トピックス
- 2007_ヨーロッパの日本人・・高原直泰と、中村俊輔(オメデトウ!)・・(2007年4月23日、月曜日)
- さて、まず久しぶりの高原直泰についてショートコメント。
彼がハンブルガーSVでブンデスリーガデビューを果たした当時、とにかく動き回ってたくさんボールに触らなければいけないと書いていたことを思い出します。もちろん、たくさんボールに触れば、より早くリーグに慣れるという意味も含めてだけれど、それ以外にも、当時のハンブルクには、ロメオという絶対的なストライカーがいたという視点もありました。彼が、常に最前線トップの中央ゾーンを埋めていたのですよ。
そのことで高原は、ソイツ(最前線のフタの)周りで衛星のようにプレーせざるを得なかった。だからこそ、(守備も含めて)もっとたくさんボールに触ることで、彼が中心になったコンビネーションをスタートさせることが大事だと思っていたわけです。そうすれば、彼自身が、より多くシュートポジションへと入っていけるはずだと・・。
それに対してフランクフルトでは、最前線のスピアヘッド(矛先)というイメージでプレーする。そのこともあって(もちろん高原自身の意図と意志もあって)、確実にボールへの絡み方は変化してきていると思います。仕掛けプロセスではシンプルにボールを展開し、そのままゴール前のシュートポジションへ入り込んでいくというイメージ。
もちろんドリブルチャレンジもあるけれど、直接的にシュートにつながる場面以外は、決して無理はせずにシンプルにボールを動かして(もちろん着実なボールコントロールや正確なパスには本格感があふれている!)シュートポジションへまっしぐら・・というイメージに徹しているのです。今シーズンの成功は、そんな徹底プレーが功を奏しているということでしょう。
この試合(ホームでのボーフム戦)では、惜しいミドルシュートをブチかましたし(ギリギリで左へ外れていった!)、決定的なヘディングシュートも放った。また、勝負ドリブルからのシュートチャレンジもあった。たしかにそれ以外では(シュートを打つという攻撃の目的を達成するための)実効プレーは目立たなかったけれど、高原のなかで、本格的ストライカーの雰囲気が醸成しつづけていることは確かな事実なのです。
============
さて、中村俊輔。
すごいネ〜。強い星の下に生まれたとしか思えないよね。何せ、ロスタイムに、リーグの優勝を決める決勝フリーキックを決めちゃうんだからね。それも、相手GKの意図の逆を突いた(前半のフリーキック場面では、ニアポスト側へのカーブシュートを読まれていた・・だから、そこでは、ファーポストサイドを狙った!)、ファーポストに当たってサイドネットに吸い込まれるという完璧なシュートだった。鳥肌が立ちましたよ。
この試合での中村は、攻守にわたって、いつも以上に積極的なプレーを展開しました。リーグの優勝が掛かっていたし、自身のリーグ年間MVP(選手協会選出)のタイトルも掛かっていたということもあったんだろうね。気合いレベルが違っていたと感じました。
ところで、彼のプレーを形容する表現だけれど、「積極的」というだけじゃなく、「力強く」というのも付け加えましょう。この試合では、何度も、「かわす」だけではなく、相手を抜き去るという勢いを感じさせる力強いドリブルを魅せてくれたからね。そこでの前進する力強さは、まさに本格的。相手のアタックを誘発して「かわす」というのではなく、相手に正面から突っ掛けていって抜き去るという意志があったのです。
また、後方から相手に何度も蹴られているにもかかわらず、しっかりとボールをキープしつづけるという「力強さ」も魅せてくれた。タフなプロの本格感。フムフム・・。
もちろん、魔法のボールコントロールから繰り出される展開パスも効果的。彼のプレーからは、ボールを常に動かしつづけることに対する強い意図と意志を感じます。
セルティック中盤の「強面」、レノンからショートパスを受けた俊輔が、ダイレクトでレノンへリターンパスを返し、そのままパス&ムーブで次のスペースへ走っていく・・一度ボールをコントロールしてタメを演出し、そのゾーンに相手の視線と意識を集中させてから、正確なサイドチェンジパスやロングパスを繰り出す・・素早くコントロールして、決定的スペースへのラストパスを決める・・などなど。どれをとっても一流です。だからこそ味方も、俊輔が良い体勢でボールを持った次の瞬間には、決定的スペースへ爆発スタートを切るというわけです。
もちろん課題も多いよ。例えば守備。足が遅いのだから、相手がイメージするスペースを読んで、そこへもっと早いタイミングでスタートしなければならないとか、先制ゴールをアシストした直後に起きたマークミスとか(相手にフリーでヘディングさせてしまった)・・。また攻撃では、もっと自分から決定的スペースへ入りこんで行ってもいいし、もっと頻繁にミドルシュートにチャレンジしてもいい。彼のミドルシュートは、まさに世界レベルなのだから・・。
それにしても、セットプレーだけではなく、プレーが流れている状況で放たれる彼のクロスボールは、相手にとって大きな脅威だよね。とにかく正確。そしてボールの質がいい。だから味方も、確実に「ピンポイント」をイメージして飛び込んで行ける。要は、止まって「スタンディングヘッド」をするのではなく、常に走り込んでジャンプし、相手と競り合えるということです。それは、本当に大きな「イメージ・ウェポン」だよね。要は、イメージがシンクロした最終勝負を「いつでも」仕掛けていけるというわけだからね。
そんなことを書きながら、2004年10月13日のオマーン戦で決勝ゴールを演出した俊輔のスーパークロスボールを思い出していた・・。
最後に・・。中村俊輔選手、本当にオメデトウございました!!
-
[ トップページ ] [
Jワンポイント ] [湯浅健二です。
]
[ Jデータベース ]
[トピックス(New)] [
海外情報 ]