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2008_なでしこジャパン(東アジア選手権)・・素晴らしいエキサイティングマッチにエネルギーをもらって書き上げました(日本vs北朝鮮、3-2)・・(2008年2月18日、月曜日)

エッ!? そのときの感覚は、まさにビックリ仰天。同点にできたこと(後半36分の宮間のフリーキック)だけでも驚きだったのに、ロスタイムに入ったタイミングで、澤穂希のスーパー・ロビング勝ち越しゴールが飛び出したんだからね。瞬間的に、全力のガッツボーズが出てしまいましたよ。

 「驚き・・」と書いたけれど、それは、実質的なゲーム展開からすれば、北朝鮮の完勝でタイムアップというのが、誰もが思い描いていたシナリオに違いなかったからです。それほど北朝鮮が、明確にゲームを支配しつづけていたのですよ。それが・・。

 とはいっても、ゲームは日本ペースで立ち上がりました。攻守にわたる「軽快な」組織プレーのオンパレード。特に攻撃での人とボールの動きが心地よかった。積極的な(前からの)ディフェンスが功を奏しつづけていたからね、次の仕掛けでも、常に十分な人数が押し上げてこられたということです。だからこそ、日本得意の組織コンビネーションが冴えわたった。そして、そんなポジティブな流れのなかで、フリーキックから先制ゴールまで奪ってしまう。これは・・なんて、期待が膨らんだモノでした。でも・・

 前半も15分を過ぎたあたりから、北朝鮮が地力を発揮しはじめるのです。「地力」のバックボーンは、もちろんフィジカル。とにかく運動量がスゴイ。またスピードやパワーがハンパじゃない。とにかく、彼女たちが展開する迫力のプレス守備は見所満点でしたよ。そして、そんな北朝鮮の勢いに押され気味になりはじめた「なでしこジャパン」は、徐々に「闘う意志」を殺がれていく。ボールを奪い返しても、誰も押し上げていかずに様子見になってしまうのです。

 そして、そんなネガティブな流れのなかで、前半37分、後半9分と迫力シュートをブチ込まれて逆転されてしまう。その後も押し込まれつづけるなでしこジャパン。その時間帯では、いつ三点目を奪われてもおかしくないという展開がつづいていました。でも三点目は奪われなかった。それがキーポイントでした。

 三点目を奪われなかった(二点差にされなかった)からこそ、チャンスの雰囲気が盛り上がる・・。この「心理パワーアップ現象」を体感した選手たちにとっては、(結果を出せたからこその)本当に貴重な「勝負感」を蓄積する機会ということになりました。

 その心理パワーアップ現象だけれど、そのキッカケが、北朝鮮に三点目を奪われなかったことだというわけです。なでしこジャパンは、澤穂希を中心に徐々に盛り返し、勇気をもって相手神内に切り込んでいく。そして、そんな吹っ切れた仕掛けが出てきたからこそ、うまくフリーキックを取れたというわけです。

 皆さんもご存じのように、宮間あやのフリーキックは実績ある武器だからね、チーム全体に「希望」という活力がみなぎったと感じられたものです。

 最初のセンターゾーンからのフリーキックは、「惜しくも・・」ということになったけれど、その惜しいシーンがチームに勇気を与えないはずがない。そんな「勢いの増幅」があったからこそ、同点ゴールにつながったフリーキックを奪えたというわけです。

 とにかく、この大逆転劇は、なでしこジャパンに確実に「何か」をもたらすはずです。前半15分過ぎからの「勢いの減退」をもたらした心理的な悪魔のサイクルを主体的に断ち切ることが出来るようになるとか・・!? ここから、心理マネージャーとしての佐々木則夫監督の本当のウデが試されることになります。

 ところで、北朝鮮の監督に、こんなことを聞いてみました。「この試合では、明確に北朝鮮チームの方が強かった(良いサッカーをやったとは言わなかった)・・そのことも含め、北朝鮮がアジアを代表する強国であることは誰もが認めるところだろう・・そこで質問するが、ドイツやアメリカなどの世界の強豪とのギャップを縮めていくためには、何を強化すべきだろうか・・もっとも大事なポイントを挙げていただきたい・・」

 それに対して北朝鮮の監督は、こちらへ鋭い視線を向けながら、まずこう強く言い切りました。「こんなことは(日本に負けるようなことは)二度と起きることはない・・」。そして次に短く、「世界の強豪とのギャップ?? そうね、フィジカルと戦術、それにテクニックを強化すればいいよ」・・だってサ。そりゃ、そうだよね。フ〜〜。

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 簡単に、中国vs韓国のゲームについてもレポートしましょう。そこでのポイントは、この試合が、昨日おこなわれた同じ男子の対戦カードとまったく同じ構図だったということです。それは、個のチカラを前面に押し出した「局面勝負のブツ切り」サッカー(中国)と、戦術的に洗練されたスマートなサッカー(韓国)という構図です。

 本当に韓国は、素晴らしい組織サッカーを展開しましたよ。最後はチカラまかせの中国の仕掛けに逆転負け(3-2)を喫してしまったけれど、彼女たちが魅せつづけた優れたチーム戦術は見応え十分でした。

 守備では、何人もの選手のアクションが連動しつづける。一人がチェックに入るのと同時に、二人目、三人目が、次、その次を狙ってアクションに入っていく。その、正確なポジショニングや効果的な体勢に舌を巻いたモノです。また攻撃でも、ボールの動き(次のボール奪取)に合わせ、後方から、常に二人目、三人目がスペースへ飛び出していく。それも、次のボール奪取を予測した飛び出しだからね。本当によく「イメージトレーニング」されていると感じますよ。彼らが展開する、シンプルで効果的なパス回し(人とボールの動きの素早い連鎖)には本物の「意志」が感じられました。

 特に、同点ゴールが素晴らしかった。右サイドをドリブルで進むことで、そのゾーンに中国選手を集める・・次の瞬間には、切り返して中央スペースへパスを回す・・そのスペースには、もちろん後方の選手が押し上げている・・パスを受けた選手は、逆の左サイドをオーバーラップしてくるサイドバックへ素早くパスを展開する・・そして、そのサイドバックは、エイヤッ!のドリブル勝負で相手を抜き去って決定的クロスを送り込み、それがダイレクトシュートにつながった・・同点ゴール!!・・ってな具合。その一連のコンビネーションに鳥肌が立ちました。

 なでしこジャパンにとっては、明らかに中国よりも韓国の方が難敵です。いまから彼らの対戦が楽しみで仕方ありません。正直なところ、こんなに女子のトーナメントも楽しめるとは思っていなかった。試合会場は、重慶市から60キロも離れた「永川」という100万都市。メディアバスが出るとはいっても、やはり遠い。今日も、夜中にホテルへたどり着いてからレポートを書きはじめたのですよ。そして、もう夜中の二時を回ってしまった。フ〜〜。でも、素晴らしいエキサイティングマッチにエネルギーをもらって書き上げた次第です。例によって、乱筆・乱文・誤字脱字、失礼。それではオヤスミなさい。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「五刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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