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2007_CL・・リヴァプールが展開した、イメージが有機的に連鎖する素晴らしい守備・・リヴァプールvsバルサ(0-1・・でも二戦トータルでリヴァプールが勝利)・・(2007年3月7日、水曜日)

いや〜、ホントに最後の最後まで手に汗握ったね。リヴァプール対バルサ。全体としては、リヴァプールの「ゲーム戦術」が、まさに理想的に機能しつづけた勝負マッチといったところですかね。この二戦を通して、ベニテス監督の「ホンモノのウデ」が光り輝いた決勝トーナメント一回戦でした。

 第一戦で、アウェーのリヴァプールが2-1と勝利したから、バルサは、攻めるしかないという状況。ただ彼らは、あくまでも前後左右のバランスを考えながら、しっかりとボールをキープしながら攻め上がっていった。リヴァプールに先制されたら、それこそ、そこで終わってしまうからね。そんなところにも、究極の緊張感が放散されていた。

 対するリヴァプールは、例によって、ポジショニングバランス・オリエンテッド守備が素晴らしい機能性を魅せつづける。これについては、後述しよう。

 そんな緊張感のなか、ボールだけは支配するバルセロナに対し、ホームのリヴァプールが、まさに蜂の一刺しという鋭い攻撃を仕掛けていくのですよ。カウンターというわけじゃない。ここぞ!というシーンで、チャンスのニオイを嗅ぎつけた選手たちが、スッ、スッと前のスペースへ入り込んでいくのです。そして、そこへしっかりと仕掛けパスが回される。

 そして、リーセが惜しいシュートを放ち(一本はバー直撃!)、つづいて三本も連続して決定的シュートをブチかます。まさに、入らない方が不思議といったリヴァプールのチャンスでした。フム、素晴らしい。そんな確信の攻め上がりにしても、守備ブロックが組織的に素晴らしく機能しているからに他ならないと感じていました。守備こそが、すべてのスタートラインなのです。

 そんなリヴァプールに対して、ポゼッション(ボール保持率)は高いけれど、まったくといっていいほどチャンスを作り出せないバルサ。まあ、ボールを「持たされていた」バルセロナというニュアンスだよね。

 後半8分に、偶発的な決定機を得たロナウジーニョだったけれど(シュートは右ポスト直撃!)、それ以外は、まったく消えてしまっていた。もちろんボールには絡んでいたけれど、守備をやらない、ボールがないところで走らないという彼に期待されているのは、ボールを持ち、正対する相手マーカーを抜き去って仕掛けの起点になること(決定的スペースでフリーでボールを持つこと)だからね。その意味では、このシュートシーン以外、まさに消えていた。

 そんな、バルサの完敗ペースのゲーム内容だったけれど、それでもリヴァプールは、あれほどの決定機をゴールに結びつけられないのですよ。そのとき私は、神様のスクリプトを背景に感じていました。そして、そんな雰囲気のなかで、交代したグジョンセンが先制ゴールを決める。あっ・・やっぱり・・。

 でも結局今回の神様は、サッカー的なスクリプトをお許しになられました。そう、サッカー的には、まさにリヴァプールの順当勝ちだったのです。そして、そのバックボーンが素晴らしいディフェンスだった・・。

 前述した、ポジショニングバランス・オリエンテッド守備のリヴァプールだけれど、要は、最終ラインと中盤ラインが、常に「ボックス形状」をキープしつづけるゾーンディフェンスを敷いていたということです。そして、最高の集中力で、ボール奪取勝負ポイントを探りつづける。その機能性は、美しくさえありました。

 バルサに後方ではキープさせるけれど、タテに仕掛けのバスが入れば、様相が一変する。ズバッと詰めてくるチェイス&チェック・・ただし、安易にアタックを仕掛けたりとはしない・・リヴァプールの1対1の強さは、やはり世界レベル・・そして、その周りで、次のパスを狙う(インターセプトやボール奪取勝負を狙う)味方・・また、味方の協力プレスの動きが、チェイス&チェックのプレーにスムーズに連動している・・等々。

 彼らの場合、そんな守備の動きによって互いのポジショニングバランスが崩れないのです。バルサの攻めてくるゾーンへ守備ブロック全体を効果的に「寄せる」。そして、チェイス&チェックの動きで空いたスペースは、すぐに味方が埋めるけれど、それは、協力プレスやカバーリングプレーと限りなくイコールという徹底した効率ディフェンスです。

 そして最後のボール奪取勝負の瞬間には効率よく「集中」し、同時に、別なグループは、次の攻撃へ向けたポジショニングへ移行していく。まさに、究極の実効性を追求した「集散プレー」じゃありませんか。

 そんなリヴァプールの守備を観ながら、これぞ「有機的なプレー連鎖の集合体」だと舌鼓を打っていた湯浅でした。

 とはいっても、やっぱり、美しさと勝負強さが高質にバランスしているバルセロナが敗退したことは残念で仕方ないけれどネ。

 




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