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- 2007_天皇杯準々決勝の2・・瞬発力というテーマと、最高の充実サッカーを展開するサンフレッチェというテーマ・・(2007年12月23日、日曜日)
- とても立派なサッカーで、サンフレッチェが準決勝に駒を進めました。わたしは、今日もテレビ観戦。「俯瞰的な観戦ファクターを得る」という点では、やはりテレビ観戦には限界があるけれど、諸般の事情で仕方ありませんでした。
例によって、天皇杯の決勝は、ラジオ文化放送で解説する予定だから、とにかく、トーナメントの勝負マッチを通した各チームの「発展や変化」を観察し、それを体感しながら重要なファクター(要素)を脳内の引き出しに整理してストックしておくことには重要な意味があるのです。
現場のコーチング(グラウンド上での実際の指導)でもそうだけれど、サッカーのプロにとっては、様々なサッカー現象と対峙したとき、瞬間的にどのくらい(哲学的に)深く広いレベルの思考や発想ができ、それをしっかりとした言葉で表現できるのかというところに、その人の(プロとしての)ポテンシャルが如実に現れてくるものなのです。まあ、ビジネスも含む実生活において、「様々な事象に対して敏感に反応し、それが内包する意味を考えることで充実した経験を積み重ねていく・・」なんていう姿勢と同義でしょうね。要は、小さなコトに敏感になるのは大事な姿勢だという先人の教えのことです。
我々コーチは、それを「瞬発力」と呼ぶのだけれど、常にそれを磨き、鍛え上げていなければならないのですよ。まあ、わたしがよく使う「学習能力」も、その重要なバックボーンだということです。だからこそ私は、とにかくたくさんの勝負マッチを観戦し、そこで「小さなコト」を探しつづけるのですよ。
あっと・・ちょっと「深入り」が過ぎてしまいそうになった。
ということでサンフレッチェ。とても「J2」に落ちるチームとは思えない立派なサッカーを魅せてくれました。たしかに後半は、(表面的には!?)FC東京に押し込まれたけれど、局面勝負で(小さなトコロで)負けることなく、充実した集中力でFC東京の攻めを抑制していました。その意味で、順当にFC東京を「ゼロ封」したと表現できる立派な勝利だったとするのがフェアな評価でしょう。
とにかくサンフレッチェは、守備が素晴らしかった。中盤からの積極的なチェイス&チェックが、その周りで展開される「ボール奪取勝負アクション」の機能性と、素晴らしい有機的な連鎖を魅せつづけるのですよ。そして、そんな動きのある守備を展開していたからこそ、次の攻撃でも、人とボールを活発に動かしつづけ、スペースをうまく活用するような組織的な仕掛けを繰り出していけた。たしかに後半は押し込まれたけれど、たまに繰り出す(柏木が中心になった)カウンターは抜群に危険なニオイを放っていた。
やはりディフェンスこそが全てのスタートラインなのです。昨日、アントラーズとの対戦において、素晴らしいサッカーコンセプトと実行力で存在感を誇示した「ホンダFC」もそうだった。彼らが魅せたダイナミックサッカーの根幹も、もちろん主体的&エネルギッシュな守備にあったのです。この日のサンフレッチェは、昨日のホンダが展開した素晴らしい組織サッカーに、ちょっとだけ「特長ある個のチカラ」で味付けした(味の深みを増した)といった雰囲気ですかね。
そんな彼らのダイナミックサッカーからは、選手の意識(意志)が抜群に高いことを痛いほど感じました。たぶんそれは、「次のシーズンには絶対に一部に返り咲くぞ!」という意気込みとも表現できる心理パワーなんだろうね。そこでは、クラブが、ペトロヴィッチ監督の続投を決定したことも大きかったと思いますよ。彼の路線は、正しいベクトル上にあるし、選手も、そのことをしっかりと体感しアグリーしているということです。
私は、「J2」へ降格することに、以前ほど「地獄イメージ」は伴わないと思っているのですよ(たしかに経済的には、まだまだ厳しいだろうけれど・・)。要は、地域社会とのつながりが充実してきているということです。だから「J2」に落ちても、地域密着コンセプトのポジティブな展開によって、観戦価値が大幅に落ちることはない。要は、そこで「も」、偶然と必然が交錯するエキサイティングなドラマが展開される(観客も、その非日常のドラマを共有できる)ということです。もしかしたらそのドラマは、「J1」のときよりも、もっと血湧き肉躍るものになるかもしれない・・。
またそこには、「J2」でも、「サッカー的な価値」が以前とは比べものにならないくらいに充実してきているという事実「も」あります。それもまた、「J1」と「J2」の入れ替えの活性化も含め、「J」というプロリーグが培ってきた累積価値なのです。
さて、そんなサンフレッチェの次の相手は、リーグ随一の実力チーム、ガンバ大阪。私は、アントラーズ対フロンターレを観戦しに行かざるを得ないのですが、どちらかといったら、エコパへ行きたかったナ・・なんてネ。それほどサンフレッチェのサッカーが充実していたということです。
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しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(ウーマン)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「五刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞、東京新聞の(また様々な雑誌の)書評で取り上げられました。NHKラジオでも、「著者に聞く」という番組に出演させてもらいました。また、スポナビの宇都宮徹壱さんが、この本についてインタビューしてくれました(その記事は「こちら」)。またサボティスタ情報ですが、最近、「こんな」元気の出る書評がインターネットメディアに載りました。
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