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2008_CWC・・日曜日のガンバとの勝負マッチは面白くなるゼ・・こりゃ絶対に見逃せない!・・(アデレードvsワイタケレ, 2-1)・・(2008年12月11日、木曜日)

「ガンバには、とにかくスペースを与えないことが肝心だ・・ガンバは、技術があり、しっかりと走る良いチーム・・ただ我々もガンバに勝つチカラはあると思っている」

 アデレードのヴィドマー監督が、自信たっぷりに語っていました。オセアニア代表のワイタケレとアデレードが対峙したCWC開幕ゲームでの興味の対象は、何といっても(この試合に勝って)三度目となるガンバとの決戦に臨むアデレードが、どうようなサッカーを展開するかの一点に集中していました。とはいっても、その意味では、相手が弱すぎたかもしれないけれどね(アデレードも稚拙なシュートで、ことごとく得点機を逸していたこともあるし・・)。

 たしかにアデレードとワイタケレでは、チカラの差がアリアリだった。身体能力でも技術でも、そして戦術的な理解と実行力でも・・。

 最初の頃は、最終ラインと中盤ラインを「一つのユニット」として上手くコントロールしながら、アデレードの攻撃をしっかりと受け止めていたワイタケレだったけれど、組織的なボールの動きでスペースを突いてくるアデレードの迫力ある攻撃に、徐々に「下がり気味」になっていった。要は、最終ラインと中盤ラインが一体となって前後左右に動くというのではなく、「アコーデオン」のように、両ラインの動きがチグハグになりはじめたということです。

 そうなったら、どんどんと(選手がイメージケアーできない!)危険なスペースが出来てしまうのも道理。もちろんアデレードは、そんなスペースを、単純なワンツーコンビネーションや、エイヤッ!の勝負ドリブルでどんどんと突いていく。なかなかスマートで力強い組織サッカーじゃありませんか。そうそう、彼らは、ACL準々決勝で当たったアントラーズとも互角以上のサッカーを展開していたっけネ。

 とはいっても、そんなアデレードでも、人とボールの動きの「スムーズさ」では、まだまだ大きな課題を抱えている。ちょっと言葉で表現するのは難しいけれど、要は、ボールを持った選手が、次のスペースや味方の足許へボールを動かす(パスを出す)タイミングが、まだまだ「ぎこちない」のですよ。

 ヨーロッパのトップクラブだけではなく、アジアチャンピオンであるガンバにしても、決定的スペースを突いていく「肝心な勝負所」での人とボールの動きは、本当に素早く、スムーズだからネ。

 要は、パスを受けた選手が「事前に」次のパスコース(味方の動き)が明確にイメージできているということです。もちろん最終的にパスを受ける選手も、「一つ前の段階」からスペースへ向けて動き出している。だからこそ彼らは、相手守備ブロックの発想のウラを突いて「決定的スペース」を攻略していける。そう、最終守備ラインとGKの間にある(猫の額のような!?)決定的スペース。

 そんな戦術的なイメージ創造力と想像力に比べれば、アデレードのボールの動きは、まだまだ遅く、ぎこちないということです。まあ、人とボールの動きを「リンク」するイメージが、まだまだ甘いとも言えるかネ。私には、勝負のタテパスを出すタイミングを逃す(決定的チャンスを逸する)というシーンが多く目についたというわけです。

 だから、いくら想像力&創造力レベルで劣るワイタケレ守備ブロックとはいっても、その「ウラの決定的スペース」を、アデレードが『組織コンビネーション』で攻略してしまうという決定的シーンは希だったのですよ。

 でも、その代わり、彼らには、「徹底」したイメージをバックボーンにする、素晴らしくパワフルなキックが備わっている。これを「キック力」なんていう単純な言葉で表現していいのかどうか・・。でもね、彼らが繰り出す、ものすごくパワフルなサイドチェンジやクロスボールを見ていて、その使い方が「徹底」しているからこそ、「こりゃ、確かに効果的な究極兵器だよな・・」なんて思っていた。

 高度なコンビネーションではないけれど、そこそこスムーズなボールの動きで、ある程度フリーな仕掛けの起点を作り出すアデレード。ただ彼らの場合、それは、最終勝負コンビネーションの起点というのではなく、あくまでも「シュートを打ったり、決定的クロスを送り込むための起点」ということになるのですよ。そう、ある程度フリーでボールをもったら、躊躇せずに(ドリブルもミックスした)中距離シュートをブチかましたり、誰にでも分かりやすい「シンプル」なタイミングで、鋭くパワフルなクロスボールを入れてくるのです。

 例えば14番のスコット・ジャミーソン。前半と後半に一回ずつ、コーナーキックからボールを受け、そのままドリブルで中へ切れ込んで左足のキャノンシュートをブチかましたシーンがあった(二本ともホントに惜しいシュートだった!)。あのシュートの迫力は、まさに「世界」だったネ。

 そんな中距離シュートだけではなく、アデレードが繰り出す「クロス攻撃」の迫力もハンパじゃない。その鋭いクロスボールには、流れのなかからの「アーリークロス」でも、セットプレーからのクロスボールでも、とにかく素晴らしい正確性と「意図」のある勢いが込められているのです。そして、そのクロス攻撃でのイメージが(中で待つ味方のイメージと)素晴らしく正確にシンクロしているからこそ、その危険度は限りなく高揚していく。フムフム・・

 ということで、ここでピックアップするテーマは、やっぱり「意志」ということになるわけです。とにかく、彼らが繰り出す中距離シュートやクロス攻撃には、抜群の「迫力」が伴っていると感じるのですよ。自信と確信をバックボーンにする「最高レベルの意志」が込められているからこその迫力。フムフム・・

 とにかく、ガンバにとって、アデレードは強敵だということが言いたかった筆者なのです。だからこそ、14日の日曜日に豊田スタジアムで行われるガンバ対アデレード戦に対する期待が高まりつづける。こりゃ、ホントに素晴らしくエキサイティングな勝負マッチになるゾ!!

 前述したように、たしかに攻守にわたる「組織プレー」の量と質では、明らかにガンバに一日の長がある。そのアドバンテージを最大限に活かせれば、アデレードの「意志のパワー」を抑制したり空回りさせたり出来るだろうし、ACL決勝の再現も大いに期待できるけれど、さて・・

 ACL決勝でのアデレードは、守備に重きを置きすぎた(ゲーム戦術にイメージが偏りすぎた!?)立ち上がりだった。だからガンバにゲームを支配され、彼ら本来の(彼らが得意な・・だからこそ自信レベルを高揚させられる!)攻撃的なリズムのサッカーに歯止めを効かすことが出来なくなっていった。そして先制ゴールを決められたことで、前後のバランスを崩して攻め上がり「過ぎ」手痛いカウンターで失点を重ねた。

 ACL決勝、二戦目のホームゲームでも、やはり前後のバランスが、うまく制御できていなかった。だから、ガンバの鋭いカウンターに沈んでしまった。でも今回は「全てをリセット」した闘いになるはず。アデレードにしても、中盤での「バランサー機能」を強化するとか、前回の過ちから学習したことを基盤にしたイメージトレーニングを積み重ねてきたはずだからね。

 抜群にモティベートされた強者たちの、意地をかけたギリギリの闘い。本当に、そのことを考えるとゾクゾクするほど期待がふくらみつづけるじゃありませんか。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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