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2006_ワールドカップ日記・・今日は、ドイツを中心に、いくつかのテストマッチをテレビ観戦することにしました・・(2006年5月28日、日曜日)

昨日は、(日記レポートで紹介したボーフムから)ケルンに戻って早朝の0300時まで原稿を書いていました。生活のリズムが一定じゃないから(その後に)よく眠れないのも当然ですよね。それだけじゃなく、時差ボケや悪天候もメンタル疲労を増大させる。フ〜〜。

 この悪天候だけれど、これからまだ10日くらいは続きそうだとのこと。嫌になるよね。つい10日前までは、毎日素晴らしい天気がつづいていたというのに。ドイツではよく使われる表現なのだけれど、友人たちに会うたびに、「オマエが(日本から)悪い天気を持ち込んだ!」と言われる。冗談じゃない。オレが着いたときには既にバッドウェザーの波は始まっていたじゃないか! あ〜、ホントにちょっと疲れ気味・・。

 ・・ということで、今日は、ホテルに籠もっていくつかのテストマッチをテレビ観戦することにした次第。フライブルクでは「ドイツ対ルクセンブルク」、フランスのサンドニでは「フランス対メキシコ」、オランダのロッテルダムでは「オランダ対カメルーン」が行われます。このなかから、私はドイツ対ルクセンブルクを現場で観戦する予定だったというわけです。

昨日は、(日記レポートで紹介したボーフムから)ケルンに戻って早朝の0300時まで原稿を書いていました。生活のリズムが一定じゃないから(その後に)よく眠れないのも当然ですよね。それだけじゃなく、時差ボケや悪天候もメンタル疲労を増大させる。フ〜〜。

 この悪天候だけれど、これからまだ10日くらいは続きそうだとのこと。嫌になるよね。つい10日前までは、毎日素晴らしい天気がつづいていたというのに。ドイツではよく使われる表現なのだけれど、友人たちに会うたびに、「オマエが(日本から)悪い天気を持ち込んだ!」と言われる。冗談じゃない。オレが着いたときには既にバッドウェザーの波は始まっていたじゃないか! あ〜、ホントにちょっと疲れ気味・・。

 ・・ということで、今日は、ホテルに籠もっていくつかのテストマッチをテレビ観戦することにした次第。フライブルクでは「ドイツ対ルクセンブルク」、フランスのサンドニでは「フランス対メキシコ」、オランダのロッテルダムでは「オランダ対カメルーン」が行われます。このなかから、私はドイツ対ルクセンブルクを現場で観戦する予定だったというわけです。

 この日は、その他にもスペイン対ロシア、セルビア・モンテネグロ対ウルグアイ、デンマーク対パラグアイ、スイス対コートジボワールなどのテストマッチが行われるのですが、わたしは、最初に書いた三試合に集中してテレビ観戦することにしました。現場へ出掛けたら、その試合しか観られないしね。もちろん現場では、より広い視界で、より多くのイメージ情報を仕入れることは出来るけれどネ・・。

 ということで、三試合のショート(まとめ)レポートです。まずドイツ対ルクセンブルク戦から。この試合では、軽いケガを負ったミヒャエル・バラックは出場しません。その代わりに、ブレーメンで抜群の存在感を発揮しつづけているボロヴスキーが先発です。さて・・。

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 GKのイェンス・レーマン、中盤の底のトルステン・フリングス、中盤のベルント・シュナイダーとミヒャエル・バラック、そしてトップのミロスラフ・クローゼ。この5人は、もしフォーム的な問題がなければ、確実にスターティングメンバーに名を連ねます。

 このなかでは、ちょっと地味な印象があるかもしれないシュナイダーとフリングス。ただ、攻守にわたる組織プレーの実効レベルという視点では、ものすごく目立つ、重要な存在なのですよ。この二人については、ミヒャエル・バラックと同様に、「2006」のメンバーに入るかどうかというディスカッションのテーマにも上りませんでした。代表チームの中核を為すことは理の当然・・。彼らは、それほどチーム戦術にとって重要な存在なのです。先日会って話したエーリッヒ・ルーテメラーも、「彼らはチームを引っ張る組織プレイヤー・・要は、チームを作る上でまさに基盤となる選手たちなんだ・・」と言っていました。まさにその言葉通りの「基盤プレイヤー」たちなのです。

 この試合でも、ケガのバラックを除き、上記の4人が先発しました。そして、まさに期待通りの質実剛健のパフォーマンス。やはり彼らは、それぞれの特徴を組織プレーのなかで発揮するという「基本パフォーマンス」を「計算できる」という意味で、ものすごく大事な存在なのです。

 さて、「7-0」という結果に終わったルクセンブルク戦。試合後のテレビインタビューだけれど、そこで、ゲーム途中でお役御免になったフリングスが、「そりゃ、相手が弱かったからだよ・・この試合の基本的なミッションは(あんたの質問の趣旨とは違う)別のところにあったからね・・」なんて、例によってクールに答えていましたよ。ちなみに質問は、「さて、素晴らしいサッカーで7-0という勝利を収めたけれど・・?」という浮かれたものでした。

 そんなフリングスやユルゲン・クリンズマン監督の、試合直後のインタビューを見聞きしながら、たしかにテレビ観戦では、選手や監督の見解が生で見たり聞いたりできるというメリットもあるよな・・なんて思っていた次第。ちなみに、ユルゲン・クリンズマン監督は、隣でコメントするフランツ・ベッケンバウアーを「まったく意識せず」に、これまたクールに真摯にコメントしていました。月並みなコメントだったけれど、観ているドイツの生活者の人々の期待をより大きくふくらませるようなモティベーションマインドに溢れたものでした。ホントにユルゲンはアタマがいいよな。

 あっと試合レポート。フリングスやユルゲン・クリンズマン監督が示唆していたように、この試合のミッションは、とにかくサッカーが本来もつ楽しさを思い出し、ゴールを量産することだったよね。その意味で、理想的なゲーム内容になったということです。

 まあ、あれだけ完璧にゲームを支配していたら、自分たちのやりたいことを「ほぼ全て」実現できるよな・・だからこそ、ボール奪取(守備)プロセスやシュートへの仕掛け(攻撃)プロセスでのイメージシンクロ状態を高揚させるトレーニングとしてうまく活用しなければならない・・その視点じゃ、たしかに理想的なゲームになったということだよな・・。とはいっても私は、そんなオーソドックスなことを考えながら、別な視点でもゲームを観察していました。組織パスプレーと個人勝負プレーのバランス感覚・・。自分たちの思い通りのプレーができるからこそ、チーム内で、そのバランス感覚がどのように扱われているのかについても深く観察できると思った次第なのです。ドイツ的な組織プレーのなかに、どのくらい個人勝負が浸透しているのか・・というテーマ。

 そして思っていました。いまのドイツ代表チームでは、ポドルスキーとかシュヴァインシュタイガーといったドリブラータイプもうまくチーム戦術イメージにインテグレートされている(組み込まれている)・・。ミロスラフ・クローゼやミヒャエル・バラックは、組織プレーと個人プレーが高い次元でバランスしているけれど、前出の若手は、常にドリブル突破を全面に押し出して仕掛けていくタイプ。そんな彼らが、ドイツの攻撃のアクセントになっていると感じるのですよ。それは、とりも直さず、チーム内に、彼らの仕掛けに対する期待があるということです(失敗しても、それを組織がカバーするという雰囲気!!)。なかなかのバランス感覚じゃありませんか。

 ユルゲン・クリンズマンは、若手を上手く活用しています。クラーニーの回復が遅れていることで、仕方なく彼を諦め、代わりに22歳のオドンコールも採用しました(100パーセントの状態ではない久保を諦めて、ハングリーな若手、巻を入れた日本代表のケースに似ている!?)。若手と中堅がうまくハーモニーを奏でている。そして、そのハーモニーを、フリングスやシュナイダー、ノイヴィルといったベテラン連中が「クール」に支えるっちゅう構図。なかなか良いですよ。

 この試合では、前出のポドルスキーとシュヴァインシュタイガーの若手コンビが(左サイドで)冴えまくっただけではなく、そのコンビに、これまた若干20歳の左サイドバック、ヤンセンもガンガンと絡んでいきました。ヤンセンのライバルは、言わずと知れた若大将ラームだけれど、まだ100パーセントの状態ではないということで、この試合ではヤンセンが先発したというわけです(その後、ヒッツルシュペルガーと交代)。そんな若手の目立つ勝負プレーを、シュナイダーやフリングスといったベテランと、中堅のボロヴスキーが「クール」にバックアップする。繰り返しになっちゃったけれど、そんな相互信頼が出来上がりつつあるドイツ代表に対する期待は、いやが上にも高まろうっちゅうものじゃありませんか。日本とのテストマッチが楽しみです。

 ショートコメントのつもりが、やっぱりドイツだと長くなってしまう・・。さて次は、フランス対メキシコと、オランダ対カメルーンです。

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 フ〜ム・・やっぱり「あのフランス代表チーム」はもう戻ってこないのか・・。もちろんそれは、2000年ヨーロッパ選手権を制した当時の、キャリアのピークに入ったジダン、ピレス、ビエラ、テュラム、リザラズたちに引っ張られていたスーパーチームのことです(もちろん、彼らに、アンリに代表される若い世代がしっかりと噛み合った!)。組織プレーと個人勝負プレーの夢のようなハイレベルのバランス・・懐かしい・・。

 フランスは地域予選から気になっていたけれど、彼らを観るたびに、まったくフランスらしさがなくなってしまったと感じたものです。局面での「個のエスプリプレー」をベースに、人とボールを素早く、広く動かしつづけた「あのフランス」。常に攻撃に人々の予想の上をいく変化と驚きを演出したあのフランス。それと比べたら、いまのチームが展開しているサッカーは、まさに普通そのものです。

 もちろんジダン、マケレレ、テュラムが戻ってきたことで少しはサッカー内容が好転したとは思うけれど、やっぱり「あのフランス」じゃない。本当に残念だけれど、いまのフランス代表は、世代交代もままならない停滞状況に陥ってしまったということなんでしょうね。まさに、プラティニを中心にした「シャンパンサッカー」が終焉を迎えた当時を彷彿させる・・。

 フランスでは若い世代が順調に育っているのに、それがうまくトップチームに反映されていかない・・!? やっぱり世代交代には、吹っ切れた決断と行動力、そして極限の忍耐が必要だということなのでしょう。若い選手たちは、よほどの才能に恵まれていない限り、決して最初から最高のパフォーマンスを発揮できるはずがない・・またそこには、自分のポジションを守りたいベテラン選手たちもいる・・。だからこそ、監督のホンモノのウデが試されるというわけです。

 さてフランス対メキシコ戦だけれど、この試合は、互いの守備ブロックの強さばかりが目立つといった展開に終始しました。両チームともに、人数を掛けるとか、ボールがないところでの仕掛けの動きを活性化させるなどといった積極的な仕掛け姿勢がみれなかったのです。これでは、決定的スペースを活用することがままならず、観客が沸くようなチャンスメイクシーンも数えるほどしか演出できないのも道理。まあ、一点リードされたメキシコの後半最後の時間帯くらいでしたかネ、ホンモノのリスクチャレンジが出てきたことで、フランス守備ブロックがバランスを崩しそうになったのは。

 そんな停滞サッカーに対し、オランダ対カメルーン戦は、ダイナミックそのものでしたよ。特にオランダが魅せつづけた、攻守にわたる積極ブレー姿勢は特筆に値します。カメルーンが悪かったわけでは決してありません。彼らもしっかりと攻め上がろうとしていましたからね。でも、オランダが、それに輪を掛けた積極性を前面に押し出しつづけたのですよ。本当に素晴らしいサッカーでした。まさに、ハイレベルな動きの量と質を基盤に、組織プレーと個人勝負プレーが高質にバランスした、美しさと勝負強さを兼ね備えたスーパーサッカー・・。やはりその絶対的ベースは、中盤ディフェンスでした。言うまでもなくネ・・。

 この試合では、ハンブルクで活躍するファン・デル・ファールトは、大事を取って出場しなかったけれど、代わりに出たファン・ペルジーが大活躍でした。もちろん、ファン・ニステルローイとロッベンは、例によっての高みで安定したスーパープレーを展開しました。それともう一人、中盤の底でゲームをメイクするコクー。まさに絶好調でしたよ。中盤守備をオーガナイズしながら、ここぞの瞬間には、スッとカメルーンゴール前に顔を出して決定的な仕事をしちゃう。もちろん、中盤の底のパートナー、ファン・ボメルの、忠実な汗かきプレーがあればこそだけれどネ。

 とにかく、オランダは強いですよ。チェコのように、チームとしてまとまっていると感じます。スーパースターたちも、チームプレーに徹して汗かきに奔走するしネ。その姿勢こそが、チームを一つにまとめるというわけです。もちろん、その絶対的ベースは、選手個々の高い守備意識です。それがあるからこそ、仕掛けに人数を掛けられるし、ボールがないところでのリスキーな動きにもチャレンジしつづけられる。それがあってはじめて、相互信頼が確固たるレベルまで高揚し、チームとしてまとまるというわけです。

 まあ、この相互信頼という「現象」を突き詰めて表現すれば、選手個々の能力に対する互いのレスペクトとせめぎ合いという緊張感が張りつめた、剣が峰を突き進む闘うグループ(もちろんそこには、自分の存在感と組織内ポジショニングに対する内なる闘いがある!)・・ということですかね。個人事業主であるプロサッカー選手のグループにおける相互信頼という現象を、「仲良しクラブ」的に理解されてしまっては元も子もありませんからね。プロサッカーチームのパフォーマンスを高揚させる作業は、まず何といっても日本的な「甘えの構造」をぶち壊すことから始まるのですよ。あれ・・!? ちょっと議論が明後日の方向へ行ってしまったですかネ。深夜だから、ちょっとアタマの回転が鈍りかけているのかも・・。それでは今日はこのあたりで・・。明日の日曜日は、「日記」もオフです。

 



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