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- 2008_ACL・・内容の濃い(玄人好みの)ハイレベルなサッカーが展開された・・(アントラーズ対北京国安、1-0)・・(2008年4月9日、水曜日)
- 「相手は、10人になってもそれなりのサッカーが出来るなど、とにかくチカラがあるチーム・・だから、この試合に限っては結果だけが大事だった・・そして目標だった勝ち点3を獲得した・・いまは満足している・・」
試合後の記者会見で、最後まで厳しい表情を崩さなかったアントラーズのオリヴェイラ監督が、そのような趣旨のコメントをしていた。フムフム・・
この試合は、アントラーズにとって天下分け目の闘いでした。何といっても、予選「F組」では、アントラーズと、この日対戦した北京国安が絶対的な二強ですからね(ここまで互いに2戦2勝)。
要は、このグループから1チームしか決勝トーナメントに残れないこと、また勝ち点で並んだ場合は「直接対決での勝ち点と得失点差」が問われることを考えれば、とにかくホームゲームに勝つことが、決勝トーナメントへ駒を進めるための大前提だったというわけです。いくら、ベトナムのナムディンや、タイのクルンタイバンクに大量ゴールで勝利を収めても(得失点で差をつけても)肝心の北京国安との直接対決の結果が悪かったら「ハイそれまでヨ!」ってなことになってしまうわけです。
ということで、もし、今月23日に北京でおこなわれるアウェー戦に「2点差以上」で負けた場合、アントラーズの決勝トーナメントへの可能性は限りなく縮小してしまいます。国際舞台(インターナショナル・ステージ)での極限の緊張感。オズワルド・オリヴェイラという「ストロングハンド」が、そのテンションを、チームが発展していくための原動力として上手く活用できるかどうか。ウデの見せ所じゃありませんか。
それにしても北京国安は、オリヴェイラ監督が言うように強いチームだった。特にディフェンスが素晴らしい。一対一の勝負で無類の強さを見せつけるだけではなく、相手のシュートを身体を投げ出して防ぐといった危急状況への対応能力、臨機応変のラインコントロール、忠実で効果的な相互カバーリング、複数の味方がタイミングよく集散を繰り返す協力プレス、「ぼかす」ポジショニングからのボール奪取勝負・・などなど、とにかく彼らの守備にはホンモノ感があったのですよ。また、前半33分に一人退場になってからも、その安定感には少しの陰りも出てこなかった(退場劇があるまでは、内容的にも北京が勝っていた!?)。とにかく北京守備ブロックの強さは、試合全体を通じてアントラーズがウラスペースを攻略できたのは決勝ゴールシーンだけだった・・なんていう印象が残るほどでした。
まあ、そこには、オリヴェイラ監督が言うように、この試合での北京がアウェーのゲーム戦術(守備を強く意識したゲーム展開イメージ)で臨んできたという側面もあったでしょう。でも逆に、絶対に勝たなければならなくなったホームでの勝負マッチでは、もっと積極的に攻めてくるはず。そうなれば、アントラーズにも、しっかり守ってカウンターというチャンスが生まれてもくるでしょうし、組み立てでも(北京の守備ブロックが比較的『開いて』いることで)うまくスペースを攻略できるようにもなるはずです。
とにかく、このゲームでは、かなり内容の濃い(玄人好みの)ハイレベルなサッカーが展開されたことは確かな事実でした。たしかに両チームともに守備が強いこともあって、魅力的なチャンスメイクシーンは少なかったけれど、そこには(この試合が内包する意味合いも含む)極限の緊張感に支えられた高い集中力のぶつかり合いがあったからネ。
ところで、この試合での「勝負の行方ドラマ」だけれど、アントラーズが先制ゴールを入れた直後には「PK」を取られたし、残り数分というタイミングでも北京に決定的ピンチを作り出されてしまったことを考えれば(また相手の4番が前半33分に二枚目イエローで退場になっていたことも考慮すれば)かなりツキに恵まれていたとするのがフェアな表現かもしれないね。
とはいっても、それらの大ピンチで、アントラーズGK曽ヶ端準が魅せたスーパーセーブを考えれば、「ゼロ封の勝利」も必然的な結果ということになるんだろうけれど・・。とにかく、この試合でのMVPは、100%曽ヶ端準でした。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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