トピックス


2007_オシム日本代表・・クラーゲンフルトと、日本代表が宿泊しているバート・クラインキルヒハイムについて・・(2007年9月9日、日曜日)

「あははははっ・・そうか、雪が降っているのか・・でもまあ、オマエのことだから、どんな環境でも、サッカーだけはとことん楽しむんだろうけれどな・・」

 親友のウリが、電話口の向こうで腹をかかえて(!?)笑っています。ちょっとアタマにきたけれど、でもまあ、そんなヤツの笑い声を聞きながら、我々のあいだには隠し事のない本音トークしかないことを再認識できてホッとさせられてもいました。とにかく今のヤツは、救急医療病棟で(彼は整形外科医)てんてこ舞いの毎日だからね。

 今回のサッカー大会が行われているオーストリアのクラーゲンフルトは、有名なリゾート地。冬はスキーリゾート。夏は避暑地。それはそれは美しいアルプスの造形美というわけです。もちろんウリも、クラーゲンフルトのことを知らないはずがない。だから私が電話を掛けたとき、仕事によるストレスもあって、オマエはホントにいい生活をしているよ・・なんていうやっかみもあったことでしょう。それが、天候不順で雪が降っていると聞いて、「ザマア見ろ・・」ってな感じで腹をかかえたというわけです。

 こっちだって、「それは大変だね・・せっかくクラーゲンフルトへ行ったのに・・」なんて同情されたら気色が悪かったに違いありません。逆に、彼の本音の笑い声によって、それまでの暗〜い気持ちがカラッと晴れわたったのですよ。

 私は、まずミュンヘンに到着し、所用を済ませてから、レンタカーを駆って、ザルツブルクへ向かいました(ザルツブルクでも、宮本とアレックスが所属するレッドブル・ザルツブルクで仕事をする友人と再会しました)。そしてザルツブルクで一泊した翌朝にクラーゲンフルトへ向かったという次第。

 それぞれの都市のロケーションについては、皆さんご自身でネットで調べてくださいね。まあ、ミュンヘンから東へ150キロの、ドイツ&オーストリア国境ゾーンにザルツブルクがあり、そこから南へ220キロ下ったところにクラーゲンフルトがあるといった位置関係ですかね。

 ザルツブルクからクラーゲンフルトへの行程では、二つの峠を越えなければなりません。もちろん最後はトンネルになるわけだけれど、その両方で雪に見舞われたのです。それも吹雪。そりゃ、ビックリし、ガッカリしましたよ。え〜〜、まだ9月だぜ・・。とにかく天気が悪く、全てが「どんよりとした灰色」に染まっている。そのとき、色(天候)が、人の情緒に与える影響の大きさを身に染みて再認識させられていましたよ。

 それでも、オーストリア対日本のゲームが行われた日からは急激に天候が回復し、日中は半袖でも汗が出てくるような素晴らしくクリアな空に急変したのです。それにともなって、気持ちが前向きになっていく。そんな気分の変化を実感し、天候に(環境の色に)簡単に影響されてしまう情緒という事象に思いを巡らせたものです。そして思った。そんなことに気分が左右されるなんて、まだまだ修行が足りない・・!?

 写真は、天候が回復したクラーゲンフルトです。山や湖によって形づくられる自然の風情。そこにうまく溶け込んだ歴史ある町並みといった感じですかね。

 町の中心には、例によって「マルクト広場」があり、そこを基点にして、歩行者天国ゾーンがレイアウトされています。この写真を撮ったのは、ゲーム翌日の土曜日。多くの人々が街中に繰り出し、ウィンドーショッピングを楽しんでいました。そのなかには多くのツーリストもいるはずだけれど、一見しただけでは分からない。それは、週末に街中へ繰り出してウインドーショッピングを楽しむという行動が、彼らの日常の文化そのものだからなんでしょうね。どこの町へ行っても、ごく自然に振る舞えるということです。

 さて、クラーゲンフルト。そこは、来年、スイスとオーストリアが共催するヨーロッパ選手権(国家代表によるミニワールドカップ)の開催都市でもあります。そのこともあって、ウイーンとともに、今回の大会の会場として使用されるになったというわけです。もちろんスタジアムも改装されています。でもまだ工事中。ここに掲載した写真で分かるでしょうか。二階席は、まだ全部のシートが設置されているわけではありません。ところどころ歯が抜けたようになっているのですよ。それでもスタジアムの「こけら落とし」として、地元オーストリア代表vs日本代表のゲームが行われたというわけです。形式ではなく「実際」を柔軟に許容するヨーロッパ文化・・ってなことなんでしょう。

 ところで、わたしが宿泊しているホテル。日本からインターネットで予約したのですが、そこでも、ヨーロッパの「実際文化」を体感させられましたよ。

 そのホテル予約サイトには写真も掲載されているのだけれど、予約したときは、とにかく素晴らしい眺望のホテルのように「見え」ました。クラーゲンフルトに隣接する美しい湖「ヴェルターゼー」が一望。もちろん、その背景はヨーロッパアルプスだからね。まさに絵に描いたような・・。とはいっても、本当に素晴らしい環境に恵まれているのかどうかは行ってみなければ分からない。それに、そんな素晴らしい眺望をバルコニーから楽しめるという割には、宿泊料は安い。さて・・。

 ちょっとドキドキしながら、レンタカーに設置されたカーナビの音声に従い(例によって女性のアナウンス)、一路ホテルへとクルマを走らせていた次第。

 この頃のカーナビは、ヨーロッパ全土をカバーするタイプも増えてきています。今回借りたカーナビもヨーロッパ全土を網羅しているタイプです(インターネットで予約した際にリクエストしておいたのです!)。メモリーの性能がアップしたということなんでしょうか?? その高性能カーナビが、「ここで高速道路をおりてください・・そこが目的地です」と言う。見たら、それはアウトバーンのサービスエリアへの入り口。「エッ? そこは違うだろう・・」と思いながらも、アウトバーンをおり、サービスエリアへ入ったのですよ。そして目に飛び込んできたのが、私が宿泊を予約したホテルの名前。「パノラマ・モーテル」

 ビックリしましたよ。何だこりゃ・・でも、たしかにモーテルだ・・。ちょっと唖然、呆然。こりゃダメだ・・多くのクルマが行き交うから騒音もキツイだろうし、サービスエリアのなかなんて風情も何もあったものじゃない・・。それでも、とにかく休憩を取りながら、一度ホテルを見てみることにした次第。

 ただ、予約した「バルコニー付きのシングルルーム」に入ってみてまたビックリ。キレイだし(新築ビル)、バルコニーからは、湖とアルプスの山並みが、まさに一望なのですよ。それに、サービスエリアの駐車スペースや道路が建物の背後にレイアウトされていることで、サービスエリアの機能とホテル機能は、完全に切り離されている。もちろん騒音などはまったく気にならない。湖に張り出した山の中腹に建てられたホテルの一室・・。そんな趣なのです。いっぺんに気に入りました。もちろん、クルマがなければどうしようもないホテルだけれどネ。

 日本だったら、サービスエリアに隣接するホテルというだけでイメージが悪くなるんじゃないだろうか。でも、そのことはヨーロッパでも同じはず。それでも「実際」には・・。このホテルも、口コミで繁盛するようになるのだろうか。受付の方は、多くの予約が入っていると言っていたけれどネ・・。

 そして、今回のシンプルな(内容のない!?)情報コラムのトリを取るのが、日本代表チームが宿泊する山中の村、バート・クラインキルヒハイム(Bad Kleinkirchheim)ということになります。クラーゲンフルトから、クルマで一時間くらいもかかる山のなか。そこは、スキーリゾートとして有名なところです。まさに、アルプスのハイジを連想させるような風情。美しいところです。でも遠い・・。

 オーストリア戦の後、日本選手を乗せたバスは、一時間以上もかけてホテルに戻ったとのこと。到着したのは夜中を過ぎていたと聞きます。また毎日のトレーニングだけれど、それは、その村にあるサッカー場で行われます。ということで、今度は、特にフリーランスのジャーナリスト連中にとっては厳しい状況になります。何せ、公共交通機関は皆無に等しいですからね。タクシーでは、片道15000円もかかるらしい。わたしも、できる限り、仲間のフリーランスジャーナリストの「足」をやるようにしたけれど、彼らも、仲間を募ってレンタカーを調達するなど、柔軟に(実際的に)対処していました。

 一体どうして、そんな辺鄙なところを宿舎にしたのだろう・・。そんな単純な疑問を持ったわけですが、それに対して、ある方から「オシム監督が決めたらしいですよ・・」と聞かされた。もしそれが本当ならば、オシム監督は、そのことに一体どんな(前向きな)意味合いを持たせるつもりなんだろう・・と、大きな疑問符が浮かんだモノでした。

 でも、その背景を信頼のおける情報ソースに確かめたら、本当はこういうことだったと判明したのですよ。要は、来年のヨーロッパ選手権でも、この村が代表チームの「基地」になることが決まっている・・ついては、今回の大会で予行演習をしておきたい・・そんなオーストリア協会の意向を日本代表が快く受けた・・。何だ、そういうことだったのか。危ない、危ない・・。やはり情報は、しっかりと正確に取材しなければいけない・・。そんなことも再認識した(学習した)次第。

 ちなみに、明日(10日)のゲーム前日公式トレーニングは、クラーゲンフルトのスタジアムではなく、日本代表の宿舎からそんなに離れていない「フェルトキルヒェン」という町のスタジアムを借りるということに決まったそうな。それも実際的な判断。良かった、良かった。

 ということで、(あまり内容のない)周辺情報コラムでした(写真付きだから、内容についてはご容赦アレ)。明日には、スイス戦を前に、少し突っ込んだ「戦術的な考察」をしてみようと思っています。では・・

==========

 しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。本当に久しぶりの、ビジネスマンをターゲットにした(ちょっと自信の)書き下ろし。それについては「こちら」を参照してください。

 




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]