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2007_「J2」_第43節・・様々な意味を内包する「バランス感覚」が進化したヴェルディ・・(ヴェルディ対コンサドーレ、5-1)・・(2007年9月30日)

良くなっているね、ヴェルディ。「良くなっている」という表現のバックボーンは、もちろん(中盤の!)守備が安定していることでチーム全体がソリッドにまとまってきているということです。だからこそ、フッキを中心とした爆発的な攻撃力が、本当の意味で実力を発揮できる。

 ヴェルディについては、いつも(まあ、これまで実際にレポートしたのは2-3試合だったけれど・・)中盤ディフェンスがキモになると言いつづけてきました。要は、いかに中盤で、効果的に相手攻撃の芽を摘めるかということです。忠実なチェイス&チェックの繰り返し・・そんな忠実なディフェンス起点を活用した周りの組織的ディフェンス・・そこでは、決定的タイミングでタテへ抜け出していく相手の二列目プレイヤーに対して、守備的ハーフが最後まで忠実にマークしつづける・・。そんな忠実ディフェンスがあるからこそ、最終ラインも安定するのですよ。

 要は、(優れた攻撃の才能を多くかかえるヴェルディでは特に!)守備的ハーフに入る選手の「プレーイメージ」が非常に重要な意味をもつということです。これまで守備的ハーフに入った選手は、中盤で目立たない汗かきディフェンスをするというよりも、より強く、後方からのゲームメイクをイメージするような選手タイプが多かったのです。

 第二クールだったかと思いますが、今シーズン初めて服部年宏がそのポジションに入った試合をスタジアム観戦しました。それまでビデオ観戦した不安定なゲーム内容からすれば、まさに大きなイメチェンとも言えるほど安定した闘いぶりでした。中盤ディフェンスが安定したことで、攻撃にも本物の勢いが乗るようになったということです。

 まあ、ラモス監督も、(7連敗も含む)厳しい勝負プロセスを経て、徐々に中盤での「守備の起点の演出」という現象の重要性を認識するようになったということかもしれない。もちろん、中盤守備のメカニズムは最初から分かっていたけれど、その重要なポジションを託した選手が、(守備では)期待したほどの機能性を発揮できなかったということなのかもしれないけれどネ・・。

 このところ、守備的ハーフとして、主に「忠実な汗かき」という役割をこなすのは菅原智。良いですよ。この試合でも、前後左右に動き回り、忠実で効果的なチェイス&チェックだけではなく、後方から走り上がる相手の二列目選手をしっかりと最後までマークしつづけるなど、守備の起点を演出しつづけていた。だからこそ、大野敏隆にしても、飯尾一慶にしても、はたまたディエゴにしてもシウバにしても、次、その次のボール奪取を「狙える」のです。

 菅原智が演出する守備の起点をイメージのベースに、次のボール奪取を狙うのはエキサイティングな(楽しいプレー)に違いない。カリオカ(現ラモス監督)が読売サッカークラブで現役のときも、森英次とか小見幸隆、エジソン(たまにはジョルジョンも)といった汗かきがいたからこそ、クリエイティブな(面白い)次のボール奪取勝負プレーを楽しめていたんだからね。

 さて、リーグ終盤になって、様々な意味を内包する「バランス感覚」を回復させてきたヴェルディ。確固たる安定感が深まりを魅せる守備ブロックを絶対的なベースにして、フッキを中心にした攻撃力が爆発する。もちろんこれからが正念場だけれど、いまのバランス感覚をさえしっかりと把握し、着実に発展ベクトルに乗せられれば、かならず一部に復帰できるはず。期待しましょう。

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