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2008_こんな文章をプリントメディアで発表しました・・世界選抜クラブ(経済主導サッカー)の功罪・・(2008年12月8日、月曜日)

またまた、唐突ですが・・

 今週の木曜日(12月11日)にスタートする、2008クラブワールドカップ(CWC)にタイミングを合わせ、連載している「商工ジャーナル」に、下記のような文章を発表したので、メモ倉庫である私のHPにも載せておくことにしました。

 テーマは、世界選抜クラブ(経済主導サッカー)の功罪ってなところですかネ。

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 今年も、国際サッカー連盟(FIFA)主催のクラブワールドカップ(CWC)が日本で開催される。その目玉は、何といっても、世界のスター軍団マンチェスター・ユナイテッド。歴史や実力だけではなく、財政規模でも世界のビッグクラブを代表する存在だ。

 今回は、「経済主導」の傾向が強まっている欧州プロサッカーが、ビッグクラブを中心に回りつづけているというテーマを取りあげよう。

 実際、裕福なビッグクラブが各国リーグを席捲しつづけているという構図は、イングランドに限らず、ドイツやイタリア、スペイン等でも同様であり、世界中からの投資マネーがそこへ集中するのも自然の成りゆきなのだ。そして彼らは、潤沢な資金をフルに活用し、世界選抜と見まがうほどのスター軍団を仕立て上げてしまう。

 以前は、いくら才能ある選手を集めても、すぐに良いチームに仕上げられるわけではないと言われた。しかし今では、世界でも選りすぐりのウデをもつ監督やコーチだけではなく、優れた心理療法士やマッサージ師、気心の知れた用具係までワンセットで招聘してくることで、最高レベルのノウハウが詰め込まれた「プロの現場環境」を整えてしまう。すぐにでも強力なチームを作り上げられる可能性が広がるのも道理だ。

 そのことが、現在のヨーロッパクラブサッカーの質がワールドカップを凌ぐとまで言われる所以だ。カネがスポーツを歪める!?

 これまで私は、世界共通のルールに則ったフェアな競争というスポーツの原則が、外資も含む「偏ったカネの流れ」によってねじ曲げられる経済主導の傾向を苦々しく思っていた。ただ最近になって、その「流れ」のポジティブな側面にも目が向くようになった。

 グローバルな情報化と国際化によって、ビッグクラブのハイレベルなプレーが世界中に刺激を与え、サッカーのレベルを全体的に押し上げている。そして、それを基盤にしたサッカー人気の盛り上がりとともに市場も拡大するなど、様々なファンダメンタルズも拡充しているのである。

 考えてみたら、我々サッカー人が本質的に目指しているところは、サッカーそのものの発展だけではなく、人類史上最高の「異文化接点パワー」を秘めるサッカーが、国際的な相互理解と世界平和に貢献できることだ。それこそが、サッカーが担うべき社会的ミッションなのだと思う。

 だから私は、純粋な競技としてのスポーツ性と、経済主導のエンターテイメント性がせめぎ合うなかで、良いバランス状態に落ち着くことの方に期待を掛けるようになった。

 いま、世界規模のバブル崩壊が欧州のプロサッカービジネスにも暗い影を落としはじめている。それでも私は、これからの欧州プロサッカーの動向が、「見えざる手」によって良いバランス状態へ収斂されていくと確信している。何といってもサッカーは、世界で最も愛されているスポーツなのだから・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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