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2009_「J2」_第26節・・両監督の(特に反町康治監督の!)コメントが面白かった(その1)・・(ベルマーレvsヴァンフォーレ, 2-1)・・(2009年7月8日、水曜日)

「たしかに勝つには勝ったけれど、どうも勝った気がしない・・ゴールにしても、偶然要素の方が強いものだったしネ・・」

 試合後の記者会見で、反町康治監督が、そんなことを言っていた。そうだね、たしかに内容的には、ヴァンフォーレにタジタジという時間帯も多かったし、チャンスの量と質という視点でも、ヴァンフォーレに微妙に軍配が上がったりして。

 ゲームは、立ち上がりからヴァンフォーレがペースを握ります。そのバックボーンは、言わずと知れた積極的なディフェンス(ボール奪取勝負プロセス)。追い込み(チェイス&チェック)と、周りのボール奪取勝負プロセスがうまく噛み合いつづけるのです。だからこそ、次の攻撃でも、しっかりと人とボールが動きつづける・・と、私の目には映っていたのだけれど・・。

 そしてヴァンフォーレは、ベルマーレ守備のミスもあって、マラニョンや金信泳といった個の才能が何度かの決定機を迎えるのです。でも実際のゴールを奪ったのはベルマーレの方でした。彼らは、厳しい展開のなか、セットプレーから「そつなく」ゴールを重ねていったのです。

 決定力の差!? さて・・

 ここからは、両チーム監督のコメントを中心にコラムを書き進めていこうと思います。とにかく、両監督のコメントが面白かったのですよ。ただし、具体的なコメントについては、実質的なニュアンスを中心に(私が)アレンジさせていただきます。もし大きな間違いや勘違いがあったら、ご容赦・・というか(フザけるなヨ〜〜ッ!!ってな感じで)ご指摘いただければ幸いです。ちゃんと修正して「新規」にコラムをアップしまっせ・・

 ということで、ヴァンフォーレの安間貴義監督から。

 「ウチも、繰り返しチャレンジすることで何度かのチャンスは作り出した・・でも実際にゴールを決めたのはベルマーレの方だった・・田原豊とかアジエルといった優れた個の才能を有しているベルマーレの決定力はやはり優れている・・」

 「決定力というテーマについて質問したい・・いま、ベルマーレは優れた個の才能を有しているから、それが決定力の基盤になっている・・といったニュアンスのハナシがあったが、安間さんにとって決定力とは(主に)個人の才能に拠るところが大きいということなのだろうか?」

 「いや・・我々はこれからも、個人の課題としても(決定力アップに)取り組んでいくが、どちらかといったら、我々の場合は、組織的なプレー(コンビネーション)の精度を上げていくことで決定力をアップさせるという方向に、より重点を置いているといった方が正しい表現だと思う・・」

 わたし(湯浅)は、皆さんもご存じのように、攻撃における目的はシュートを打つことだと定義しているわけですが、そこに至るプロセスでの「当面の目標イメージ」は、ある程度フリーでボールを持つことだと規定します。

 要は、スペースである程度フリーでボールを持つ選手(=仕掛けや最終勝負の起点)を演出するということです。そして、もしそこが決定的スペースだったら、もちろん、シュート!!っちゅうことになるわけです。

 そのシチュエーションに至るプロセスには、大きく分けて二つあります。一つは、勝負ドリブルで相手を抜き去ってウラの(決定的!?)スペースを突いていくプロセス。そしてもう一つが、スペースに入り込んでパスを受けるプロセスです。

 世界の強者と対峙しなければならない日本代表の場合は、なるべく、肉食の強者とのフィジカルコンタクトを避けられるように人とボールを活発に動かして(組織コンビネーションを主体に)目的を達成しようとするわけです。ということで、ヴァンフォーレも、組織プレーをコアに攻撃の目的や当面の目標を達成しようということなんだろうね。

 でも、シュートへ至る仕掛けプロセスや個の才能レベルという話題について、ベルマーレの反町康治監督は、安間貴義監督とは違う意見を持っていた。

 「ヴァンフォーレは、自分たちが攻撃しているときでも、後方の守備ブロックを崩さない・・そして、ロングボールを多用して攻めてくる・・我々は、しっかりと人数をかけて攻め上がっていくから、明らかにヴァンフォーレよりもリスクをテイクしていると言えるだろう・・ヴァンフォーレでは、右サイドバックの杉山新くらいじゃないだろうか、リスクらしいリスクを負って攻め上がっていくのは・・」

 ちょっと息を入れた反町康治監督がつづける。「ちょっとハナシが前後するけれど、ヴァンフォーレは、ロングボールによって、かなり高い頻度でチャンスを作り出していると思う・・要は、シンプルに前戦へボールを入れ、それをマラニョンとか金信泳といった個の才能が中心になってゴールに結びつけているとも言える・・得点ランクでも、マラニョンと金信泳が、それぞれ8点でリーグの上位につけているしね・・もしかしたら、個の才能じゃウチの攻撃陣よりもヴァンフォーレの方が高いかもしれない・・いや、彼らの方が明らかに個の才能ではウチを上回っていると思うよ・・」

 ナルホド、ナルホド・・。面白いね。

 それ以外でも、昨シーズンからの、ヴァンフォーレのチーム力アップの軌跡とか、どこかで一度は挫折を経験しているヴァンフォーレ選手だからこそ・・とか、安間貴義監督のコメントがつづく。

 また反町康治監督も、さまざまな興味深い視点を披露してくれた。

 でも、今日はホントに疲れた(もう夜中の0100時)。何せ、愛車のオートバイで都内と平塚を往復したんだからネ(特にラッシュアワーのなかを突っ走った往路がキツかった)。そう、オレも、もう若くないのですよ。そうでしょ、後藤さん・・大住さん・・。

 ということで、このコラムの続きは、「両監督のコメントが面白かった・・その2」として明日にでもアップします。ご容赦アレ〜〜・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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