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- 2009_「J1」_第10節(リプレイ)・・またまた「組織と個のバランス」というテーマ・・(フロンターレvsガンバ, 1-0)・・(2009年7月1日、水曜日)
- なかなか興味深いゲームだったね。テーマは、「個」と「組織」のバランス・・ってなところですかね。
一方は、(あたらしく獲得した)個の才能にこだわり過ぎて自分たちのサッカーを(イメージがシンクロした動きのユニットコンビネーションを!?)見失いつつある。そしてもう一方は、ありあまる個の才能を、うまく使い分けることで組織プレーもバランスよく表現しようとしている。
前者は、言うまでもなくガンバ大阪のこと。この試合でも、私の目には、今シーズンから加入した二人の外国人ストライカーが(部分的にはよい傾向が見えるものの・・結局は!?)最前線のフタになっていると感じました。
その二人とは、言わずもがなだけれど、レアンドロとチョ・ジェジン。組織プレーマインドも持ち合わせているレアンドロは、周りとの連携(イメージシンクロ)がうまくいけば、もっともっと個のチカラを発揮できるようになると思う。でも、チョ・ジェジンは難しいね。彼がもっている(こだわっている!?)プレーイメージは、あまりにも、攻撃での局面勝負だけに「集約」され過ぎていると思うのですよ。
要は、守備をやらない・・また攻撃でも、ボールがないところで動かない(動いたとしても、自らが最終勝負の主役になれる状況においてだけ!)。
それでも、前半の立ち上がりはよかった(彼らの組織プレーでもマイナス面が目立たなかった!?)。
そのサッカーを観ながら、三日前のマリノス戦で西野朗監督が言っていたように(そのコラムはこちら)彼らの個の勝負能力がうまく発揮されるカタチを作り出せるようになりはじめている(チーム戦術的イメージが浸透しはじめている!?)のかもしれない・・なんて思っていた。人とボールをうまく動かしつづけることで、より良いカタチで、最終勝負シーンにおいて二人の(特異な)勝負能力を活かせるようになりはじめていると感じたのですよ。
でも、それも長くは続かなかった。
前半32分に、カウンターで決勝ゴールを決められてからは、徐々に、三日前の「悪い流れ」に落ち込んでいったのです。まあ、立ち上がり30分間の「良い流れ」にしても、レアンドロとチョ・ジェジンは、最前線でスペースや「抜け道」を塞(ふさ)いでしまうシーンが多かったよな。
それに、復帰した二川孝広にしても、うまくこの二人と連携できずに、動きが消極的に過ぎた。もっと言えば、二川孝広は、この二人に対して「もっと強く要求」できるだけの強いパーソナリティーを持ち合わせていないということだろうね。だから、遠藤ヤットとか橋本英郎とかが前面に立って「最前線の孤高のストライカー二人」と積極的にコミュニケートしなければならないと思いますよ。もっと守備に入れ・・とか、もっとパスレシーブの起点になったり、パス&ムーブを忠実にやれ・・とかネ。
西野朗監督が、この二人について、こんな視点を示唆していた。「レアンドロとチョ・ジェジンはまだ万全ではない・・この二人は(ストライカーとしての)タイプが違う・・だから、この二人が万全のパフォーマンスを発揮できるようになるために異なった課題を抱えている・・例えば、チョ・ジェジンの場合は、センターゾーンでクロスボールを受けるときに、もっと工夫をしなければならないとか・・」
まあ、レアンドロについては、周りとのプレイイメージが「同期」するようになれば、おのずとコンビネーションの流れがスムーズになっていくだろうし、そうすれば、レアンドロの個の勝負能力も(それを、より有利な状況で使えるからこそ!)もっと効果的に表現できるようになるだろうから、あまり心配していないけれど、やはり問題はチョ・ジェジンだね。
彼の「最前線のフタ」パフォーマンスは、観ていて、フラストレーションがたまる。たしかにヘディングや局面での競り合いでは強さを発揮するけれど、その「カタチ」にならなければ極端にパフォーマンスが落ちてしまうんだからネ。まあ、融通が利かない(発想の柔軟性に欠ける)選手だね。だから、扱いは難しい。下手をすれば、チーム全体の組織プレーにとって(攻守にわたる汗かきプレーに対する意志にとって)ネガティブな影響が及んでしまうかもしれない。そう、モラルダウン・・
とにかく、今のガンバが「昨シーズンのガンバ」とは全く違う「マインド&イメージ」になっていることは確かな事実かもしれない。もちろん「そのこと」がポジティブに回ることを願って止まないわけだけれど・・
さて次はフロンターレ。「個と組織のバランス」という視点で「も」良くなっていると思いますよ。
先日のゲーム後の記者会見で、関塚監督に、「個の勝負能力に長(た)けた選手が多いことで、逆作用として、組織プレーマインドが減退しているということはないか?」と質問したのですが、それに対して関塚監督が、「いや・・そんなことはありません・・我々は、組織パスプレーでもハイレベルなパフォーマンスを提示できていると確信しています・・」と胸を張っていた。フムフム・・
ACLでの(ガンバとの)一発勝負では、前半、ガンバに中盤を支配されたことで、後半の立ち上がりからチョン・テセを外して養父雄仁を入れ成功した。要は、攻守にわたる中盤での組織プレーの「量と質」をうまく調整したということです。関塚監督は、チョン・テセの攻撃力を捨てて中盤を厚くするという正しい判断をしたのです。
そして関塚監督は、この試合でも、成功した布陣(ゲーム戦術=ポジショニング&タスクのバランス)で試合に臨んだ。
たしかに前半の立ち上がりはガンバに支配されたけれど、決勝ゴールを奪って以降は、しっかりと最後までゲームをコントロールできていた。関塚監督は、ポゼッションでは課題が残った・・と語っていたけれど、強いガンバを相手に、「支配されるのではない状態でボールをキープされる」のであれば、それは、決してネガティブな現象じゃないよね。結局「それ」によって(その動きを読んでボールを奪い返したことが)決勝ゴールにつながったんだからネ。
それにしても決勝ゴールシーンでの牛若丸(中村憲剛)のプレーは秀逸だった。
相手のアタック動作を冷静に見極めながら上手くボールをコントロールして相手二人を置き去りにし、そして冷静なタメから、左サイドのスペースへ突進していったレナチーニョへ、正確なタテ(サイドチェンジ)パスを送り込んだ。あれだけ素晴らしいパスだったから、受けたレナチーニョも、余裕をもってラスト横パスを送り込むことができた。もちろん、強烈なダイレクトシュートを、ガンバ大阪ゴールの左ネットへズバッと突き刺した養父雄仁も素晴らしかったけれどネ。
この試合では、リードしていたこともあって、結局チョン・テセの出番はなかった。これからヴィトール・ジュニオールも復帰してくるでしょ。そして、組織プレーのイメージと、勝負ゾーンでの個の勝負イメージがせめぎ合う!?
とにかく、ガンバの西野朗監督もそうだけれど、フロンターレの関塚監督のウデにも注目することにしましょう。
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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