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2008_天皇杯準々決勝・・ガンバには、今のスーパーな組織サッカーで天皇杯までも席捲して欲しい!・・(ガンバ対グランパス、2-1)・・(2008年12月25日、木曜日)

「クラブワールドカップの流れを(次のグランパス戦でも)そのまま継続させることが大切だと思っている・・」

 試合前のインタビューに応え、遠藤保仁がそんなニュアンスのことを言っていたとか。フムフム・・

 ガンバが志向する攻撃的なパスサッカー・・優れた守備意識をベースにした、攻守にわたる究極の組織サッカー・・。それに対するクラブワールドカップでの手応えは相当なモノだったということだね。まあ、さもありなん。観ているこちらも、世界に対して、日本の特長を最大限に発揮したチャレンジャブルで爽快なサッカーをアピールしてくれたガンバに対して心から感謝したモノです。

 それは、ガンバ選手にとっても大変楽しいことだったはず。ハードワークとリスクチャレンジをつづけたからこその、深い満足感。そんな「健全なメカニズム」を発展させつづけるガンバ。西野朗監督は本当によい仕事をしている。

 あっと・・ゲーム。内容は、まさに彼らが発展していることを実感させてくれるモノでした。たしかに、後半25分に、一発カウンターから、交替したグランパスの杉本に「追い掛けゴール」を決められてからの10分間は足が止まってしまったけれど、終盤は再びゲームペースを握り返し、横綱相撲でゲームを勝ち切った。全体的には、まさに圧勝ではありました。

 それにしても、これだけゲームがつづいているなかで(疲労が溜まっているに違いない!?)彼らが展開したハードワークサッカーには舌を巻いた。もちろん、何人もの全力アクションが有機的に連鎖するダイナミックなボール奪取勝負を絶対的なベースにした組織プレー。

 そんな、忠実で効果的なダイナミックディフェンスが上手く機能しつづけるからこそ、(ボールがないところでのアクションの優れた量と質を基盤にして!)攻撃での組織パスプレーも冴えわたる。二人目、三人目、はたまた四人目の「スペースランニング」が、軽快なボールの動きと見事にリンクしつづける。いや、素晴らしい。

 「今の」ガンバが展開する素晴らしい組織サッカーには、20世紀が終焉を迎える頃に(また21世紀に入ってからも)そのサッカー内容で圧倒的な存在感を発揮しつづけたジュビロ磐田にも通じるモノがあると思いますよ。もちろん「深掘り」したら、様々なサッカー現象に感覚的な違いが出てくるだろうけれど、まあ、底流は「攻守にわたる組織サッカー」だからネ。

 これがガンバは、またまた「中3日」という厳しいスケジュールでマリノスと対戦することになりました。それだけじゃなく、マリノスに勝って決勝に進出したら、今度は「中2日」だよ。たしかに厳しい・・

 それでも西野監督は、「(そんなハードなスケジュールでも)効果的に疲労を回復する方策を見出し、それを積み重ねてきた・・だからこそ、それなりに良いサッカーが展開できている・・」といったニュアンスのことを述べていたそうな。いいね・・

 たしかに厳しいけれど、今のガンバにとっては、その「リズム」を効果的に回すことの方が成果を出しやすいのかもしれない・・。もちろん疲労は溜まるだろうけれど、それを効果的に回復させる(乳酸をうまく分解し、瞬発的&持久的な筋肉の収縮アクションを支えるエネルギー源を再生させ、備蓄させ、そして循環させる!?)プロセストレーニングのリズムがうまく噛み合えば、意外と「出来ちゃう」のかもしれない。

 そんなところにもコーチのウデが試されるというわけだけれど、アジアチャンピオンズリーグが本格的に機能しはじめたここ数年では、各チームが、中2-3日で試合を積み重ねるという(また特にアジアの場合は、移動距離も大きな負担になる!)ハードスケジュールを、いかにうまく乗り切っていくのかというテーマにも取り組んでいるわけで、徐々に、そこからのノウハウの蓄積をベースにした効果的な「疲労回復プログラム」が見出されはじめているということなんだろうね。

 とにかく、ガンバが、日本サッカーの代表として、来年再び魅力的な組織サッカーをアピールできるためには、天皇杯に優勝するしかないのですよ。そう、来年のアジアチャンピオンズリーグへの参戦権を獲得するためには、それしかないのです。

 まあ、リヴァプールが、UEFAチャンピオンズリーグを制したにもかかわらず、次の年のチャンピオンズリーグ参戦権を獲得できず、UEFAの特例として「予備予選」から出場することを認められた例があることを考えれば、もしガンバが天皇杯に優勝できなくても、AFCが、何らかの「特例」を認めることは考えられるけれどネ。

 とにかくガンバには、そんな「特例」のことなど考えず、いまのスーパーサッカーで天皇杯までも席捲して欲しいと願って止まない筆者なのです。そう、日本サッカーの将来のためにもネ。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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