トピックス
- 2009_日本代表・・木曜日早朝に帰京してから一気に書き上げた・・テーマは多岐にわたったネ・・(日本vsトーゴ、5-0)・・(2009年10月14日、水曜日)
- 「たしかに日本は、テクニックのレベルは高いし、チーム力もハイレベル(組織プレーが素晴らしい)・・とはいっても、日本は、(世界に抗していくためには)まだフィジカル的な限界があると感じる・・我々も、フルメンバーだったら互角(以上)のサッカーができたかもしれない・・」
トーゴのフランス人監督ユベール・ベリさんが、わたしの、「いまベリ監督は、日本は高いレベルのサッカーを展開したとおっしゃったが、いったい何のレベルが高かったのだろうか?」という質問に対し、冒頭のように答えてくれた。フムフム・・
でも、ユベール・ベリ監督が、日本のことを正確に(そして継続的に)観察しつづけていたとは、ちょっと考えられないよな。たぶん彼は、ご自身が言っていたように、フィリップ・トルシエの近い友人ということで(先週も会ったと言っていた)、フィリップから、日本に関して様々な情報を仕入れたということだったんだろうね。とはいっても、その捉え方は、正しい方向にあると思いますよ。
まあ・・ネ、以前は、テクニックでも、戦術的な理解でも、はたまた心理・精神的な部分でも、かなりの差を付けられていたわけだから、日本は長足の進歩を遂げたとポジティブに捉えるべきだよね。とはいっても、本物の世界に、互角に対抗していくためには、フィジカル、テクニック、戦術、心理・精神的な部分も含めた「全域」で(ツキという形而上的なところも含めて!?)、最後の僅差を乗り越えていかなければならないわけだけれど・・
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あっと・・。今回のコラムは、先ほど夜行バスで帰京したため、いま(木曜日の午前6時・・)書きはじめたところです。バスの中ではうまく寝られなかったから(3列シートでも、やはり難しかった・・)どうもアタマがうまく回転しない。フ〜〜・・
この夜行バスは、仙台駅前を「2359時」にスタートしたのですが、交通アクセスがとても悪い宮城スタジアムから間に合うために、(いまは主にエル・ゴラッソで写真を撮っているフリーランスの)徳丸篤史さんにクルマで送っていただきました。
スバル・インプレッサ。徳丸さんの(写真の撮り方と同様に!?)とてもリラックスしながらも、要所では鋭く締めるドライビング(フォトシューティング!?)が快適でした。本当に、どうもありがとうございました。感謝です。
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さて試合。テーマは、まず何といっても、冒頭でユベール・ベリ監督が触れていた「フィジカルでの劣勢」。
だからこそ日本代表は、フィジカル的な接触を避けるために、人とボールを極限まで動かし、攻守にわたって常に「数的に優位な状況」を作り出すという「究極の組織コンビネーションサッカー」を志向しているのですよ。
そして、この試合での岡田武史監督は、(相手がメンバー落ちだと分かっていても、そんなことには関係なく!)ストイックに、「究極の・・」を目指しました。そう、遠藤ヤット、長谷部誠、牛若丸(中村憲剛)そして中村俊輔で構成する中盤カルテットを先発メンバーに置いたのです。
わたしはホッとしていましたよ。これで、「究極の・・」を追求するチームの骨格が固まった!? そう、ワールドカップ本大会は、もう半年後に迫っているんだからネ。(センターバックコンビと中盤カルテットを除き)後は、サイドバックやトップの構成(ワントップかツーか!?)を、状況に応じて考えていけばいい。
まあ・・とはいっても、まだ、センターバックコンビには、スピードという課題が残っているけれどネ。オランダ戦を観たヨーロッパの友人(サッカーコーチ)も言っていた。あの(最終ラインを極限まで上げたコンパクト)サッカーをやるんだったら、センターバックにスピードがなさ過ぎじゃネ〜〜か・・ってね。まあ、確かに「そのテーマ」は残るけれど・・フ〜〜ム・・
試合は、予想通り、中盤カルテットを中心に(もちろん中村俊輔がイメージリーダー!)、また、素晴らしくダイナミックでクリエイティブな(中盤でのコンパクト状況をベースにした)効果的なボール奪取勝負(守備での有機的なプレー連鎖=協力プレス)をベースに、日本が完璧に支配しました。
そしてこの試合では、支配した「だけ」じゃなく、しっかりと決定的チャンスを作り出し、そしてゴールも決めたから素晴らしい。前半では、実際のゴール以外にも、トーゴ守備ブロックを翻弄し、あと少なくとも3ゴールは奪える決定的チャンスも作り出したよね。
実際のゴールだけれど、先制ゴールと2点目ゴールは、岡田監督が志向する「鋭いクロス」だったから特筆モノだと思う。その収穫(成功体感を脳内イメージタンクにストックできたこと!)は大きい。
ペナルティーエリア角ゾーンを支配し、そこから鋭いクロスを入れる・・そのクロスボールの軌跡を明確にイメージしているストライカーが(イメージシンクロトレーニングの賜物!)、ギリギリの決定的スペースへ忠実に飛び込んでいく・・
彼らのクロス最終勝負シーンでは、出す方と受ける方のイメージが、正確に、そして有機的に(柔軟に)連鎖していると明確に感じました。新しい、組織コンビネーション的な武器(イメージの連鎖)・・。頼もしい限りじゃありませんか。
そうそう、このゲームじゃ、そんなクロス攻撃での「有機的なプレー連鎖」という収穫だけじゃなく、(岡崎慎司の決定的スペースへの飛び出しをベースにした)センターゾーンでの一発スルー(ロング&ロビング)勝負パスによる最終勝負は言わずもがなとして(岡崎慎司の再度のハットトリックに大拍手!!)、ポストプレーからの「個の最終勝負」という、日本代表では、久々に登場した「最終勝負イメージ」も加えることが出来たと思いますよ。
もちろん、森本貴幸。
彼は、最前線でタテパスを受け、相手ディフェンダーのプレッシャーをモノともせずに「踏ん張る」ことが出来る。だから、周りの味方も、そのポストプレーに合わせて(確信をもって)サポートに上がっていける。
素晴らしいよ・・ホントに。相手は、トーゴの(アフリカトップレベルの!)ディフェンダーなんだからね。それを身体全体を使って「力強く抑え」、そしてそこから(サポートに上がってくる味方を使うことで)効果的な最終勝負の流れを演出してしまったりするんだよ。
でも、森本貴幸のポストプレーじゃ、何といっても、三点目のゴールが、日本的ではないという意味でも、とてもインプレッシブ(印象的)だったよね。相手をスクリーニングしながらボールをコントロールし、スッと横へボールを動かして振り向きざまのシュートを決めちゃう。その、完全な「個の勝負ゴール」は、ちょっと鳥肌モノだった。
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ところで記者会見。岡田監督が、最初の総括で、とても重要なキーワードを使ったんですよ。
このサッカーを、強い相手に対しても出来ることが大事・・選手は、どんな相手に対しても、やらなければならないことを90分やり切ることが重要なテーマになってくる・・戻り、切り替え、バス&ムーブ・・などなど・・
それに対して、こんな質問を投げかけた。「戻り・・というのは、攻守の切り替えから、しっかりと守備に就くということを意味した言葉だったと思う・・高い守備意識・・それにパス&ムーブ・・要は、ハードワークということだが、それが、岡田監督の評価基準のベースだと考えていいのだろうか・・??」
「ハードワークというよりも、基本的なことをきっちりやるという表現のほうがいい・・システムや戦術論も大事だが、基本をキッチリどんな時でもやっていくことがクセにならないといけない・・この相手なら戻らなくても大丈夫だろう・・・というのでは、本当に戻らなきゃいけないときに戻れなくなる・・だから、どんな時でも全力で戻れと言っている・・今日も、中澤佑二、トゥーリオも含めて戻りが素晴らしかった・・全体として気持ちでハードワークというよりも、基本をきっちりやるということを今回の評価基準として いた・・」
フムフム・・まあ、そういうことだよね。サッカーは「走るボールゲーム」。また、守備意識が高くなくては、決して高い次元の組織サッカーを実現することはできない。高いレベルの組織サッカーが出来ないのであれば、そのチームが擁する個の才能も、十分に活かし切ることなど出来るはずがない・・などなど。そう・・基本・・
ドイツのスーパーコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが私に言ったことがあった。「オマエ、分かっているか・・もう戦術的なコトは全て考えし尽くされたんだゾ・・これから将来的には、とにかくフィジカルの量と質が問われることになる・・そう(怠惰な)天才連中を、いかに走らせ、いかに効果的な守備をやらせるかというのが(攻守にわたる組織的なハードワークが!)これからのサッカーコーチの唯一のテーマになるということだ・・」
それは、1970年代の半ばのことでした。フムフム・・
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最後に、本田圭佑についても(このところ厳しい批判ばかりしていることもあるから!?)書かなければいけません。
彼の、ハードワークに対するイメージ&実際のアクションの量と質は、徐々に改善されつつあるとは思います。とはいっても、(岡田武史監督も言っていたように)まだまだ課題は山積み。
守備では、たまには追いかけるけれど(チェイスはするけれど)、それが高いレベルで続かないし、彼の場合は「チェイス&チェック」じゃなく、自分がボールを奪い返すこと「しか」イメージしていない「チェイス&アタック」ばかりなのですよ。困ったことに、それが決まらないこと(その守備プレーで相手からボールを奪い返せないこと)の方が多いから、逆に、本田圭佑が置き去りになってしまうシーンが続出する。それは、味方にとっては迷惑千万なシーンだよね。
彼は、もっと高い次元で、チェイス&チェックの量と質を安定させなければ、チームメイトの信頼を勝ち取ることはできない。要は、チームメイトが期待する通りの汗かきプレーが出来なければならないということです。自分勝手なディフェンス(≒とても楽なアリバイ守備プレー!)じゃ、信頼は勝ち取れないんだよ。
また攻撃でも、自分が中心になったコンビネーションでは走るけれど、そうでなければ、止まって足許パスを要求するシーンの方がまだまだ目立つ。
彼には、互いに、使い、使われるという「組織プレーの基本メカニズム」をしっかりと理解させなければならないよね。そんな、使われる忠実プレーの実効レベルが上がれば、確実に、チームの信頼も獲得できる。ただ(たしかに汗かきレベルは上がったけれど)この試合でのプレーでは、まだまだ日本代表の中盤カルテットに割って入ることは難しいだろうね。
本田圭佑が秘めるポテンシャルは、(この試合でも何本かあったドリブル突破シーンなど)とても高いモノがあると感じます。それでも彼は「ディエゴ・マラドーナ」じゃない。まあ・・精神のバカさ加減も秘めた大人になる・・っちゅうことですかネ。
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- ガンバレ〜〜、本田圭佑〜〜っ!!!!!
乱筆、乱文、誤字、脱字、てにおはミス・・などなど、ご容赦・・
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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