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2009_UCL・・マンチェスター・ユナイテッドという学習テーマ・・(2009年4月8日、水曜日)

・・そのときテベスはタイミングを計っていた・・彼をマークするポルトの14番ロランドの視線が「ボールへ動く」瞬間を狙っていた・・

 ・・そして、テベスが爆発した・・ロランドの顔がボールへ振り向きかけた瞬間を狙って超速ダッシュをスタートし、ロランドの「眼前スペース」へ身体を割り込ませていったのだ・・そしてそこへ、スローインをルーニーが「ダイレクト&ヒール」で流したボールが正確に流されてきた・・右足、一閃・・ダイレクトでシュートされたボールは、見事に、ポルトゴールの右上隅に飛び込んでいった・・なんちゃって・・。

 ちょっと「五秒間のドラマ」風に、マンチェスター・ユナイテッドが後半40分に挙げた勝ち越しゴールのシーンを表現してみました。そのスーパーゴールを観ながら、こんなことを思っていた。

 ・・テベスの「飛び出し」だけれど、それは典型的な三人目の動き・・とにかく、ルーニーとテベスの「あうんの呼吸」は、まさに超級のイメージ・シンクロ(ダイレクト)コンビネーションだった・・このシーンには様々なコンテンツが内包されているけれど、そのなかから、決定的スペースというテーマをディスカッションしてみよう・・

 ・・このケースでは、ボルトの14番ロランドの眼前ゾーンが「決定的スペース」として活用された・・やはり組織パスを前面に押し出した最終勝負プロセスでは、相手の背後から、その眼前スペースを活用するのが効果的だよな・・ダイレクトヒールでラストパスを送ったルーニーも、まさに「それ」をイメージしていた・・だから彼のヒールパスも、まさに「そこ」を狙って送り込まれた・・もちろんルーニーが、最後の瞬間に、テベスが身体を割り込ませるのを確信していたことは言うまでもない・・フムフム・・

 ・・それにしても、やはりマンUはチャンスを逃さないよな・・友人の欧州プロコーチが言っていたけれど、ヤツらは、一度のチャンスを抜け目なくゴールに結びつけちゃう・・それに対して「ヨーロッパ二番手レベルのチーム」がトップクラスサッカーでゴールを奪うためには、マンUの何倍もチャンスを作り出すことが必要になってくる・・

 ・・同じようなチーム戦術イメージとレベルのサッカーをするチーム同士がぶつかり合った場合、やはり「個の才能に長けた」チームが勝利する確率が高くなる・・要は、天才連中が、攻守の汗かき仕事にも精を出すようになった昨今のフットボールでは、組織パスプレーをベースに、いかにタイミングよく(そして上手く)天賦の才を「発揮させるのか」というイメージ「も」持つことが重要になってくるということか・・

 ところで、攻守にわたる「汗かきランニング」にも全力で取り組む天才たち・・というテーマ。

 それこそが、マンUが(純粋サッカーという視点で!)トップクラブとして世界サッカー界に君臨する所以なのだけれど、そのことを象徴するシーンを目撃した。

 カウンター状況で、ポルトのフッキが右サイドを超速ドリブルで突進していったとき、マンUの最前線から脇目も振らない全力スプリントで追いかけていったのは、誰あろう「あの」ルーニーだったのですよ。最後はファウルになってしまったけれど、その守備参加プレーでルーニーが魅せた「ホンモノの勢い」こそが、現代における「優れたサッカー」の象徴だと思っていた次第。

 マンUの場合、もちろん(オーバーラップした)ディフェンダーや守備的ミッドフィールダーは言うに及ばず、前戦のパク・チソンにしてもフレッチャーにしても、スコールズにしても、同じように最前線からチェイス&チェックを仕掛けつづける。もちろん、クリスティアーノ・ロナウドを除いて・・

 わたしは、マンU、サー・アレックス・ファーガソン監督の、心理マネージャーとしての優れたウデを証明する重要なファクトの一つとして、「こんなクリスティアーノ・ロナウドでも、攻守にわたる組織プレーの機能性を阻害する要素にならないだけではなく、チームメイトから期待され、しっかりサポートされているという事実」があると思っているわけです。そんなところにも、ファーガソン監督の優れたバランス感覚と説得力、そしてリーダーシップなどが見えてくる・・!?

 それにしても、クリスティアーノ・ロナウドの「ぬるま湯ディフェンス」は目に余る。基本的に「それ」は、守備にとって「邪魔」以外の何ものでもない。でもマンUのチームメイトたちは、守備に参加しているクリスティアーノ・ロナウドが「結局は最後までマークに付いて戻ってこない」ことをイメージしてポジショニングしたりカバーリングに入ったりしている。フムフム・・

 たしかにチーム総合力では、マンチェスター・ユナイテッドに一日以上の長がある。とはいっても、ゲーム立ち上がりにポルトが魅せた、爆発的でクレバー、そして調和の取れた「積極プレッシング守備」は本当に見応え十分だった。ものすごい勢いのチェイス&チェックだったのですよ。

 それがあったからこそ、リサンドロ・ロペス、クリスティアン・ロドリゲス、そしてフッキで構成するスリートップの高い個人能力が存分に活きた!? 要は、高い位置でのボール奪取から繰り出される(個の突破能力をベースにした)ショートカウンターが殊の外大きな効果を発揮したということです(ポルトの先制ゴールシーンにおいても、マンUクリスティアーノ・ロナウドのミスパスを奪ったポルトのショートカウンターが功を奏した!)。

 それにしても、立ち上がり15分くらいのマンチェスター・ユナイテッドは、ポルトが展開する素早くダイナミックなプレッシング(守備)にとまどい気味で、本当に縮こまっていた。周りの足が止まり気味になっていたことで、彼ら本来の「スペース・パス」が機能せず(要は、パスの出し手と受け手の動きのイメージが噛み合わないことで)ミスパスを繰り返していたのですよ。もちろんチャンスメイクもうまくいかない(クリスティアーノ・ロナウドの勝負ドリブルもまったく機能しない!)。

 そしてポルトに、先制ゴールを奪われただけではなく、決定的なヘディングシュートチャンスや中距離シュートチャンスを次々と作り出されてしまうのです。そりゃ、ちょっとピックリしたよ。何せ「そこ」はオールドトラフォードなんだからネ。

 逆に言えば、ポルトの吹っ切れたサッカーに舌を巻いていたということだけれど、そんな、マンUにとってジリ貧ともいえる雰囲気のなかで、まさに「ワンチャンス」と表現できるような、ポルト2番ブルーノ・アウベスの決定的ミスパスが生まれるわけです。

 このシーンは詳しく描写しません。中継のテレビ映像をご覧アレ。とにかくここでは、バックパスを受けたブルーノ・アウベスが、そのままGKへボールを戻すと信じて疑わず、最後の最後まで走り抜け、そのバックパスを奪って同点ゴールを決めたウェイン・ルーニーに拍手喝采です。攻守にわたる汗かき(クリエイティブなムダ走り)を繰り返す天才・・。フムフム。あっと・・このシーンでは、クリスティアーノ・ロナウドが、ボールを持つブルーノ・アウベスへ全力で「寄せた」ことも、ブルーノ・アウベスのミスパスを誘発したという事実を書き添えておかなければいけませんよね。

 そしてその後は、マンUのペースで時間が経過していきます(例によって、組織プレーと個人プレーが素晴らしくバランスしたサッカーで何度も決定的チャンスを作り出すマンチェスター・ユナイテッド!)。

 たしかに最後は(偶然要素が先行した!?)同点ゴールを奪われてしまったけれど、「そんな厳しい結果」があるからこそ、来週のアウェーマッチでは、これ以上ないほどの気合いを乗せることができるでしょう。そんな気合い(集中力)さえあれば、本来の「両チームの僅差」が、必然的にグラウンド上に投影されていくはずです。さて・・

 ところで、攻守にわたる「全力ダッシュ(=意志の爆発)の量と質」というテーマ。イビツァ・オシムさんが(ある雑誌の取材に応えて)言っていたように、「この」マンUと比べたら、個のチカラで大きく劣る「日本」は、もっともっと走らなければならないことは言うまでもありませんよね。特に、ボールがないところでの全力スプリントの量と質。そこにおいてこそ、ホンモノの意志が試される(監督の本当のウデが試される)。

 現代サッカーでは、攻守にわたって、目立たないところでの仕事の量と質こそが、サッカーのクオリティーと結果を大きく左右する。もう一つ、イビツァさんが言っていたニュアンスを紹介しましょう。走ること(意志を込めた全力ダッシュ)も、人々を感動させる大きなリソースの一つである・・フムフム・・

 さて今夜は、バルセロナ対バイエルン(ミュンヘン)そしてリヴァプール対チェルシー。あっと、ACLもある・・フ〜〜・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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