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- 2007_「U22」・・まさに完勝・・でも地に足のついたマインドの反町監督・・(日本vsシリア、3-0)・・(2007年3月28日、水曜日)
- 誰が見ても日本オリンピックチームの完勝というゲーム。でも反町さんは、「この試合の評価は難しい・・まずビデオを見たい・・アウェーの内容を見てから(総合的に)評価したい・・」と言う。
まあ、そういうことだね。何せ、相手のシリアの出来は、立ち上がりの10分を除いて、まさにボロボロだったからね。特に、ディフェンスがスカスカだった。
要は、ボールがないところでのディフェンスが全く機能していなかったということです。だから、単純なワンツーでタテのスペースへ走り抜ければ、すぐにフリーでリターンパスを受けられたし、集中を欠いたシリア守備がボールウォッチャーになるところを、日本のパスレシーバーがスッと消えてスペースへ入り込むなんていう仕掛けプレーもどんどん出てくるってな具合だったのです。もちろんパスを出す方も、事前に、ターゲットスペースをイメージしやすかったに違いない。こんなだから、シリア守備ブロックがズタズタにされるのも道理というゲーム展開になったわけです。
攻撃の目的は「シュートを打つこと」だけれど、その目的を達成するために目指すべき具体的な目標イメージは、スペースである程度フリーでボールを持つこと(触れる、コントロールする、支配下におく等々のニュアンス)です。
それが、相手の最終守備ラインとゴールキーパーの間の決定的スペースだったら、もうシュートを打つしかない。また、他のスペースだったら、ラストパスを出したり、ドリブルシュートにチャレンジしたりなど、その選手が、最終勝負の起点として機能できるというわけです。だからこそ、スペースである程度フリーでボールを持つこと(触れる、コントロールする、支配下におく等々のニュアンス)が、具体的に目指すべき目標シーンなのです。
そのようなシーンを演出するプロセスには、大きく分けて二種類あります。
一つが、ドリブルで相手を抜き去って自らスペースへ入り込むという、魅惑的な個人プレー。世界は「マラドーナ」を熱望しているのです。とはいっても、やはりサッカーの基本はパスゲーム。だからこそ、互いの仕掛けイメージをうまくリンクさせ、ボール絡みだけではなく、ボールがないところでのアクションを有機的に連鎖させることで、しっかりとボールを動かしつづけなければならないというわけなのですよ。
そこでの「主役」は、やはりボールがないところでのフリーランニング(パスレシーブの動きや、味方にスペースを作る動きなど)。私は、パスを呼び込む動きというふうに表現するけれど、それが大事なわけです。
ということで、そのことを理解しているチームの場合は、しっかりとマークする相手ディフェンスの「目を盗んでスタート」するし、ボールホルダーとも、イメージをシンクロさせやすい。逆に、そのような仕掛けイメージが確立しているチームの場合、(そんなハイレベルなコンビネーションを受けて立たなければならない)ディフェンダーも大きく発展するというわけです。攻撃と守備は表裏一体なのです。
ちょっとハナシが横道に逸れてしまったけれど、その視点で、このゲームでの両チームの間には、雲泥とも言えるほどの差があったということです。
でも、そのことにについては、ちょっと違和感が残ります。何せ、相手のシリアは、世界ユースでも存在感を発揮した強いチームのはず。やはりシリアの監督さんが言うように、時差ボケなど(つい二日前に来日したばかり!)、コンディション作りのミスだったのかもしれないね。何せ、前半も10分を過ぎたあたりから、まさに奈落の底ってな具合で、パフォーマンスが落ち込んでいったからね。
ということで、反町さんが言うように、アウェーでのゲーム内容をしっかりと観察することにしましょう。ところで、そこでもっとも大事になってくるテーマ。もちろんそれは、相手にゲームペースを握られた状況(擬似の、心理的な悪魔のサイクル!?)から、いかにして脱却し、ペースアップして押し返すかというテーマです。
この試合でも、最初の10分間は、日本選手たちも、本来のシリアの強さを体感していたはずだよね。素晴らしい「有機連鎖ディフェンス」や、しっかりと人とボールが動く仕掛け。そして、ココゾの場面での強烈な個人勝負。やはりシリアもチカラはある。
ということで、次の(シリアの首都)ダマスカスでのアウェー戦は、反町ジャパンにとって、かけがえのない学習機会になるはずです。そこで、反町さんに質問しました。「相手にペースを握られ(押し込まれ)、チームが受け身で消極的なムードになっているとき、そんなネガティブな雰囲気を打ち破り、ガンガンと積極的に押し返すための方策には、どんなものがあるだろうか?」
それに対して反町さんは、「自分も、監督として様々なやり方を試してきた・・例えば、前からガチガチにマンマークを仕掛けるとか、そんな前からの守備でボールを奪い返したら、とにかく最前線へピシッというパスを付け、同時に周りが押し上げるとか・・ただ、本当に効果的な方策というものはまだよく分からない・・やはり経験がモノを言う・・フル代表の選手たちは、その視点では、やはり力強い・・これからは、我々も、具体的な方策を探るべく、トレーニングで様々なことにトライしたいと思う・・」と真摯に答えてくれました。
たしかに難しいテーマではあるよね。特に、自己主張という「文化的な側面」では弱い日本人のことだからね。ドイツのチームだったら、相手にペースを握られたと感じた次の瞬間には、全員が前から強烈なマンマークディフェンスを仕掛けてペースを奪い返してしまうでしょう。それも、複数の選手たちが、「ふざけるなよ! 闘え!!」なんて、リーダーシップを奪い合っちゃう。ただ日本の場合は・・。
ということで、ここからは個人に注目しようじゃありませんか。例えば、今シーズンに入ってから、劇的なイメチェンを果たした家長昭博。凄かったですよ、この試合でも。まさに縦横無尽の動きで、攻守わたって主体的に仕事を探し出しつづけていました。もちろんボールがないところでの汗かきアクションも十分。そしてボールを持ったら、彼本来の天賦の才が光り輝く。彼が叩き込んだ、目の覚めるような先制スーパーゴールは、彼の今日のパフォーマンスからすれば、まさに正当な報酬ってな具合でした。
汗かきだと、右サイドの水野が上がった状況で、その右サイドのスペースへ入り込もうと押し上げるシリア選手を、50メートルも全力ダッシュで追いかけてマークしてしまったり、相手ドリブラーを、これまた全力で追いかけてボールを奪い返してしまったり等、今までの彼のイメージからしたら「異質」の爆発ディフェンスを魅せてくれちゃいましたよ。
とにかく、若い才能が、何かのキッカケで「ブレイク」するプロセスを体感することほどエキサイティングなことはありませんよ。とにかく家長昭博のプレーは、この試合で、もっとも楽しかった体感の一つでした。
まあ、後は、左サイドをガンガンオーバーラップしていく水本裕貴や青山直晃(もちろん本田拓也や梶山陽平がカバーに入ったり、本田圭佑がタテにポジションをチェンジしたりする)・・縦横無尽のポジションチェンジを魅せる水野晃樹と家長昭博(本田拓也と梶山陽平とのタテのポジションチェンジも含めて!)・・爆発的なスペースの抜け出しを魅せる李忠成と、スピアヘッドとして抜群のヘディングや力強いポストプレーを魅せる平山相太(思い切りのよいミドルシュートにも発展の後がうかがえる)などなど、たくさんメモは残っているけれどネ・・。
あっと・・言いたかったことは、そんな彼らのなかから「本物の」リーダーが出てくるかどうかということだった。本来ならば、梶山陽平がチームメイトを引っ張っていく役割を担うべきなんだろうけれど、どうなんだろうかネ・・。梶山が、全力で闘いまくりながら味方を叱咤し鼓舞するなんていうシーンは、まだちょっと想像できないよな。むしろ、今日の家長のパフォーマンスだったら、彼こそが・・なんてことも考えてしまう。さて・・。
まあ、グラウンド上の、(監督にとっての右腕とかエクステンションハンドとか表現される)本物のパートナーを作り出すのも監督の仕事なのです。ということで、今日は、ここまで。疲れたから読み返しません。乱筆・乱文・誤字・脱字・・失礼!
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