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2008_感動しました、世界フライ級タイトルマッチ・・そして、人々に感動を与えられるサッカーとは??・・(2008年12月23日、火曜日)

この感動は何だろう。そのとき、自然と涙が出てきた。

 世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトルマッチ12回戦。チャンピオンの内藤大助と挑戦者で同級13位の山口真吾のバウト(bout)。両者、一歩も引かず、リスクにチャレンジしつづけたギリギリの闘い。

 「戦術プラン」として守りに入るという勝負優先の選択肢があったにも関わらず、最後の最後まで、チャンピオンらしく闘うんだ!という『意志』を貫きとおした内藤大助。そして、打たれても、打たれても、決してひるむことのないギリギリの闘いを挑みつづけたハングリーな挑戦者、山口真吾。感動だ・・

 このコラムは、セルティック(中村俊輔と水野晃樹)のゲームをレポートしなければと思いつつ、また、そこにサッカーに通ずるテーマがあるかどうかも全く五里霧中であるにもかかわらず、圧倒的な感動エネルギーに突き動かされるように、エイヤッ!で書きじめてしまった。

 そして、書いているうちに見えてきた。そう、やはり人は「本物のチャレンジ」に感動するんだっ!!

 そのチャレンジが本物なのかどうか・・。それは入り込んで観ていれば分かるし、感じることが出来るモノだと思う。

 だからこそ、レベルを超えた才能プレーや洗練された戦術プレーなどとは『タイプが違う』ひたむきなチャレンジ姿勢に対して「も」人は感動する。

 自らの判断と決断をベースに(率先して)必死のチェイス&チェックでボールを追いつづける「汗かき」のチャレンジ姿勢・・リスキーな最終勝負ゾーンへも、後ろ髪を引かれることなく(ボールとは関係のないところから!)吹っ切れた勢いで走り込んでいくチャレンジ姿勢・・結局は「無駄」に終わるかもしれないけれど、それでも、味方の競り合いを全力でサポートにいく(報われないことを知りながらも仕掛けていく!?)「汗かきサポート」というチャレンジ姿勢・・などなど・・そんな、攻守にわたる、ボールがないところでの全力のチャレンジプレー・・

 要は(筆者は)ギリギリまで闘いつづけるという『意志』こそが人々の感動を呼び起こすということが言いたかったようです。

 もちろん、身体的なモノ、技術的なモノ、戦術的なモノといった「必然ファクター」はベースだよ・・でもネ、やはり最後は「意志のチカラ」がモノを言うんだよ。サッカーは、イレギュラーするボールを足で扱うという、不確実な要素が満載された「自由にならざるを得ない」ボールゲームだし、「逃げよう」と思ったら、まったくミスしないような安全プレーに終始することだって可能なわけだからネ。

 そう、攻守にわたる、ボールがないところでの目立たない全力(リスクチャレンジ&汗かき!)プレーこそが、勝利を掴むためにもっとも大事なモノであり、人々に本物の感動を提供できるのですよ。マンチェスター・ユナイテッドのようにネ。

 ところで、冒頭の、世界フライ級タイトルマッチにハナシを戻すけれど。これで、山口真吾選手は消えていってしまうのだろうか。私は、彼が最後まで魅せつづけた闘う意志のエネルギーに感動した。ほとんど意識がなかったにもかかわらず(!?)内藤選手の攻勢に打ち返していったギリギリの闘う意志。チカラは、明らかにチャンピオン内藤大助の方が上だし、彼の日頃の努力を考えれば、結果は、まさにフェアなものだった。それでも私は、山口真吾選手の闘う姿勢に、深い感銘を受けた。

 そこには、イビツァ・オシムさんに率いられていた当時のジェフ千葉が魅せつづけた、ギリギリの闘う姿勢に通じるモノがあった(それは、攻守にわたる、ボールがないところでの全力プレーとして現出していた)。

 人々に感動を与えられるサッカーとは?? これからも、そのテーマを突き詰めていこう・・。山口真吾選手の、ひたむきなリスクチャレンジ姿勢をみながら、そんな決意を新たにしていた筆者でした。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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