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2007_「U22」・・ダイナミックな組織プレーのなかで個の才能を最大限に発揮することを志向する日本オリンピック代表・・(日本vs米国、0-0)・・(2007年2月21日、水曜日)

いいね〜、日本オリンピック代表。攻守にわたって素晴らしいダイナミズムを魅せてくれるじゃありませんか。試合へ臨むうえでの高いモティベーションと戦術イメージの徹底。反町監督のウデを感じます。

 ダイナミズムとは、力強さとか活力、はたまた内に秘めた動的なエネルギーなどといった意味なのだけれど、私は、攻守にわたる「主体的」なアクションの量と質というふうに定義しています。そのダイナミズムを左右するもっとも重要なファクターは、何といっても守備。反町ジャパンの組織ディフェンスが冴えわたる。観はじめて、まず感じたのが、守備での素晴らしいイメージ連鎖だったというわけです。

 一人がボールへプレッシャーを掛ける(効果的なチェイス&チェック)・・そこでアメリカのボールの動きを抑えられれば、ディフェンスの起点を演出できる・・ただ日本オリンピック代表は、米国のボールの動きを抑え切れなくても、忠実に、次、その次とボール奪取アクションを仕掛けつづける・・素晴らしい「間合い」と「ボディーシェイプ」・・その感覚をベースに、ディフェンスでの「集散アクション」を繰り返す日本オリンピック代表・・そして、連鎖しつづけるボールがないところでの効果的なディフェンスアクション・・そこには、相手からボールを奪い返すという守備の目的を達成するための強烈な意志を感じる・・。

 いつも書いているように、そんな積極的なディフェンスエネルギーは(うまくボールを奪い返せれば)、そのまま次の攻撃アクションへとスムーズに移行していくモノです。それが、立ち上がりの平山が得た決定的シュートシーンとなって結実したわけです(それにしても、平山の二つめのシュートチャンスを演出した梶山のスルーバスは見事だった!)。あっと、その梶山陽平のミドルシュートも忘れちゃいけない。

 最終ラインをリードする伊野波雅彦。中盤の底から、攻守にわたって抜群の動きを魅せつづける梶山陽平。そして最前線で、実効あるストライカーぶりを披露した平山相太。この試合では、後方から最前線にかけて「FC東京のセンタートリオ」が、なかなかの存在感を発揮していました。

 特に、梶山陽平のイメチェンぶりには、ちょっとビックリさせられた。中盤の底のパートナーである本田拓也のバックアップを背に、攻守にわたって抜群のダイナミックプレーを披露するのですよ。この二人は、梶山が行けば本田が下がり、本田が行けば梶山がバックアップに回るなど、うまく「前後のバランス」を取っていただけではなく、サイド攻撃のキーである両サイドバック、本田圭佑と水野晃樹をしっかりとサポートするといった汗かきの仕事もしっかりこなしていました(両サイドについては、スリートップのカレン・ロバートと李忠成も、彼らのオーバーラップをバックアップしていた)。

 あっと・・梶山陽平。着実なボール奪取からすぐにパスを展開し、間髪を入れないバス&ムーブでタテのスペースへ抜け出していったり、タイミングの良いドリブルを仕掛けて相手守備ブロックを崩したりなど、そのエネルギーたるや、まさにこれまでとは別人といった趣でした。

 たしかに昨年から梶山のプレーに勢いは感じていたけれど、これほどまでアップするとは。若い世代の代表チームでもオシムさんのサッカーコンセプトを体現する反町監督・・(特に下の代の代表チームから輩出される)多くのライバルの台頭・・等々、そこには様々な刺激があったということだよね。やはり「健全な競争の環境」こそが人を育て、発展させるということでしょう。梶山陽平のイメチェンぶりに、その環境変化のコノテーション(言外に含蓄される意味)をしっかりと把握したくなった湯浅でした。

 それ以外にも、チャンスを見計らい、最前線までも追い越す勢いで攻撃に参加してくる伊野波とか、ディフェンスにも積極的に参加してくる最前線の李忠成とカレン・ロバート、最前線へ飛び出していく梶山陽平や本田拓也、そして前後に激しく動きつづける両サイドバック(本田圭佑&水野晃樹)など、彼らが演出するダイナミックな「タテのポジションチェンジ」もインプレッシブでした。

 決してあなどれない実力を秘めた米国オリンピック代表。そんな相手と対峙しても、主体的に、互角以上のサッカーコンテンツ魅せつづけた日本オリンピック代表。

 たしかに、攻守にわたるボールがないところでの動き(アクション)の質、決定的なシーンでの守備の集中(持続)力、チャンスをしっかりとシュートに結びつける(心理ベースの!)勝負プレーの実効レベルとシュート決定力など、世界との最後の僅差を縮めていくための「小さなところの修正」という視点じゃ、まだまだ課題も多いけれど、このゲームで通して、彼らが着実に発展していることだけは体感させてもらった。

 反町監督が目指しているのは、明らかに「トータル・サッカー」。要は、全員守備、全員攻撃サッカーということ(オシムさん流に言えば、8人で攻め、10人で守るサッカー!)。例えば、こんなふうに表現できますかネ。たまには最前線と最終ラインがタテに入れ替わってしまうなんていうシーンだって出てくる・・それでも、攻守の実効レベルや前後のポジショニングバランスの崩れることがない・・なんてネ。私は、ポジション(チーム戦術的な基本タスク)なしのサッカーが理想型だ・・なんていうふうに表現します。

 とはいっても、もちろん「それ」は理想イメージにしか過ぎない。監督は、そこから現実に即した妥協を積み重ねていかなければならないというわけです(まあ、チーム戦術とかゲーム戦術と呼ばれるもののことですかね)。そこがポイント。優れた監督による「妥協の内容」にこそ、本当の見所が秘められているのです。

 反町さんは、あくまでも、トータルサッカーを志向する(攻守にわたる)ダイナミックな組織プレーを絶対的なベースとして(選手個々の守備意識と、攻守にわたるボールがないところでの実効プレー意識を極限まで高めることを基盤に!)、そのなかで個の才能を最大限に発揮させようというイメージなのでしょう。現代サッカーでは、個の才能を、いかに守備にも精を出させ、攻撃では(ボールがないところで)走らせるのかというのが最大のテーマだからね。

 要は、例外なく全員が組織プレーに徹しているからこそ現出させられる「1対1の勝負チャンス」というニュアンスです。そして、そのことに対する深い確信に支えられた反町さんは、このオリンピックチームでは個の才能を何人でも並列させられると豪語する。頼もしい限りじゃありませんか。

 




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