トピックス


2008_なでしこジャパン(東アジア選手権)・・高質なサッカーで韓国を圧倒した「なでしこ」ジャパン(日本vs韓国、2-0)・・(2008年2月21日、木曜日)

気持ちいいね〜、昨日も、今日も。男女の日本代表が、高質なサッカーで相手を圧倒するだけではなく、キッチリと結果まで残したんだからね。東アジアにおける日本サッカーの存在感が光り輝く。本当に特筆の成果だと思いますよ。

 昨日の岡田ジャパンもそうだったけれど、今日の「なでしこ」も、攻守にわたって高質なコレクティブ(組織的な)サッカーを展開し、相手の韓国を圧倒しました。内容的には、まさに「圧倒」という形容がふさわしいもの。要は、ボールがないところでの動きの量と質で相手を圧倒したということです。

 守備では、忠実なチェイス&チェックから素早く「守備の起点」を作り出し、そこへ協力プレスを掛けていったり、次のパスにターゲットを絞り込み、効果的なボール奪取勝負を仕掛けていったり。

 そして次の攻撃では、味方の積極的なオーバーラップ(パスレシーブの動き・・スペースへのフリーランニング)に支えられた軽快な組織プレーのオンパレード。それも、タテ方向へ(鋭く前後に!)ボールが動きつづけるなかで、スパッ、スパッとスペースを突いていくのだから爽快そのものじゃありませんか。見ていて楽しいこと、この上ありません。選手のイメージ作りと、そのシンクロレベルの高揚など、佐々木監督のウデが感じられたモノです。

 「北朝鮮は、相手からボールを奪うという意味で質が高かった・・その反省も含めて二日間ミーティングを重ねながら自分たちのやり方を見つめ直し、それをトレーニングで実践した・・この試合では、その成果が出たと思う」

 佐々木監督の弁ですが、たしかに成果が目に見えた感じがしました。まあ、相手の韓国のチカラが大きく劣っていたということもあるんだけれどネ。

 それにしても韓国。初日の中国戦では、本当にハイレベルなチーム戦術を魅せてくれたのに、この試合では、まさにその「チーム戦術」的なサッカー内容で日本に圧倒されていました。(中国戦での素晴らしいサッカー内容をベースにしている)こちらは、ハイレベルなチーム戦術がぶつかり合う「ガチンコ勝負」になると思っていたから、かなり拍子抜けしてしまいました。

 それほど韓国のチカラを過大評価していたわけですが、この日の第二試合(中国vs北朝鮮=0-0)を見ながら、ちょっと納得していましたよ。中国は、中盤でのせめぎ合いで北朝鮮に歯が立ちませんでしたからね。中国もまた、北朝鮮のスピードとパワーあふれる「ボール狩り」に圧倒されていたのです。

 本当に、北朝鮮のボール奪取プレーは迫力満点。でも、その「圧倒され方」は、日本の比ではなかった。要は、たしかに日本も押されはしていたけれど、中国ほど支配されていたわけじゃなかったということです。まあ、この試合の内容だけを「単純」に比較すれば、最終戦で当たる中国も、今の「なでしこ」の敵じゃないっちゅうことになる。とはいっても、そこはホストカントリーだし(地元の大声援がある)、勝てば優勝というモティベーションもあるからね、フタを開けてみなければ何が起きるか分からない。とにかく、優勝がかかったガチンコ勝負(日本vs中国)が、今から楽しみで仕方ありません。

 最後にちょっと個人的なコトも・・。この試合でわたしがもっとも気に入ったのは、加藤與惠でした。澤穂希との守備的ハーフコンビの機能性は、まさに抜群。加藤與惠がバックアップにいるからこそ、澤穂希も、攻守にわたり、広い範囲で、自由に「仕事を探しつづけ」られた。その加藤與惠は、男の代表では、まあ鈴木啓太ということになるだろうね。その労を惜しまない忠実な汗かきプレーは感動的でさえあります。

 ときには、全力ダッシュで相手ボールホルダーへのチェックへ急行する・・あるときは、全力で飛び出してくる相手の二列目選手を最後までピタリとマークする・・あるときは、こぼれ球へいち早く反応して全力で寄せていく・・そしてあるときは、次の次のパスを予測し、全力ダッシュでボール奪取勝負を仕掛けていく(そしてそのまま危険なカウンターの起点になる!)・・などなど。わたしは、そんなクールな「縁の下の力持ち」が好きです。

 ところで、アジアを代表する強国、北朝鮮についてだけれど、中国vs北朝鮮を記者席で観戦していた「なでしこ」チーム関係者の方と、ハーフタイムにちょっとハナシをしました。「北朝鮮は、上手いだけじゃなく、スピードやパワー、それに持久力もあるから本当に強いですよね・・でも、ゴール前のアイデアという点では評価がガラリと変わります・・彼らはシュートチャンスを作り出すのが上手くありませんよね・・」

 そう、まさにそういうことだよね。その方々も匂わせていたけれど、要は、北朝鮮の選手たちは、シュートチャンスを作り出すための(要は、戦術的にスペースを活用するための)想像力と創造力に欠けるということなのですよ。それを発展させる絶対的ベースは、自由と主体性ですからね。北朝鮮は、「統制」は徹底できるだろうけれど、「解放」については・・ネ。まあ、その意味じゃ、日本も同じようなタイプの課題を抱えていると言えないこともないわけだけれど・・。

=============

 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「五刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]