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- 2008_日本代表・・カタチから解放され、冷静なダイナミックサッカーで中国を圧倒した日本代表・・(日本vs中国、1-0)・・(2008年2月20日、水曜日)
- いや、本当に良かった。素晴らしい内容に、結果が伴ったんだからね。
素晴らしい内容・・。いくつかあるけれど、まず何といっても「カタチ」から解放された実効リスクチャレンジが頻繁に出てくるようになったことを挙げなければなりません。もちろん「組織的なリスクチャレンジ」のこと。まあ・・ね、そんな組織プロセスに「個人勝負」を効果的にミックスしていくのはこれからの課題というわけだけれど、とにかく、ボールがないところでの(勇気ある)サポートアクションが出てきただけではなく、その人の動きと『縦方向の』ボールの動きが、よりスムーズにシンクロするようになったことは大きな収穫だったと言えるでしょう。
だからこそ、素早く、効果的にボールが動きつづけ、チョン、チョンという「ショート」から、ズバッという(相手にとって危険な)中距離スペースパスが飛んだりする。サイドチェンジやタテパス。特に、タテ方向のボールの動きが素晴らしかった。その動きには、田代有三という「仕掛けイメージの牽引役」を忘れてはならないけれど、それと同時に、後方からのタテスペースへの飛び出しが「より」効果的にシンクロしていたことも特筆しなければならないと思います。
たしかにスピードとパワーあふれる中国ディフェンスに狙われて「局面勝負」に追い込まれたら苦しかったけれど、多くの場面で、中国のパワーを「組織的なチョン・チョン・パス」でかわし、次のスペースへと効果的に展開できていたのですよ。頼もしい限りでした。フルパワーでアタックを仕掛けてくる中国選手の「鼻先」でチョンとスルーパスを出し、パス&ムーブで、中国守備のウラのスペースをうまく突いてしまうんだからね。とにかく、痛快そのものでした。
それにしても中国はいただけない。昨年のアジアカップよりもヒドくなったようにも感じましたよ。先日の韓国戦コラムでも書いたように(また女子の中国vs韓国コラムでも書いたように)、個人のチカラがうまく組織的に噛み合っていないのです。それは、攻守にわたるボールがないところでの動きに「意志」がないからに他なりません。要は、次のプレーを予測できていない(想像力・イメージ力の欠如!)ということ。そして、リアクションの「後手後手スタート」を切るばかり。それじゃね・・。
日本が展開する優れた「コレクティブサッカー(組織プレー)」のコアは、やはり、鈴木啓太、遠藤ヤット、そして風邪から復帰した「牛若丸」中村憲剛で構成するダイナミック・トライアングル。この試合では、それに、山瀬功治も、素晴らしい実効レベルで絡みつづけたから、この試合では「ダイナミック・カルテット」かな。
安田理大については、「最初から」前戦にポジショニングし、後方からのパスを受けるという意識が強すぎたせいで(!?)立ち上がりは、うまく機能できていなかった。まあ、立ち上がりからうまく機能できていなかったという点では、中村憲剛もそうだったよね。そんな中村に対して、岡田監督から指示が飛んだらしい。「・・アイツを掴め!」。岡田監督曰く、(試合勘が戻っていなかったことで!?)立ち上がりのポジショニングが悪かったから、まず特定の相手選手を掴むことでスムーズに試合に入っていけるようにした。要は、守備からゲームに入らせたということ。素晴らしい采配です。いつも書いているように、守備からゲームに入っていくことが、全てのスタートラインだからね。
それらの「立ち上がりの不具合」が修正されたことで、ダイナミック・トライアングルから(山瀬が加わった)ダイナミック・カルテット、そして最後は安田も含めた「ダイナミック・クインテット」へと、日本代表のミッドフィールドの「コレクティブ」な機能性が高揚していったというわけです。
とにかく、クインテットの全員が、ポジションなしのサッカーを展開してくれた。要は、全員が、常にパスを受けられるように動きつづけたということです。だからこそ、スペースをうまく使えたし(まあ、パスレシーブの動きこそがスペース活用なんだけれどネ)、攻撃の起点(ある程度フリーのボールホルダー)も演出しつづけられた。
もちろん中国に押される時間帯もあったけれど、それでも日本代表は、中国の「力ずくの放り込み」を、冷静に、そして確実にはね返し、そこからしっかりと押し返していた。シュートの量と質で、中国とは、星二つくらいクラスが違ったという印象でした。特に後半の中国の攻めでは、チャンスが出来そうな感じはまったくしなかったからね。要は、日本の「コレクティブな守備」が素晴らしく機能しつづけていたということです。そう、中盤のダイナミック・クインテット。
それにしても安田理大のケガが心配。どうなんだろうか・・。岡田監督も、最終戦へ向けて、怪我人のことを心配していた。そうだよな、次の「勝負の韓国戦」でも、このウイニングチームを維持したいけれど・・。
最後になったけれど、今回の東アジアサッカー選手権について。たしかにドメスティックな大会ではあるけれど、男女ともに興味深いコンテンツで一杯だから、ホントに面白い。いまは、本当に来て良かったという思いで一杯です。
とにかく、日本相手となると、高さとパワーの中国も、ワケありの北朝鮮も、しゃかりきに全力を出し切る闘いを挑んでくるからね。だからこその実効ある学習機会・・。そして最終戦は、本物の実力チーム、韓国との「ガチンコ勝負」。本当に、来て良かった。
そこでは、(岡田監督による)選手を見極めるプロセスだけではなく、岡田監督が、チーム作りにおける様々なファクターをテストし、それらの機能性・実効性を把握していくプロセスも(何となくだけれど)体感できた。もちろん、「少しリスク寄り」のバランシング感覚という視点でもね(このことについては、先日のコラムを参照してください)。
とにかく、わたしが今回の大会で体感しつづけていることは、これからの岡田ジャパンのチーム作りプロセスを観察し、評価ていく上で、非常に貴重な「論理的&感覚的ベース」になったと思っているわけです。
さて、これから2-3時間寝てから、チャンピオンズリーグを観戦しよう。そして明日は、女子の試合を観るために、またまた小一時間メディアバスに揺られていかなければなりません(重慶を1300時あたりに出発)。充実した日々を過ごしています。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「五刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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