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2007_アジアチャンピオンズリーグ(ACL)・・ベクトルは着実に上向きつづけている・・(レッズvs上海申花、1-0)・・(2007年4月11日、水曜日)

短くまとめます。まず試合プロセスについての印象から・・。

 立ち上がりのレッズは、素晴らしい組織プレーの連続から何度も決定機を迎えました。永井が、ワシントンが・・。でも決められない。

 そこまでのプロセスでは、とにかく上海が「寝ていた」としか言いようがありませんでした。レッズの攻撃を待っているだけの守備ブロックのプレー姿勢・・チェイス&チェックもないしマークも甘い・・またボールがないところでの勝負のフリーランニングにも付いていかない・・等々。

 「これじゃ、いったい何点入るか分かったもんじゃないな・・上海が、シドニーやケディリに完敗したのもうなづける・・」、なんてことを思ったものです。だからこそ、その後の膠着状態が、余計に歯がゆく感じられたんでしょうね。「こんな相手に・・」という思いがつのったということです。でも、冷静に観察したら・・。

 上海は、個人的な能力では、決してレッズに引けを取っているわけじゃないのですよ。局面での一対一勝負では、簡単に負けることがないし、立ち上がりの10分を除き、その後は、しっかりとスペースをマネージできていたしね。レッズの単純なスルーパスやワンツーなども、正確に予測し、狙うスペースをケアーしてしまったりとかね。けっして甘く見てはいけない。

 これまでの上海は、内なる敵と戦っていたということなんだろうね。だから、試合に集中できず、モティベーションもアップしなかった。それが、レッズが仕掛けてきた猛攻という「刺激」を受け、徐々にパフォーマンスがアップしていったということかもしれない。後半最後の10分間では、個人プレーもうまくミックスした素晴らしい組織的な攻めなど、彼らが本来もっている実力をかいま見せてくれました。

 前半の立ち上がり以降のレッズは、どうも、上海が展開するノラリクラリのサッカーという「睡眠薬」によって熟睡してしまった感がある。とにかく、ボールがないところでのアクションが目に見えて停滞していったからね。

 それまでは、永井とポンテ、小野と長谷部、そして両サイドの阿部と山田が、かなりダイナミックに縦横のポジションチェンジを繰り返していた。そこでは、斜めに走り抜けるフリーランニングが「交錯する」なんていう素晴らしいランニングも出てきたりしていたのですよ。それが・・。

 まあ、とはいっても、後半は再び持ち直しました。数日前のジュビロ戦でのレポートでも書いたけれど、徐々に、ボールがないところでのアクションが上向いているのです。だからこそ、組織プレーもうまく機能しはじめているというわけです。

 さて、この試合でのキーパーソン。それは阿部勇樹。決して、彼が決勝ヘディングゴールを決めたからというわけじゃありません。ピックアップするのは、彼が魅せつづけた、ボールがないところでの勝負フリーランニングなのです。

 ゲーム立ち上がりに永井へ送り込んだ(ゴールラインの平行に走る)トラバース・クロスのシーンだけではなく、その後も何度か、彼が仕掛けるパスレシーブの動きによって決定的スペースを攻略しました。それは、彼が、スペースへのフリーランニングを「走り抜けた」からです。守備側にとって、脇目もふらずに走り抜ける「確信のフリーランニング」ほどイヤで厄介なモノはないのですよ。

 味方が仕掛けの起点(ある程度フリーでボールを持つ選手のこと)を演出した次の瞬間、前方の決定的スペースへ飛び出していく阿部勇樹。ただ、阿部がイメージするスペースへ直接的にパスが回されることはなく、まず横パスが入る。それでも阿部勇樹のフリーランニングの勢いが衰えることはない。走るコースを柔軟に変えながら、とにかく決定的スペースへ走りつづける阿部。そして、ワン・ツー・スリーというタイミングで、阿部がイメージする決定的スペースへスルーパスが通されるのです。

 観ている方にとって、エキサイティングそのものといった仕掛け。それこそが、「上向きのレッズ」を象徴する(ボールがないところでの)プレーだったというわけです。

 




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