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2007_オシム日本代表(その11)・・またまた組織プレーと個人プレーの高質なバランスというテーマ・・(日本代表対モンテネグロ、2-0)・・(2007年6月1日、金曜日)

ザワザワザワザワ・・(それだけじゃなく携帯電話の大声があちらこちらから飛び交ったりする・・)。記者会見が終了した後のプレスルームの雰囲気です。これじゃ集中してレポートを書けるはずがないと私は諦めたのですが、そんな状況でもしっかりと原稿を仕上げる新聞や雑誌(はたまたインターネットメディア)の記者さんは大したもんだと思うことがありますよ。ホント、彼らはタフだね。

 ということで、まず東京へとって返すことにした次第。この試合では、協会が「ワイヤレスLAN」を設置してくれたから、ホントはHPをアップしてから帰ろうと思っていたのですが、どうも・・ね。

 ということで、エコパをスタートしたのは、オシムさんの記者会見が終わった2230時あたり。そして東京に到着したのは、0020時。何かこう、心地よい疲れ。今回の走行距離は、往復で450キロくらいですかね。あんなタイプの(純粋レーシングタイプの)単車で、一日に400キロを超える距離を、(ここが一番大事なことなんだけれど・・)楽しんでライディングできたことに胸を張っている筆者なのです。でも、あとどのくらい「こんなこと」をつづけられるだろうか・・。とにかく、「それ」が私のダイナミズムのバロメーターなのですよ。

 あっと、またまた蛇足から入ってしまった。ということで試合。皆さんもご覧になったように、チーム総合力の差は歴然でした。それでも、その「差に見合った」チャンスメイクが出来ていたかといったら、小さな疑問符が付きます。特に後半がね・・。とにかく、流れのなかで相手の守備ブロックを崩し切れていなかった。要は、決定的なスペースをうまく突いていけなかったということです。まあ、サイドからはある程度効果的な仕掛けを繰り出してはいたけれどね。

 そこで出てくるのが、組織プレーと個人プレーのハイレベルなバランスというテーマなのですよ。日本チームは、人とボールがよく動く優れた組織プレーは展開できているけれど、相手守備ブロックを翻弄するような「仕掛けの変化」という視点では、まだまだなのです。もちろん組織プレーでも変化を演出できるわけだけれど、相手が予測できないような「変化」を演出するための、組織プレーと同等かそれ以上に効果的なツールが、いわずと知れた「個人プレー」というわけです。勝負ドリブルとか、タメの演出(そしてそこからのスーパースルーパス)とか・・。

 もちろんこのゲームでも、組織的なコンビネーションを駆使して相手守備ブロックを翻弄したシーンも何度かはあった。特に、中村憲剛が上がってきたときはチャンスが広がる。彼と遠藤ヤット、そして高原直泰が絡み合うコンビネーションは本当に素晴らしかったですよ。小さなワンツー・・戻しパス&ムーブ&三人目のスペースランニング・・等々。そして、憲剛から、素晴らしいサイドチェンジパスが飛んだりする。そしてそれが、目の覚めるような二点目につながったというわけです(駒野のスーパークロスに高原が飛び込んでスーパーヘッド!)。

 とはいっても、やっぱり「個人プレー」も発展させて欲しい(チーム戦術に組み込んで欲しい)と思っているのは私だけじゃないはずです。もちろんイビツァさんが言うように、ケースバイケースで、その個人プレーが、無駄で、チームのプレーリズムを乱す自分勝手アクションという評価になったり、自己責任をベースにした素晴らしい実効レベルのリスクチャレンジという評価になったりする。もちろん、ここでディスカッションしているのは、あくまでも後者の方ですよ。組織プレーとの「バランス共生」を主張できるだけの存在感(意義)のある効果的な個人プレー。それです。

 今回の記者会見でのイビツァさんの言葉のなかでは、「守備のできるクリエイティブな選手を探している・・」という表現が、(私にとって!)抜群の輝きを放っていました。私はその言葉を、このように理解します。

 「組織と個」をハイレベルにバランスさせるための最も重要なファクターは、やはり何といっても守備意識だ・・世界シーンでも、よく走り、実効あるディフェンスもできる才能ある(クリエイティブな)選手が増えている・・それは、世界的な情報化が進行していくなかで、優れたサッカーに対する理解が進み、コーチが要求する内容が進歩しているからに他ならない・・だからこそ、ポリヴァレントなのだ・・。

 その議論をもっと発展させれば、中心テーマはこうなります。中村俊輔と中村憲剛、そして遠藤ヤットの共存。前回のペルー戦では、ヤットと憲剛、そして俊輔も、守備に対して素晴らしい意識を魅せつづけたじゃありませんか。もちろん「実効レベル」じゃ、多少個人差はあったけれどネ。たぶんそこでは、互いに刺激し合っていたということだよね。彼らもまた、守備意識こそが、自分たちの創造性を発揮するための、もっとも重要なファクターであることをよく知っているということです。もちろん私は、現代サッカーでは、従来型の天才プレイヤーは存在し得ないのかもしれない・・なんていう寂しいディスカッションをしようと思っているわけじゃありませんよ。念のため。

 イビツァ・オシムさんは、こう考えているに違いありません。まず最初に「組織」ありき・・それを絶対的なイメージスタンダードというレベルまで高揚させる・・そしてそこに順次「個」を組み込んでいく・・それこそが日本の文化バックボーンに適合したプロセスだ・・ってね。

 最後に、楢崎正剛。よかった・・彼が、オシムさんの信頼を勝ち取れて本当によかった。私は、グランパスのゲームを観るたびに、「オシムさんは、いつ楢崎を招集するのだろうか・・」って思っていたのですよ。そのことについては、何度か後藤健生さんとも話し合ったことがありました。「楢崎の能力は本当に高いよ・・イビツァさんも、そのことを知らないはずがない・・たぶん近いうちに招集することになるとはおもうけれど・・」ってね。だから私は、本当に喜んでいました。もちろん、川口能活にとっても、願ってもないライバル(ポジティブ刺激の)環境でしょう。

 もう2時になってしまった。疲れたから、今日はこの辺りでオヤスミナサイ・・。
 



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