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- 2007_ACL決勝の2・・おめでとう、そしてありがとう・・(レッズvsセパハン、2-0)・・(2007年11月14日、水曜日)
- この試合に臨む両チームのゲーム戦術的なイメージは「こんな」具合でしたかね。
・・失点しないように、とにかく堅実に守備ブロックを組織する・・それをベースに、相手が全体的に下がったら人数をかけた組織コンビネーションを仕掛けていくし、ボールを奪い返したポジションや状況に応じてカウンター気味の仕掛けを繰り出していく・・もちろんセットプレーは貴重な機会・・等。それは、両チームに共通したゲーム運びイメージだったと思います。
そしてゲームは、まさにそのイメージを正確にトレースしていく。ただ実際には、立ち上がりから、ホームのレッズが様々な視点で明確に優位に立ちます。ラッキーなスルーパスを受けた永井雄一郎がキャノンシュートを決めた前半22分までのシュート数は、レッズの4本に対して、セパハンは1本のみ。内容的にも、レッズが作り出したチャンスはゴールの可能性を感じさせたけれど(トゥーリオのヘディングや長谷部のミドルシュートなど)、セパハンのシュートは、レッズ守備に詰め寄られ、どうしようもなくなって放ったアバウトなロングシュートだけだったから、まあ、レッズが完全に「流れ」を掌握しつづけていたと表現できるゲーム展開ではありました。
ゲームのテンション(緊張)状況だけれど、それは、まさに究極といえるレベルまで張りつめていました。セパハンは、とにかくゴールさえ奪えば、状況は雲泥ともいえるほど好転します。対するレッズだけれど、一点を取っても、また「2-0」までリードしたとしても、セパハンにゴールを奪われたら、まさに「心理プレッシャーの地獄」へ真っ逆さまなのですよ。
要は、(勝ち点・得失点差が同じ場合)アウェーゴールが二倍に換算されるというルールが効くということです。たとえレッズが「2-0」でリードしたとしても、セパハンが一点を返して「2-1」にさえすれば、状況は、セパハンにとって格段に有利なものへと変容していきますからね。どちらにしても攻めざるを得ないセパハンだから、吹っ切れた心理で、嵩にかかってくるでしょう。その「流れ」が怖いのです。
サッカーでは交通事故のような偶発ゴールも多いわけで、時間帯によっては、それが「さよならゴール」を意味することは、レッズ選手も痛いほど感じざるを得ないということです。そんなイメージが、ちょっとでも脳裏を占拠したら、プレーが(安全に、確実にと考えすぎることで!?)縮こまってしまうかもしれないし、逆にセパハンの吹っ切れ具合が、天井知らずってなことになっていくでしょう。サッカーはホンモノの心理ゲーム・・なのです。
だからこそ、レッズが「1-0」でリードを奪ってからのディフェンス内容こそが、私にとって重要な学習テーマだったのですよ。ホンモノの意志の強さが試されるというポイントも含めてね。
でも実際は、私の心配は杞憂に終わりました。レッズの強者たちは、意志の強さを誇示するかのように、最後の最後まで立派に闘い抜いてくれたのです。彼らには明確に「道」が見えていたに違いありません。
意志さえあれば、おのずと道が見えてくる(自然と道が出来てくる)・・。誰が残したものだったっけ。とにかく素晴らしい言葉です。もちろん、セパハンの勢いが目に見えて増幅しだした最後の20分は、正直、気が気ではありませんでしたがね。何せサッカーは、偶然と必然のせめぎ合いだから・・。
「1-0」から「2-0」へとリードを広げた状況での(相手がガンガン押し上げてきている状況での)レッズの守備だけれど、第一戦のように、ディフェンスブロックが完全に崩されて決定的なシュートをブチかまされる等といったピンチは皆無でした。レッズの守備ブロックは、決定的なカタチになる前の段階で、セパハンのシュートチャンスを演出する芽を効果的に摘み取っていたのですよ。
それは、ボールがないところでの守備プレーの「量と質」が、アウェー戦とは比較にならないくらいアップしたからに他なりません。勝負はボールのないところで決まる。やはりイスファハーンで行われたアウェーゲームでの空気の薄さは厳しかったということなんでしょうね。だから、ボールがないところでの全力カバーリングやマーキング(要は、全力で戻る動き)が、殊の外苦しい作業だったということです。
それに対してこのゲームでのレッズは、相手のボールホルダーを抑えるチェイス&チェックが十二分に機能していただけではなく、その「守備の起点プレー」をベースにした協力プレス、インターセプト狙い、ボールがないところでの忠実なマーキングといったボールがないところでの守備プレーが本当にうまく連動していたと感じました。まさに、有機的なプレー連鎖の集合体といったハイレベルな組織ディフェンス。数日前のフロンターレが魅せつづけた組織ディフェンスのようにね。
そんなふうに、様々な守備プレーが有機的に連鎖しつづけたからこそ、嵩にかかろうとするセパハン攻撃の「イメージ・リンク」を未然に分断することができたのですよ。嵩にかかろうとするセパハンの攻めを、要所要所で、効果的に「潰す」レッズといった構図。
いつものように、最終ラインでのトゥーリオの存在感は素晴らしいの一言でした。勝負所では、決して安易にアタックを仕掛けるのではなく、ウェイティングからのフェイントで相手のアクションを「誘発」したり、相手が抜け出す方向を読んで、スッとコースに入ってボールを奪ってしまう。ギリギリの競り合い(走りっこ)でも決して負けることがない(身体の使い方が抜群にうまい!)。またカバーリングでは、冷静に、相手のラストパス(クロスボール)のコースに入って的確にボールをクリアしたり、味方の競り合いに効果的にヘルプしたりする。いや、ホントに素晴らしいディフェンス振りでした。
まあ、中盤で鈴木啓太と長谷部誠が魅せつづけた、ディフェンスでの大車輪の活躍については書くまでもないでしょう。それがあったからこそ、トゥーリオを中心にした最終ラインも上手く機能しつづけたというわけです。また長谷部誠については、自身がゲーム前に言っていたように、忠実な守備をベースに、攻撃でも「3人目」として効果的な押し上げも魅せつづけていました(もちろん鈴木啓太も、チャンスを見計らって押し上げ、仕掛けの流れに絡んでいった!)。
数日前のフロンターレ戦レポートでは、永井雄一郎とワシントンはチェイス&チェックをやらないと苦言を呈しました。ただこの試合では、前言撤回せざるを得なくなった。もちろん、全体的なディフェンスのプレー内容&忠実度&頻度については「まだまだ」だけれど、それでも意識の高さは感じられましたよ。何といってもチャンピオンズリーグ決勝だからね。特に永井雄一郎は、頑張った。これで、ボール奪取テクニックを磨けば、確実に一皮むける。とにかく、守備は、すべてのスタートラインなのですよ。特にフォワードにとってはネ。
ちょっとアタマが回らなくなってきた。とにかく浦和レッズに対しては、「おめでとう」という言葉を贈るだけではなく、日本のサッカー人の一人として、心から感謝もしています。おめでとう、そしてありがとう。
乱筆、乱文、誤字、脱字・・失礼。
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しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(ウーマン)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま四刷り(2万数千部)ですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞、東京新聞の(また様々な雑誌の)書評で取り上げられました。またNHKラジオでも、「著者に聞く」という番組に出演させてもらいました。また、スポナビの宇都宮徹壱さんが、この本についてインタビューしてくれました。その記事は「こちら」です。
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