、移動の手段というだけではなく、動くオフィスとしても機能しているのだ。

 実際にこのNHK連載コラムも、アウトバーン途中のサービスエリアで書き終えて日本の編集部へ送ったこともある。まあ、まだクルマの中で寝るような緊急事態には陥っていないけれど。

 これまでの走行距離は、既に6000キロを突破した。それはそうだ、大会がはじまる前のテストマッチでも動き回ったし、私の「ベース基地」であるエッセン(ルール工業地帯)から、ハンブルク、ケルンやボン、カイザースラウテルン、シュツットガルト、ニュルンベルクなどを何度も往復するのだから。とはいっても、若かった頃のように、ケルンからミュンヘンまでの650キロを一気に走り切るというのは、あまりにも厳しい。試合の後の真夜中から朝方にかけて、再び数百キロを移動しなければならない羽目になる。とにかくゲームの開始が2100時という試合日はスケジュールが厳しいのだ。

 ということで、400キロを超える移動には、なるべく電車も併用することにした次第。今回のワールドカップは、ドイツ連邦鉄道の全面的なバックアップを受けているから、我々メディアは、プレスIDを見せるだけで特急の一等がタダで乗れるのだ。これを使わない手はない。ということで、最寄り駅の近くにある公共駐車場にクルマを駐め(公共の場合は、24時間で1500円くらいが相場)、後は電車で移動するのだ。そうすれば、試合後に原稿を仕上げてから現地のホテルに宿泊し、翌日の早朝に再び電車で次の目的地へ楽に移動できる。また書きかけの原稿も車中で仕上げられる。

 先日も、エッセンの中央駅から電車に乗り、朝一番でベルリンへ向かった(約550キロを約3時間45分)。そして試合後には友人宅に泊めてもらい、翌日の朝早く、再び電車でエッセンまで戻ってゲルゼンキルヒェンで行われたポルトガル対メキシコを観戦した。もちろん車中では、新聞で連載しているコラムを書き終えて日本へ送った。

 たしかに電車移動では、精神的、肉体的に大きな余裕を持てる。とはいっても、「ベース基地」であるエッセン近くでのスタジアム観戦というケースでは、やはりクルマの方が便利。この併用リズムが、徐々に固まりつつある。

 筆者がこれまでに移動した距離は、クルマと電車を合わせて、既に10000キロは超えたはずだ。まだ大会の前半が終わろうとしている段階でこれだから、最後は一体どれくらいの距離を移動することになるのだろうか。

 燃料(軽油)の価格は高騰しているし、アウトバーンの交通量が増えたり速度制限が設置されている区間が多くなっている等、とにかくクルマでの移動はかなり疲れる。そんなこともあって、これからは近距離でも電車移動にしようかなと、やわな考えに傾きはじめている筆者なのである。(了)

================

 私のHPでも何度か取り上げたように、昨今のアウトバーンは走りにくくなっています。だから疲労の度合いも天井知らず。まあ・・ね、もう以前のように若くないということもあるだろうしね・・フ〜〜ッ。

 結局「その後」は、上記のコラムで書いたように電車での移動が大幅に増えました。またケースによっては飛行機での移動もミックスしたりしてね。そんなこんなで、結局これまでに移動した距離は、(クルマ、電車、飛行機を合わせて)2万5千キロを超えたかもしれませんね。

 ところで電車移動。そこでは駐車場の確保が生命線になります。路上駐車で出掛けたら、帰ってきたときにクルマがどうなっているか分からない。私が借りたのはほぼ新車という事情もあります。だから、時間をやりくりしては、駐車場のロケハンに精を出した次第。その甲斐あって、エッセンは当たり前として、ボン近くのジークブルクやケルン、ハノーファーなどでは、「パーク&ライド」の達人になりましたよ。

 「パーク&ライド」とは、乗用車を駅の近くに駐車し、大きな移動は電車にするという「エコロジカルな生活態度」を意味する標語です。以前は大変もてはやされたけれど、結局は大都市の中央駅近くに駐車場を確保するなんてことは難しいということで、「標語倒れ」になりかけた時期もありました。

 しかし、燃料コストが高騰しはじめた昨今、再び注目を浴びはじめました。とはいっても今度のムーブメントは、現実オンチの官僚が主導するのではなく、生活者がメインですからね。非常に現実的な「パーク&ライド」が浸透していきました。大きな駅の周辺にある田舎の駅に併設された駐車場を使うとか、市内の公共駐車場にクルマを駐め、市電で中央駅へ移動するとかね。

 日本では本当に希にしか利用しない電車だけれど、それをドイツで練習させられてしまったというわけです。これからは日本でも(雨が降ったときなど)積極的に電車移動にしようと意を新たにしている湯浅なのでした。
 



[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]