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2007_ゼロックススーパーカップ・・組織プレーと個人プレーがバランスした素晴らしい高質サッカーで完勝したガンバ・・(レッズvsガンバ、0-4)・・(2007年2月24日、土曜日)

ガンバの完勝でしたね。レッズは、完璧にやられまくった。レッズにとっては、4つの失点も含め、こんなにズタズタにされた負けゲームは本当に久しぶりだったんじゃないだろうか。

 立ち上がりは、ほぼ互角といった展開(まあ、チャンスの質では、明らかにガンバのものだったけれど・・)。でも時間が経つうちに、ガンバ攻撃のコンテンツが目立って増幅していきました。その背景には、どんどんと活性化していった彼らのダイナミックディフェンスがあった。

 「まずディフェンスからという指示をしっかりと守って闘ってくれた・・我々は、前線と中盤での積極的なプレッシングを志向している・・」など、ガンバ西野監督の言葉のはしばしから、心のなかで快哉を叫んでいることが明確にうかがえた。「良い準備ができたとは思っていたけれど、これほどのパフォーマンスを発揮できるとは・・」なんてね。

 まさに、その言葉どおり、ガンバは素晴らしいサッカーでレッズを凌駕しました。

 最前線から(素早い攻守の切り替えをベースに)スタートするダイナミックな守備。そこには、なるべく高い位置でレッズからボールを奪い返すぞ!という強烈な「意志」が感じられました。その「意志」こそが、観ている方に感動を呼び起こすのです。

 最前線からのディフェンス。「強い意志の人」の筆頭である播戸竜二はいつも通りの忠実さだったけれど(オシム日本代表にも欠かせない存在!)、同様に汗かきのディフェンスを展開する天才マグノ・アウベスのチェイス&チェックには目を見張らされた。そこにはホンモノの勢いがありました。そしてもちろん、遠藤保仁、二川孝広、明神智和、橋本英郎らが展開する、中盤でのディフェンスアクションもダイナミックに連動する。まさに有機的なプレー連鎖(ボール奪取イメージ連鎖)の集合体といったところ。いいね。

 そんな、(ボールのないところでの動きに)連動性のある守備を展開するガンバだから、次の攻撃でも、組織パスプレーと個人勝負プレーがハイレベルにバランスするのもうなづける。もちろんそれは、(守備でのハイパワーが転化された!)ボールがないところでの忠実な動きが活発だからに他なりません。ホント、いいね。

 そして最後の仕掛けシーンではは、マグノ・アウベスが、二川が、はたまた遠藤や両サイド(安田理大と加地亮)が、勇気をもった個人勝負を仕掛けていったり(特に安田理大のドリブル勝負チャレンジは注目!)、ドリブルと見せ掛けて最終勝負パスを送り込んだり。そんな変化に富んだガンバの攻撃に振り回されるレッズ守備ブロック。

 レッズは、どうしてしまったのか。現地で取材したジャーナリスト仲間から聞いたところによると、10日ほど前にザルツブルクで行われた「ブルズカップ」でも、同じように最悪のプレー内容だったそうな(わたしはテレビ中継も観ていません)。

 たしかに局面勝負で大きく見劣りすることはないけれど、特にディフェンスで、それぞれのアクションがうまく「連鎖」しないのが気になります。要は、守備の起点が出来ても、次のディフェンスアクションら効果的につながらないということ。単発のボール奪取勝負アクションが「ブツ切り」状態でツギハギされたディフェンス!? それじゃ、ディフェンスでの抑えが効かないのも道理。それでは、ガンバの組織パスプレーと個人勝負にディフェンスブロックが翻弄されてしまうのも当然か。

 ホルガー・オジェック監督は、「立ち上がりはよかったが、25分あたりからペースが落ちてきた(ガンバのペースがアップし、それについていけなかった!?)・・プレイヤー同士の相互理解に大きな課題がある・・前への押し上げがうまくいかなかった・・プレーのリズムと、局面での競り合いに対する感覚が良くない・・ガンバは、常に前へ前へと着実に仕掛けていた・・内容的にも、理の当然の結果といえる・・」など、完敗を素直に認めていました。

 特に鈴木啓太と、ジェフから移籍してきた阿部勇樹のコンビが目立って消極的だったという印象が残りました。たしかに、局面での勝負コンテンツには(個のプレーでは)優れた個のチカラを感じるけれど、攻守にわたる組織的なプレーでの実効レベルはいただけない。この二人の(交互に上がっていく)攻撃でのバックアップがあまりにも消極的だったことも、完敗の大きな要因だったことは否めない事実なのです。

 とはいっても、その原因は、単にこの二人の出来がよくなかった等といった単純なものじゃない。サッカーは、有機的なプレー連鎖の集合体だからネ。要は、次の守備に不安があったり(肝心なときに守備へ戻ってこない味方に対する不安も含めてネ!)、チェイス&チェックで自分が守備の起点になったにもかかわらず、次のボール奪取勝負がうまく機能しないとか、攻撃では、スペースへ押し上げてもボールが回されてこなかったり、ボールの動き自体が鈍重だったり等、ネガティブなイメージばかりが先行していたということなんだろうね。

 攻撃でも、守備でも、このゲームでのレッズの状態だったら、これからリーグ開幕に向けて、選手同士の組織プレーイメージを機能的(積極的)に連鎖させる作業は簡単じゃないだろうな。何せ、積極的なリスクチャレンジプレーの姿勢が感じられないのだからね。受け身で逃げのプレー姿勢!? まあ、そう非難されても仕方ないよな。

 ホルガー・オジェック監督は、「まだ一週間ある・・そこで改善する・・開幕戦は違うチームになる・・」と会見を締めくくっていた。それでも、(前述した)選手たちのプレー姿勢だけじゃなく、長期離脱が心配される田中達也と長谷部誠や、足首をねんざした堀之内、この試合に出るのはリスクが大きすぎるということで欠場したトゥーリオと永井など、怪我人が多いことも気に掛かる。まあ、基本的なチーム力には疑う余地はないのだから・・。期待しましょう。

 最後に、ガンバについてもう一つ。それは、今シーズンに臨む最終ラインの原型が出来上がった(西野監督)というフォーバック。それは、両サイドが積極的にオーバーラップしていくことで「ツーバック」的にも機能すべき高度なフォーバックのはずです。

 要は、前述の四人の中盤と二人の最前線プレイヤーによる守備での実効レベルを極限まで引き上げなければならないということです。

 西野さんの弁。「フォーバックでは、前線と中盤でのプレッシング(ボール奪取勝負)が最重要テーマになる・・マグノにもそのことを指示した・・最終ラインが対応しなければならない状況(孤立した1対1に追い込まれるような状況!?)は避けたい・・そこでは、最前線からのチェイス&チェックなど、前線と中盤での(実効ある)守備参加がもっとも重要なテーマになる・・」等々。

 いいね。夢(ドリームパワー)があふれる勢いを感じますよ。今年は、ガンバにも大いに注目しよう。

 




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