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2009_日本代表・・積極的な意志をベースにした成功体感に優る自信リソースはない・・(日本vsイエメン、2-1)・・(2009年1月20日、火曜日)

相手が実力的に大きく劣るイエメンとはいえ、チャンスを与えられた若手主体の日本代表が、「チャレンジへの意志が迸(ほとばし)る」素晴らしいダイナミックサッカーを最後まで魅せつづけたことには大いなる価値があると思っていた筆者でした。

 たしかに、あれだけのチャンスを作り出しながら実際に奪えたのは2ゴールだけだったし、ゲーム展開のなかで「中だるみ」もあったわけだけれど、全体としては、大いなる成果があったことは確かな事実だったからね。「中だるみ」にしても、それを自ら感じ、自らの意志で「逆流」させられたわけだからね(後述)。

 相手のイエメンが、守備を強化したゲーム戦術で臨んでくることは、もちろん周知だったわけだけれど、それに対して岡田監督は、しっかりと、ゲーム戦術的なプレイイメージを徹底させた。

 ・・素早い攻守の切り替え・・特に、相手がボールを奪い返した「次の瞬間から、そのスポット」で展開される「強烈な協力プレッシング」はインプレッシブだった・・ボール奪取アクションが、まさに有機的に連鎖しつづける・・爽快なことこの上ない・・

 ・・そんな汗かきアクションがあったからこそ「もっとも実効レベルの高いカウンター」を仕掛けていけた・・そう、相手が前へ重心が移りそうになった次の瞬間に、その逆モーションを取るように仕掛けていく「もっとも危険な究極カウンター」・・

 ・・とはいっても、基本は、素晴らしいパスサッカーにあり・・人とボールが、素早く、広く、そして本当によく動きつづけた・・そこでの、ボールがないところでの「汗かきアクション」の量と質は(要は、選手の意志レベルは!)特筆モノだった・・それもまた「若さのパワー」であり、岡田武史監督のウデの証明でもある・・

 ・・それ以外にも・・ボールがないところでのアクションが有機的に連鎖しつづけていたからこその『素早く緻密なコンビネーション』・・相手ディフェンスブロックを(意図的に!?)一方のサイドに集めて繰り出すサイドチェンジ・・徹底した「協力プレスの輪」・・シンプルなタイミングでの中距離シュート・・田中達也、駒野友一、内田篤人、中村憲剛の吹っ切れた「一閃シュート」は見応え十分・・それによってイエメン守備ブロックが、バランスを大いに乱していた・・

 ・・また、組織パスプレーに効果的にミックスされる田中達也や香川真司のドリブル突破も素晴らしかった(先制ゴールは田中達也が『0.7点』だから、この試合での田中は『1.7ゴール』を決めたことになる!)・・組織プレーが絶対的なベースだからこそ、たまに繰り出す個人勝負が、殊の外おおきな効果を発揮する!?・・この試合での日本代表は、組織プレーという絶対的なベースに、ドリブル勝負や中距離シュートなどの「個の変化」もうまくミックスできていたということか・・

 まあ、とはいっても、相手が実力的に劣るイエメンだったことを考えれば、まだまだ『小さなところの課題』が山積みとも言えるけれど、私は、昨年のカタール戦から、闘う意志のパワーが高揚するというポジティブな流れが継続していることを体感できたことで大変ハッピーでした。

 岡田武史の、心理マネージメント能力も含めた、戦術イメージを浸透させ徹底させる(もちろん選手たちに、自ら考え、決断し、勇気をもって実行させる!)ウデの証明といったところでしょうかね。

 要は、基本を、しっかりとグラウンド上で体現させられているということだけれど、このポイントについては、まさに『言うは易し、行うは難し』なんですよ。よくいるじゃありませんか・・、論や弁は立つけれど、互いの意志がぶつかり合う実際のグラウンド上での本音のコーチングでは、心理マネージメント的な瞬発力(まあ・・パーソナリティー)に欠けることで、人心をうまく掌握できないコーチが。フムフム・・

 ところで「中だるみ」。

 要は、イエメンが日本の攻めに(リズムやスピードなどに)慣れ、「人を見る守備」がうまく回りはじめたことで、日本の仕掛けの流れをうまく「抑制」出来るようになったということだけれど、その現象は、逆から見れば、日本の、ボールがないところでの動きが減退し、うまく抑えられはじめたとも言える。そんな沈滞した流れでは、フリーなボールホルダーを演出することがままならなくなるのも道理なのですよ。

 そして後半の立ち上がりにセットプレーから同点ゴールを叩き込まれてしまう。「勝負」という視点じゃ、かなり厳しい展開になってしまう可能性もあったわけです。でも、この若い代表チームは、そんな「落とし穴」を、自らふさいでしまうのです。そこからのゲーム展開(そのような学習機会)は、彼らにとって、とても大切な体感コンテンツだったと思いますよ。

 たしかに、ゲーム立ち上がりの時間帯のように、クルクルとコンビネーションや勝負ドリブルがはまることで「キレイに」スペースを攻略できるわけじゃない。イエメンのマンマーク守備も、非常に粘り強くなっていったしね。

 それでも、マークがタイトななかでも、しっかりとボールがないところで動きつづける(全力ダッシュを積み重ねることで)ことで、コンビネーションを決めたり、効果的な勝負ドリブルを繰り出していけるようなった。

 沈滞傾向の流れから脱却し、より粘り強い相手の抵抗に遭いながらも、再び、自分たちが主体の積極プレッシングサッカーを「取り戻して」いった若き日本代表。この体感には、本当に素晴らしい「価値」が内包されていると思いますよ。そう、自らの積極的な意志をベースにした成功体感・・。それに優る自信リソースはないよね。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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