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- 2009_日本代表・・「彼ら」には、日本代表が志向するベクトルを知らなかったとは言わせない!・・(日本vsスコットランド、2-0)・・(2009年10月10日、土曜日)
- まあ、今日はあまり書くことがないから、短くまとめましょうかね。
それにしても、81分に、稲本潤一が抜け(駒野友一との交代)、それまで左サイドバックで「悶々(もんもん)」としていた今野泰幸が、牛若丸(=中村憲剛)と守備的ハーフコンビに収まってから、日本代表のサッカーが、俄然ダイナミックに変身したよな〜〜・・
それまで、稲本潤一、本田圭佑、そして前田遼一といった中盤からトップにかけての三人が、まさに「組織プレーのフタ」になっていたわけだからネ。
それじゃ、いくら牛若丸が(あっと・・石川直宏も忘れちゃいけない!)テンポを上げようと、チェイス&チェックや、(攻撃では)ボールがないところで動き回っても、うまく組織プレーを加速させられるはずがない・・
そのことについては、岡田武史監督も十分に分かっていたはずだよね。テレビのインタビューじゃ、石川直宏、岩政大樹、そして森本貴幸について、「戦力として十分に価値あることを証明してくれた・・」と言っていたけれど、その後のプレスコンファレンスでも、上記三人のことは、?(おくび)にも出さなかったからね。そんなこともあって、私も、この試合については、まったく質問する気になれなかった。
先発メンバーの陣容から明確に予想されたこととはいえ、実際に目の当たりにすると、やっぱりフラストレーションが暴発しそうになる。彼らには、岡田武史監督率いる今の日本代表が志向するチーム戦術的ベクトルを知らなかった等とは言わせない。
守備では、まったくといっていいほどチェイス&チェックに入らず、怠惰にポジショニングバランスを取るだけ。チェイスなんてハナからやる気がないんだね。まあ前田遼一は、すこしは追いかけてはいたけれど・・。だから、チームとして、良いカタチでボールを奪い返せないだけじゃなく、次の攻撃にも勢いが乗っていかない(人とボールの動き=組織プレー=が活性化しない!)。
また攻撃でも、シンプルなタッチでボールを動かすというイメージが希薄なだけじゃなく、たまにシンプルなボールを動かしたとしても、まったくといっていいほど「バス&ムーブ」が出てこない。
本田圭佑など、前のスペースへ抜け出してタテパスを受けりゃいいものを、足を止め、「オイ・・オレにボールをよこせ!」なんていう態度で足許パスをもらおうとする。それも、素早くシンプルパスを展開しようというイメージの牛若丸からだからネ。
もちろん牛若丸は、そんな怠惰な本田圭佑を無視して(彼にボールをわたした瞬間に、組織プレーの流れが完璧に停滞してしまう!)、素晴らしいサイドチェンジパスを飛ばし、すぐにパス&ムーブで、次のスペースへ動きつづけるのですよ。
稲本潤一にしても本田圭佑にしても、たしかに局面では(攻守にわたって)能力の高さを魅せつけるシーンもある。でも「それ」が、組織プレーのエネルギー高揚に貢献するケースは、ほとんどといっていいほど、ない。
彼らのように、局面勝負で「全体の勝負」を決めてしまおうっちゅうイメージでプレーするんだったら、やっぱりディエゴ・マラドーナじゃなければ、味方は納得しないでしょ。
そう、一度ボールを持ったら、まったく相手に奪われることなく、逆に、二人、三人と抜き去って「背後スペース」へ入り込み、そこから決定的な仕事をしちゃう・・。そんなプレーが出来れば(もうこれまでに、何度、同じコトを書いたか忘れちゃったよ・・)、そりゃ、誰も文句など言わずに彼らをキング扱いするでしょ。そして自分たちは、攻守の汗かきに精を出す。
でも実際は、まったくそうじゃないんだからね。例えば本田圭佑の場合、ボールを持ってドリブル勝負に入ったって、相手の背後スペースを突けるシーンなど、ホントに希だからね。逆に、彼がボールをもったシーンで、石川直宏がスペースへ走っても、パスが出てこないし、結局ボールをキープするだけで、最後は逃げの横パスとかバックパスを出す「だけ」という体たらくなんだよ。
ちょっとフラストレーションが溜まり過ぎて、怒り心頭に発してしまった。
とはいっても、稲本潤一は、センターバックのバックアップ要員としては、とても価値の高い選手であることは確かなことです。また本田圭佑にしても、プレーイメージを入れ替え、「全体的なサッカーの動きを加速させられるように」 しっかりと汗かきにも精を出すようになれば、彼のシュート力がもっと活きてくるに違いないよね。
でも、今のプレーイメージじゃ、まさにチームのお荷物だね。もちろん岡田武史監督は、そんな「タイプの選手」も、彼らが秘める(例えば前述したような)他には換えがたい能力と、チームに対する「刺激」として彼らを引っ張りつづけるんだろうけれど・・。それは、それで、チームの緊張感を高みで安定させるという効果は大きいかもしれないね。フムフム・・
ところで森本貴幸。イイネ。動きにメリハリがあるし、鋭さも「本格的」だと感じる。日本代表が志向する(例えば、ダイレクトシュートでフィニッシュするような)組織的な仕掛けフローにも、うまくフィットする(うまくイメージ連鎖する)に違いないと思いますよ。彼は、日本代表トップ候補として、確実に「緊張感アップ機能」を果たしてくれるはずです。
まあ、この試合については、そんなところですかネ。明日、ビデオを見直すつもりだけれど、そこで気付いたコトがあったら書き足すかも知れません。
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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