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2008_「J」入れ替え戦の2・・充実した「意志」を魅せつづけたベガルタに乾杯!・・(ジュビロvsベガルタ, 2-1)・・(2008年12月13日、土曜日)

やるべきコトは決まっているベガルタと、オプション(やり方の選択肢)があるジュビロ。フムフム・・

 とはいっても、そこはホーム。「あの」ハンス・オフトの守備的なチーム戦術(究極のセーフティーサッカー!?)にもかかわらず、ケースバイケースとはいえ、主体的な判断で(!?)積極的に仕掛けていくという姿勢「も」見え隠れするジュビロなのです。

 対するベガルタも、まさに吹っ切れた闘いを魅せつづけている。それにしても、両チームの攻撃での基本的なプレー姿勢が違う・・。

 ジュビロ・・。例によって、流れのなかでの(ボールがないところでのチャレンジである)オーバーラップなど、リスキーなプレーが目立たない。ボールをもっても、とにかく安全に(サイドへの)展開パスを回して本来のポジションに止まる。もちろん、ベガルタ守備ブロックが「全体的」に下がった状況では(要は、そう簡単には決定的カウンターを喰らわないと判断される状況では)後方からのサポートが上がってはくるけれど。

 とはいってもこの試合では、最初に書いたように、そんな基本的なチーム戦術にもかかわらず、駒野友一と村井慎二の両サイドバックに代表されるように、後方のプレイヤーが「より」積極的に上がっていったことも確かな事実。

 まあ、犬塚友輔とロドリゴが組む守備的ハーフコンビから「もっと行っていいよ!」というお墨付きが出ていたということなのかもしれないね。何せ、両サイドや後方からのサポートがなければ、まともな攻撃のカタチなんて出来るはずないからね。選手たちも、ハンス・オフトが標榜する『安全第一の前後分断サッカー』という発想に閉口しているということなのかもしれないネ。

 対する、吹っ切れたベガルタ。これぞ自由を標榜するサッカーといった、創造的なリスクチャレンジを繰り出しつづける。縦横無尽のポジションチェンジあり、オーバーラップあり、勇気をもったドリブル勝負や(次の決定的パスを狙った、リスキーな)タメあり。究極の仕掛け(リスクチャレンジ)マインドを放散しつづけるキャプテンの梁勇基、韋駄天の関口訓充、吹っ切れた「突貫小僧」中島裕希、攻守の冷静な汗かきリンクマン斉藤大輔・・などなど。

 ハンス・オフトが標榜する、極端に勝負を意識する戦術サッカーと、ベガルタがイメージする、ある程度のリスクチャレンジもミックスした(守備意識の高揚をイメージした)積極的な組織サッカー。

 ちょっと形容詞の使い方が難しいけれど、そんな二つのサッカーでは、この試合のように、勝つことに対する必然性を極限まで追求するということに関しては、ハンス・オフトのサッカーに一日の長があるのは論をまたない。だけど『自由な』サッカーの理想型は「美しさと勝負強さがバランスよく両立したサッカー」だからね。その大原則からすれば、戦術的な規制サッカーに対しては、『サッカーの進歩・発展に対する貢献』という視点で、疑問の方が先に立つ。

 選手にとっては、(リスクチャレンジという要素を内包する)美しさと、「抑制」という要素が先に立つ勝負強さの両方を「バランスよく」志向する方が健全だし、それこそが彼らのやる気を喚起し、発展エネルギーを増幅させるのですよ。そう、彼らの「健全な意志」を増幅させることこそが全てのスタートラインなのです。

 また、経験則的には「こんなこと」も言える。それは、実際には、両方(美しさと勝負強さ)の健全なバランスを標榜し、守備意識を高揚させながら積極的にプレーする(リスキープレーにも積極的にチャレンジしつづける!)サッカーの方が、ガチガチの規制(戦術)サッカーよりも、最終的には、勝てる可能性が高くなるということです。まあこの試合でのベガルタは負けてしまったわけだけれど・・

 そのテーマについては、これまで数え切れないくらい、ヨーロッパのプロコーチ仲間とディベートしたわけだけれど、結局は、選手の(自ら固めた)意志こそが、もっとも実効ある進歩・発展エネルギー源であり、コーチは、そのプロセスを助長しなければならない(その障害になってはならない・・あははっ!)という結論に達するのです。

 あっと・・試合。ということで、実質的な内容では互角以上の立派な積極サッカーを展開したベガルタは、残念な敗退ということになってしまいました。まあ、仕方ない。でも、ベガルタにとって今回の経験は、必ず血となり肉となって来シーズンに活かされるでしょう。充実した「意志」を魅せつづけたベガルタに乾杯!

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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