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2009_「J2」_第46節・・シーズン終盤だからこその興味深いテーマがあった・・(湘南ベルマーレvs鳥栖, 1-0)・・(2009年10月21日、水曜日)

「いくら、たくさん喋っても、どうせ明日の朝刊じゃ、数行で片付けられちゃうんでしょ・・まあ、湯浅さんは、たくさん書いてくれるだろうけれど・・」

 ベルマーレ反町康治監督がそんな軽妙なコメントを発した。そのとき、会見場では、ところどころで「乾いた含み笑い」が漏れていた。そりゃ、数行しか書かない(大!?)メディアに対する皮肉も含め、そのコメントは、あまりにも「微妙な楽屋落ち」だよな。あははっ・・

 まあ、私に関しては、そう言われちゃ、書かざるを得ないけれどネ。

 平塚のスタジアムから自宅のある代々木まで、国道一号線(バイパスから横浜新道へ)、第三京浜、目黒通りから駒沢&246&山手通りというルートで、また夜ということもあって、一時間弱で走り切りました。ホントに爽快なライディングだった。いまの時期が、春先と同じように、オートバイにとって一年中でもっとも快適な季候なんですよ。

 もちろん、真冬でも、装備さえしっかりしていれば、とても爽快なライディングを楽しめる。それに対して最悪なのが、サッカーと同様に、日本の真夏。建物やクルマから吐き出される「熱気」を、わたし一人で吸収している・・っちゅう感じ。

 だから、いまの時期をとことん楽しまなければ・・などと軽快にライドしていたけれど、それでもアタマのなかは、コラムの書き出しをどうするのか・・で一杯だった。危ないよな〜、考えながらオートバイを駆るなんて・・フ〜〜。でも、まあ、ヒヤッとするような状況はまったくなかったけれどネ。

 あっと、蛇足が・・。ということで、とてもエキサイティングで、ドラマチックだった湘南ベルマーレ対サガン鳥栖の勝負マッチに入ります。この試合も入れて残り6試合というリーグ終盤のタイミング。ベルマーレにとっても、サガンにとっても、とても大事な試合です。

 特にサガン鳥栖にとっては、勝たなければ、「昇格リーグ」から脱落してしまう可能性が高くなるから、まさに正念場の勝負マッチだった。でも最後は(ロスタイムに入ってから!)田原豊が(後半の全体的なゲームの流れからすれば、とてもラッキーな!)ドラマチック決勝ゴールをブチ込んでしまうのです。

 その瞬間、ガクッと膝をついて呆然とするサガン鳥栖の岸野靖之監督。

 彼は、わたしの読売サッカークラブ時代の選手で、とても誠実で素晴らしいダイナミックファイターでした。そのこと(彼がわたしの戦友だったということ)もあったけれど、公平な視点でも、彼が率いるサガン鳥栖が後半に魅せつづけたダイナミックサッカーは勝利に値するモノだったから、その(残酷な!?)結果を前にして、とても複雑な心境にさせられたものです。またしてもサッカーの神様のイタズラか・・岸野靖之には残念至極だろうけれど、まあ仕方ない・・

 ところで、田原豊が挙げた決勝ゴールのシーン。そこでの最大の功労者は、何といっても、右サイドで、何人もの鳥栖ディフェンスを引きつけるボールコントロールから、丁寧なラストパスを、逆サイドでフリーになっていた田原豊へ送ったアジエルだった。

 そして、そのパスを受けた田原豊のシュートが、相手に当たってコースが変わってしまうのですよ。鳥栖GKのミスというふうに映るかもしれないけれど、ボールは、実際には、コースが変わっただけじゃなく、(回転がついたことで!?)変にバウンドもした。鳥栖GKにとっては、とても難しい対処だったということです。もちろんそれも、神様のイタズラの一つだったわけだけれどネ。

 ということで最初のテーマは、ゲームの実質的な流れ(趨勢)とは関係なく勝負が決まった・・というポイントだね。神様スクリプトのドラマは、ときには、とても残酷だからネ。

 二つ目のテーマ。それは、前半と後半では、ゲームの流れが、まったく逆転してしまったという事実。

 前半は、反町康治監督が言うように、まさにベルマーレが凌駕した。もちろんサガン鳥栖は、例によって、ダイナミックで粘り強く、そして忠実なディフェンスを展開したけれど、いかんせん、次の攻撃が鈍かった。要は、うまく人数を掛けられなかったことで、相手にとっては怖くない「単発の」仕掛けに終始したということです。

 それに対してベルマーレは、田原豊を中心に、人とボールがよく動くだけじゃなく、決定的スペースまでも効果的に攻略できていた。

 そこでの田原豊は、まるで「マジック・マジャール」のプシュカシュ=いや・・ヒデクチかな!?=のようだった!? ちょっと誉めすぎだろうか・・。マジック・・や、プシュカシュなどについては、ポータルサイトで検索してくださいね。

 とにかく、田原豊は、以前所属していたマリノスや京都サンガでの「走れないウドの大木・・」っちゅう悪イメージを完全に払拭したね。わたしは、これまで彼の大迫力の全力ダッシュを見たことがなかったから、このゲームで彼が何度か魅せた素晴らしい走力を見てハラを立てまくっていましたよ。どうして「あの頃」もっと走らなかったんだ・・ってね。

 そんな、前後左右に動き回ってボールの動きを活性化する田原豊を中心に、二列目からは、阿部吉朗や中村祐也が最前線ゾーンへ入り込んでいったり、三列目から寺川能人や坂本紘司が、ドカ〜ンッとオーバーラップしていったり。もちろん、そんなタテのポジションチェンジに、両サイドバックも効果的に絡んでいくのです。フムフム・・

 とにかく前半のベルマーレは、実効レベルの高い忠実ディフェンス(優れた守備意識)をベースに、とても魅力的で効果的な(組織と個がハイレベルにバランスした!?)攻撃を展開していたのですよ。それが・・

 ただ後半になって、目を疑った。あれほど良いサッカーを展開していたベルマーレが、徐々に、サガン鳥栖にペースを奪われていった(サッカーの質が完全に逆転した)のだからネ。

 失うモノがなくなった(吹っ切れた!?)サガン鳥栖が(交替出場したトジンの、しっかりとしたテクニックを基盤にした優れたポストプレーや組織=展開=パスプレーによって!?)ペースアップしたのに対し、ベルマーレの足が止まり気味になっていったのですよ。ちょっと、わたしには、その原因が定かではなかったけれど・・

 サガン鳥栖のダイナミックな組織守備は相変わらず・・それに、トジンという、前戦での自信ソースが加わったことで、その守備でのダイナミズム(力強さ・迫力)が、ボールを奪い返した次の瞬間からはじまる攻撃に、確信という心理パワーを与えた!? そう・・押し上げに対する意志のチカラが格段にアップしたということだろうね。

 それに対して、ベルマーレ選手が、ちょっと「注意深く」なりはじめる。そして、そんな、ほんのちょっとした消極的な姿勢をキッカケにして、心理的な悪魔のサイクルのワナにはまり込んでしまうのですよ。そこでは、ベルマーレの心理的&物理的な支柱である(優れたリーダーシップも併せ持つ!?)坂本紘司も、どうしようもなかった!?

 この前半と後半の「ゲーム展開の逆流」という現象からは、まず何といっても、やるしかないサガン鳥栖の、強烈な意志をベースにした素晴らしい守備意識や攻撃でのリスクチャレンジ姿勢をピックアップしなければいけません(岸野靖之監督の心理マネージメントにも拍手!)。逆にベルマーレでは、ペースダウンしたチームでは、仲間を鼓舞することで(効果的な刺激を与えることで)、彼らの「強い意志を再構築」するような強力なリーダーシップが必要・・というのも、魅力的なテーマだったと思います。

 とにかく、そんな「大逆流」があったからこそ、田原豊の決勝ゴールの「ドラマ性」が目立ちに目立ったというわけです。偶然と必然が絡み合うことで現出する「めくるめく歓喜」と「奈落の落胆」という神様のドラマ!? フムフム・・

 ちょっと疲れ気味だ(眠気が襲ってきている)な〜〜・・

 ところで、反町康治監督が言っていた、「湯浅さんだったら長いコラムを書いてくれるだろうけれど・・」というクダリ。コラムが長くなってしまうのは、わたしの文章力のなさが主な原因でしょ。要は、冗長になってしまうということ。文章センスのある人なら、端的に、言いたいことを短くまとめられるはずだからね。まあ、とはいっても、プリントメディアに寄稿するときは、短くまとめるけれどネ。フ〜〜・・

 それだけじゃなく、この日は、わたしの反町康治監督に対する質問も、とても冗長なモノになってしまった。その質問は、このコラムの「最後のテーマ」にかかわるモノだったけれど、恥ずかしいから、わたしが聞きたかった意味合い(ニュアンス)だけをまとめます。

 ・・いま、これからは総力戦になると言われた・・また、そこでは、原点回帰し、自分たちのサッカーを取り戻すことがとても大事になってくるとも言われた・・反町さんは、ベルマーレの場合は、術策を講じるゲーム戦術を駆使するよりも、自分たちのサッカーを前面に押し出していく方が良い結果を得られると考えているか?・・

 それに対して反町康治監督は、例によって、とても真摯に答えてくれた。ここでも、いつものように、彼のコメントそのままではなく、筆者なりに、そのニュアンスをまとめることにします。

 「夏場は、湘南のサッカーがうまく表現できずに停滞したときもあった・・運動量をもとめられる我々のサッカーでは、日本の夏は、厳しい環境だった・・それが、秋になり、涼しくなりはじめてからは、自分たちのサッカーを(良いサッカーイメージを!?)取り戻せるようになってきている(そんな良い流れを、ゲーム戦術を強化することで停滞させるのはマイナス!?)・・」

 「・・とにかく、相手のストロングポイントを抑えるというゲーム戦術に『入り込み過ぎ』たら、そのことで、自分たちの良さを、必要以上に減退させてしまうことにつながるケースが多い・・逆に、自分たちのサッカーを追求することの方が、より良い結果が得られると思う・・もちろん、本当に抑えなければならないポイントには確実に対処することがマスト要件だ・・例えば、サガン鳥栖の上背のあるハーフナーとか、強力なサイド攻撃を全力で抑えるとか・・そこをしっかりと抑えれば、後は、自分たちのサッカーをとことん追求するという姿勢を(その雰囲気を)貫けばいいし、その姿勢を高みで安定させることは、とても重要な意味をもつと思う・・対処戦術的なテーマの抽出と、自分たちのサッカーを押し出していく姿勢とのバランスを(その時々のチーム事情に合わせて!)うまく高みで安定させることが大事なのだ・・などなど」

 フムフム・・。

 要は、相手の「強み」を抑え込むという「対処ゲーム戦術」は、ポイントを厳選して徹底させるけれど、そんな対処ゲーム戦術に入り込み「過ぎる」と、逆にマイナス効果の方が目立つようになってしまう・・それよりも、自分たちのサッカーを貫くことの方が、結果を『自ら掴(つか)み取る』という意味合いでも、とても大事な要素だ・・ということでしょう。

 まあ・・ネ・・意志さえあれば、おのずと道は見えてくる・・ということなんでしょう。ところで「これ」は、どなたの至言でしたかネ・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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