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2007_ACL(アジア・チャンプリーグ)・・とにかく決勝トーナメントに駒を進められてよかった・・(レッズvsシドニー、0-0)・・(2007年5月23日、水曜日)

良かった。アジアチャンピオンズリーグのベスト8に、日本の二チームとも勝ち上がった。「とにかく目標を達成したことが大事だった」。監督会見で、ホルガー・オジェック監督がそう述べていた。まあ、そういうことだけれど、それでもやっぱり内容もしっかりと評価しておかなければいけません。

 この試合では、勝たなければならないシドニーの、残り10-15分という緊迫した時間帯での攻めの内容がポイントだったですかね。結局シドニーは、レッズ守備ブロックを崩すというシーンを演出できなかったのですよ。それが彼らの実力レベルだったということです。もちろん、レッズの守備ブロックの集中力も素晴らしかったけれどね・・。

 とはいっても、シドニーが、全体的には立派な攻撃サッカーを展開したことは確かな事実です。しっかりとボールを止め、しっかりと蹴ることが出来れば、特別に秀でた個の才能がいなくても、ちゃんとしたサッカーになる・・。彼らは、その典型のようなチームということでしょう。その、シンプルで忠実なサッカーに、大いにシンパシーを感じたものです。

 特にディフェンスがよかった。コンパクトにまとまり、チェイス&チェックから、協力プレスやボール奪取勝負まで、一人の例外もなく、全員がフルパワーでチャレンジしつづけていました。そして、そのダイナミックな守備をベースに、シンプルに、忠実に、サイドから攻める。彼らが作り出したチャンスは、少なくとも2-3本はありました。

 そんなシドニーに対し、レッズは、全体的に鈍重なプレーに終始しました。たしかに守備ブロックは、「堅実さ」という視点ではまあまあ機能はしていたけれど、でも、それをベースにした次の攻撃への移行プロセスが・・。

 要は、次の攻撃での人数が足りないから、組織的な仕掛けがうまく機能しないということです。そして、前線の三人の個の勝負に任せきりになってしまう。もちろん両サイドの山田と相馬は、部分的に攻め上がってはいたけれどね(前半の、ポンテから相馬、そこからのクロスに小野が飛び込んだ絶対的なチャンスは惜しかった・・あのシーンでの小野はアタマで飛び込むべきだったように見えたけれど・・)。

 そんなレッズだったけれど、後半の立ち上がりに魅せたダイナミックなサッカーには、思わず、「それだ、それだヨ!」と声が出たものです。全体的にコンパクトな組織ディフェンスで次々とボールを奪い返し、そこから間髪を入れずに、人数をかけた組織的な攻撃を仕掛けていく。

 そんなシーンを見ながら、やはり前線と守備ブロックとの「距離」に対する感覚がものすごく大事だという事実を反芻していました。前半は、とにかくアコーデオンのように、その距離が長くなったり短くなったりを繰り返していたからね。その要因としては、前線の戻りが鈍かったことと、後方ブロックの押し上げも鈍かったという二面性があったわけだけれど、それをマネージするリーダーがいなかったという事実もあるよね。

 さて、後半立ち上がりのグッドペース。大いに期待したけれど、結局それも、5分くらいで頭打ちになってしまった。シドニーの守備が再び勢いを増しはじめてからは、ズルズルと下がってしまい、再び、前線と守備ブロックに関する「距離感覚」が鈍くなっていったのですよ。そして前半のように、シドニーに全体的な試合の流れを牛耳られるという展開にもどってしまう。とはいっても、シドニーに崩し切られるというシーンはほとんどなかったけれどネ。それにしても、レッズの攻め上がりは鈍重の極みでした。

 また後半16分に長谷部が登場してからもペースが少しアップしました。要は、長谷部が魅せた、素晴らしいディフェンス能力をベースにした「攻撃へのリンク能力」によって、ボールを奪い返してから、よりスムーズに攻撃が展開されていったということです。でも、そのペースもまた、すぐに頭打ちになってしまう・・。

 要は、まだまだレッズは、良い組織プレーのペースを持続できないという大きな課題を抱えているということです。まあ、やはりその絶対的な基盤は「中盤守備の内容」にありということだよね。

 鈴木啓太のパフォーマンスは、例によって高みで安定している。阿部勇気もしかり。またポンテのプレーも、攻守にわたってメリハリが効いている。長谷部も、全体的には持ち味を発揮した。それに対して小野伸二。前回よりは確かに良くはなっているけれど、どうも全体的な運動量や攻守の勝負所での実効レベルが上がっていかない。

 たしかに動こうとはしているけれど、肝心なところで足を止めてしまう。もっと、もっと動き、良いカタチでボールに触らなければ(そして守備にも貢献しなければ)、彼の良さである、素早く正確なボールコントロールからの「相手にとって危険なボールの動き」をマネージする能力(才能)が活きてこない。

 たしかに、ボールを持ってからのリスクチャレンジ姿勢は、グランパス戦、そしてこの試合でも良くなりつつあるとは感じたし、またミドルシュートにしても、チャレンジする姿勢を前面に押し出していた。良くなる傾向にはある。でもまだまだ足りない。だから見ている方もフラストレーションが溜まる。さて・・。

 まあ、この試合についてはこんなところでしょうかね。

 




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