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2007_「J2」_第51節・・おめでとう、カリオカ!・・(ヴェルディ対愛媛FC、2-1)・・(2007年11月25日、日曜日)

「最後の時間帯に攻め込まれ、ドタバタしたことが不思議だったけれどネ・・」

 試合後の記者会見での、ヴェルディ、ラモス監督のコメントでした。それに対して、微笑みながら、心のなかで「なにを言ってんだよ・・分かっているくせに・・」なんていう悪態をつく湯浅なのでした。

 ヴェルディが「事実上の」昇格を決めて本当に嬉しい。得失点差からすれば、少なくとも二位は確定のハズだからね。そのハッピーな感覚の背景には、カリオカ(ラモス監督)をサポートしていた気持ちもあるし、これで来シーズンの「J1」がより華々しいものになる(メディアノイズがアップすることでサッカー文化も広く普及する!?)に違いないという思いもある。まあ、そんな思いがあったからこそ「最後の時間帯でのドタバタ」が許せなかったわけだけれどね・・。

 何度も愛媛に決定的なカタチを作り出されてしまったというドタバタ。それは、もちろん、守備での甘さが原因です。決勝ゴールをブチ込まれた愛媛が、何も失うモノがない吹っ切れた勢いでガンガン押し上げてくることは当たり前。そんなことは先刻承知なのです。にもかかわず、心理パワーが何倍にも増幅しつづけるという相手の「変容」を予想した対処プレーが出来なかったヴェルディ。とにかく、守備が甘かった。

 要は、ボールに対する「寄せ」が甘いから、楽にパスを出されたり、クロスを放り込まれたりしてしまうということです。また、相手パスレシーバー(相手のボールがないところでのプレー)に対するマークも甘い、甘い。一部昇格という美酒に酔うイメージが目の前にチラチラしていたのだろうか。タイムアップのホイッスルが吹かれる前に「美酒に酔っぱらった」いい加減なプレーをしちゃダメでしょう。

 「寄せ」とは、もちろん守備の基本中の基本である「チェイス&チェック」プレーのことです。それが首尾一貫せず、相手ボールホルダーとの間合いを空けすぎるから、相手に自由にプレーさせてしまうのです。

 相手に「自由を与えてしまう」とは、とりもなおさず、次の仕掛けコンビネーションのイメージを構築し、味方と、そのイメージをシェアできる「時間的&空間的な余裕」を与えてしまうことを意味します。だからこそ私は、チェイス&チェック(寄せ)のことを、守備の起点プレーと呼ぶのです。相手の物理的な攻撃プレーだけではなく、イメージ構築のプロセスをも抑制してしまう「守備の起点」を演出できなければ、ボール奪取へ向けて、本当に何もはじめられないわけだからね。

 また、寄せが甘いだけじゃなく、相手のワンツーコンビネーションに対する反応も鈍い。だから、単純なパス&ムーブにも簡単に置き去りにされてしまう。また逆へのサイドチェンジが明確に予測できる状況なのに、逆サイドでフリーになっている相手に対するマークを詰めていかない。

 これじゃ、勝ち越しゴールを挙げてからタイムアップまでの13-4分の間に、何度も決定的ピンチに陥るのも道理です。こちらは、何度心臓が止まりそうになったことか。心底、カリオカのチームに勝って欲しかったからね。

 とはいっても、ヴェルディが、どん底の7連敗というリーグ戦での悪魔のサイクルから抜け出せたバックボーンもまた、守備にあったことは言うまでもありません。これまで何度か書いてきたように、守備的ハーフの役割を明確にしたことによって、やっと守備ブロックが落ち着いてきたのですよ。要は、菅原智という守備的ハーフ(中盤ディフェンスの汗かき役)をキッチリと決めたことで、リンクマンである大野敏隆の攻守わたる実効レベルも上がってきたということです。

 それまでのヴェルディ中盤の選手は、全力でボールを追いかけたり(チェイス&チェック=寄せ=守備の起点プレー!)、最後までマークを離さないなどの積極的な「汗かきディフェンス」を献身的にこなすタイプじゃなかったからね。彼らは、どちらかといったらインターセプトを狙うタイプ。そんな選手ばかりだったら、守備の起点など作り出せるはずがないし、着実なボール奪取など望むべくもないのですよ。

 それが、中盤の底が落ち着いてきたことで、フッキを核にしたヴェルディ本来の攻撃力が発揮されるようになっていったということです。やはり、全てのスタートラインは守備にあり・・なのです。

 私が言いたいのは、決して、守備ブロックを強化すべきなんていう低次元のことじゃありません。そんな発想だったら、確実に、プレー姿勢が受け身で消極的なものになってしまう。

 受け身に守っていたら、確実に「アリバイ心理」が働き、この試合における最後の時間帯のように、リアクションするだけの守備に落ち込んでしまうからね。守備でこそ「アクション」が大事なのです。そんなベースが出来上がってはじめて、人々に感動を与えられるような(攻守にわたる)ダイナミックなサッカーを実現できる。

 私が言いたかった骨子は、もちろん「守備意識」の高揚なのですよ。味方のミスでボールを奪われた次の瞬間には、(そのミスに対する)文句などおくびにも出さずに全力ダッシュで相手を追いかける姿勢・・などなど。そんな、クリエイティブな守備意識を発展させなければならないということです。

 それは「意志のパワー」の高揚とも言い換えられる。チーム共通の、目指すべきイメージを確立する・・。それさえあれば、確実に「意志のパワー」も発展していくに違いありません。意志さえあれば、おのずと道が見えてくる・・のです。

 さて、これから「J1」に復帰するヴェルディ。そんな(バランスの取れたチーム作りという)視点でも、ラモス監督のウデに期待しましょう。とにかく、「おめでとう、カリオカ!!」

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 しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(ウーマン)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま四刷り(2万数千部)ですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞、東京新聞の(また様々な雑誌の)書評で取り上げられました。NHKラジオでも、「著者に聞く」という番組に出演させてもらいました。また、スポナビの宇都宮徹壱さんが、この本についてインタビューしてくれました(その記事は「こちら」)。またサボティスタ情報ですが、最近、「こんな」元気の出る書評がインターネットメディアに載りました。

 




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