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2009_中村俊輔・・また大久保嘉人と長谷部誠についても簡単に・・・・(2009年2月23日、月曜日)

ひどいグラウンド状態だったネ〜、昨日のマザーウェル対セルティック戦。もちろん中村俊輔も、そのことを分かっているから、「明日はロングボールの応酬になるかも・・」なんてことを試合前に語っていたそうな。フムフム・・

 とにかく「緩い」土壌がむき出しのグラウンド。そこに、両サイドゾーンに芝の緑がちょっとだけ・・といった具合。もちろんゲーム前のグラウンドは平らに整備されていたんだろうけれど、緩いことで、すぐにデコボコになっちゃう。ということは、ボールコントロールやパスコンビネーションにとっては不利だから、なるべくシンプルに相手ゴールに迫る方が得策・・フムフム・・

 とはいっても、やはりセルティックの方が「つなぐ意識」は格段に高い。それは彼らのサッカーイメージの基盤だから、そうは簡単に「最前線へのドカン!という放り込み」に徹することは出来ない相談なのです。要は、グラウンド状況を考えて、ロングパスも含め、比較的シンプルなタイミングのパスを多用することで仕掛けていこうというイメージはあるものの、それでも、より有利なカタチで仕掛けや最終勝負の(ロング)パスを繰り出していこうという意識も高いということです。

 中村俊輔のプレーからも、確実にボールをつなごうとするイメージを感じる。より早いタイミングで確実な横パスやバックパス、また仕掛けのタテパスを送り出し、例によって、パス&ムーブで次のスペースへズバッと動くような忠実な「組織プレー」を繰り返すのです。

 それでも、相手ディフェンスに引っ掛かってしまう。とにかく、ホームのマザーウェルの気合いボルテージが極限まで高まっていることも含め、マザーウェル選手が魅せつづける「協力プレス」への集散アクションは、ものすごいレベルにあるということです。

 そりゃ、そうだ。彼らにしても、パスがブレることで(またグラウンドが悪いことで)パスレシーバーのコントロールに時間が必要・・逆にそれは、相手ディフェンダーに時間と余裕を与える・・等々、アバウトな(少し遅れ気味の)寄せでも、ボールを奪い返せるという確信を持っているんだからね。とにかくボールを失う確率が、良いグラウンドに比べて格段に高いことだけは確かな事実なのですよ。

 この試合のセルティックは、ヘッセリンクとマクドナルドで構成するツートップに、左にサマラス、右に中村俊輔が入るという基本ポジショニング(タスク)イメージ。そんななかで、中村俊輔は、いつものように、基本ポジションやタスクに「逃げ込む」ことなく、自由に動き回ることで攻守にわたって奮闘した。

 要は、攻守にわたり、ボールがないところも含めて、主体的に「仕事を探しつづける」中村俊輔ということです。もちろん、攻守にわたる「汗かき仕事」も積極的に探し出して実行しつづける。あれだけの才能があるのに(上手いのに)、組織プレーを機能させる上で不可欠な「目立たない積み上げアクション」にも、アリバイプレーなどとは無縁の姿勢で精を出す。まあ、素晴らしい「意志のチカラ」だよね。

 もちろん守備では、スピードやパワーで置いていかれる場面もあるけれど、周りの味方が「次」を狙えるだけの効果的なチェイス&チェック機能は十分に果たしている。

 そして攻撃でも、確実な「組み立て&仕掛けパス」だけではなく、勝負ドリブルやタメといった(実効ある!)個人プレー、また組織コンビネーションにしても、相手のアタックエネルギーを「逆利用」することで相手を置き去りにしてしまうような(柔道でいう)空気投げ的な(まあリスキーな)ボールの動きも演出する。そして自らも最前線のスペースへ何度も飛び出し、勝負コンビネーションのコアになったり(ダイレクトでのワンツーの組み合わせコンビネーションなど)自らドリブル勝負でシュートにトライしたりするのです。

 内容的には、セルティックの勝利がフェアな結果だったとは思うけれど、グラウンド条件もホームアドバンテージということも含め、まあ仕方ないというところですかね。とはいっても、中村俊輔のプレー姿勢から、厳しいグラウンド条件だからこその「闘う意識の高揚」という素晴らしい意志のチカラを体感できたことはハッピーだったね。まあ良いモノを魅せてもらった。ホント、頼もしくなったよね。

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 さて、一昨日の土曜日に行われたブンデスリーガ、ヴォルフスブルク対ヘルタBSCベルリン。大久保嘉人と長谷部誠が、後半になって登場しました。そしてヴォルフスブルクが劇的な逆転勝利を収めた。

大久保嘉人は、相変わらず「発展ベクトル」に乗っていることを明確に認識できるような、ボールがないところでのアクションの量と質を魅せていたし、ボールを持っても、相手のプレッシャーをモノともしない「余裕」でボールをコントロールし、次の仕掛けの流れを誘発できるだけの「展開パス」を繰り出していた。

 まあ、何度かあった個の勝負チャンスを活かせていたら(リスクチャレンジの勝負ドリブルなど)もっと、フェリックス・マガートの信頼を勝ち得ていただろうけれど・・。まあとにかく、組織プレー的にも、描写イメージと実際の行動が発展していることは確かな事実だと思いますよ。

 長谷部誠については、先発した前節のフランクフルト戦も含め、攻守にわたって高みで安定したステディーな組織プレーが光っていたという表現が適当ですかね。特に、守備でのインテリジェンスを感じさせる「穴埋め作業」が素晴らしい。

 彼自身も分かっている通り、(攻撃での)個人勝負プレーで、もう一つ「ブレイクスルー」を果たさなければ、外国人プレイヤーとしての価値を声高に主張できないことは確かな事実だよね。とはいっても、ボールがないところでの(素晴らしい実効レベルに支えられた)安定プレーは、フェリックス・マガートが望むところでもある。フムフム・・

 とにかく、彼が前を向いて押し上げていく(後方から前戦スペースへ飛び出していく)状況で、『流れに乗った』カタチで良いパスを受け、そのままスピードを落とさずに勝負ドリブルに(もちろんシュートやラストパスをイメージした勝負ドリブルに)入っていけるように、チームメイトの洗脳(イメージシンクロレベルの向上)も含め、自身の「イメージトレーニング」を積むことが肝心ということですかネ。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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