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2009_日本代表・・クロス攻撃に「命」を吹き込め!?・・それと、中盤のクリエイティブ・トリオ!・・(日本vs香港、6-0)・・(2009年10月8日、木曜日)

 「分からネ〜ッ・・」

 「アハハハハハッッ・・」

 こんなコト書いていいんだろうか・・。まあ、岡田武史監督の魅力的なパーソナリティーが垣間見えたこともあるから、いいかな・・。

 「今日の6ゴールのうち、もっとも気に入ったのは?」

 そんな記者の質問に対して、岡田武史監督が、「ゴールが入れば何でもいいのだけれど(そんなゴールのことじゃなく・・)駒野友一が香港ディフェンスの最終ラインとGKの間にある決定的ウラスペースに鋭く入れたクロスを大久保が決められなかったこととか、前半に、長谷部誠が送り込んだクロスに3人飛び込んで決められなかったこと、また後半には、俊輔が入れた素晴らしい(決定的スペースへの)クロスに対してもシュートをミスして決められなかったことの方が印象に残っている・・」と答えたのですよ。

 要は、(前回のヨーロッパ遠征のゲームを分析した結果・・)これからの重要なテーマの一つが、クロス攻撃の実効(成功)レベルを引き上げることだと言う岡田武史監督は、奪ったゴールのことよりも、素晴らしいクロスボールによる決定的チャンスをモノにできなかったことの方を気に掛けていたということらしい。フムフム・・

 ただ、岡田武史監督の事実認識に、ちょっとした誤解があった。列挙したクロス攻撃のうち、長谷部誠が送り込んだ・・というクダリに、ちょっと勘違いがあったのですよ。

 そこでは、まず左サイドでボールを持った長谷部誠が、右サイドでフリーになっていた中村俊輔へ素晴らしいサイドチェンジパスを送ったのです。そして中村俊輔がゴールラインまで持ち込み、本当に素晴らしい(相手ディフェンスの最終ラインとGKの間にある猫の額のような決定的スペースを、ゴールラインに並行に横切っていく!)鋭いグラウンダーの決定的トラバースパス(クロスボール)を送り込んだ。

 そのパスに合わせて香港ゴール前へ飛び込んでいったのが、岡崎慎司、長谷部誠、そして大久保嘉人(だったと思う)。それも、ニアポストゾーンから、センターゾーン、そしてファーポストゾーンへ、ダン、ダン、ダ〜ンと、続けざまに、その三人がスライディングシュートを試みたんだよ。でも結局、誰も触れずにボールは香港ゴール前を横切っていってしまった。フ〜〜ッ・・

 この一連のプロセスで、とても目立っていたのが、目の覚めるようなサイドチェンジパスとゴール前ゾーンへ飛び込むという素晴らしいなパフォーマンスを魅せた長谷部誠。まあ、岡田監督の脳裏に、「そのクロスボールのシーンでは長谷部誠が中心だった・・」という印象が強く残るのも道理のスーパープレーではあったわけです。もちろん、中村俊輔のクロスポール(グラウンダーのトラバース・ラストパス)も素晴らしかったけれどネ。

 わたしにも何度も同じような経験がありまっせ。

 手に汗握るエキサイティング(チャンス)シーンで、もっとも重要なパフォーマンスを魅せた選手が強烈に印象に残ったことで、(実際にはやっていないにもかかわらず) その選手が(複数の!?)重要なプレーをやったというイメージが記憶に残ってしまうこと・・。

 そして、岡田武史監督がプレスコンファレンスから引き上げていくとき、わたしの横に座っていた大住良之さんが、「(岡田さんが言った)長谷部誠のクロスだけれど、あれは中村俊輔でしたよね・・」と声を掛けたのです。それに対して岡田監督が「エッ!?」という顔をしたので、わたしも「あれは・・だった・・」とフォローしたという次第でした。

 まあ、余計なことだったかも知れないけれど、それに対して、岡田武史監督が、ちょっと相好を崩して、冒頭の「分かんネ〜〜」って言ったのです。イイネ・・。あははっ・・

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 あっと・・またまたハナシが逸れてしまった。ここで言いたかったことは、日本代表が、クロス攻撃の実効性アップ(成功率アップ)に重点を置くテーマ「も」設定しているということでした。

 たしかに、オランダ戦でもガーナ戦でも、クロス攻撃の「実効レベル」は高いとは言えなかった。もっと、送り込む方と、ゴール前で飛び込んでいく選手のイメージが高次元にシンクロしていなければならないよね。何せ、アバウトなクロスボールじゃ、例外なく跳ね返されちゃう。だからこそ日本代表は、ニアポストやファーポストの決定的スペースを明確にイメージしたクロス攻撃(もちろん、言うまでもなく鋭いライナー性のクロスボールだよ!)の精度を、もっともっとアップさせていかなければならないのですよ。

 あるカタチになったら、考えることなく(自然に)決められたスポットへ強烈なクロスボールを送り込む・・受ける方も、全力ダッシュで、そのスポットに飛び込んでいる(そしてダイビングヘッドで、誰よりも先にボールに触る!)・・なんてネ。

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 何か、またまた長くなりそうな感じになってきた。ここからは、ポイントを絞り込んで書いていくことにしよう。何せ、愛車のオートバイを駆って(とても気持ちよいライディングではあったけれど・・)帰宅したのは、夜中の12時を回っていたからネ。それから書きはじめたのですよ。フ〜〜

 それにしても香港は、攻守にわたって、本当に中途半端なサッカーをやった。

 攻め上がるにしても、周りのサポートの「気合いレベル」が低すぎる。「どうせボールを失っちゃうんだよな〜〜・・」なんていう消極的なマインドがミエミエなのです。そんなだから、簡単にボールを日本に奪われてしまうのも理の当然だよね。そして、(次のディフェンスばかりを考え本気で上がっていかないのだから当然だけれど・・)すぐに人数を掛けた守備ブロックを組織する・・。

 ガンガン攻め上がってくるような強い相手の場合、日本のプレッシングがはまれば、殊の外、大きな効果を発揮する。そう、オランダやガーナ戦のように・・。相手は、前へ重心を掛けているから、協力プレスが功を奏してボールを奪い返したときには、目の前に「ショートカウンターのチャンス」が転がっていたりする。そして日本代表は、プレッシングに参加した者たちが、素早く攻撃に参加することで、最後もダイレクトシュートでフィニッシュするような徹底的な組織プレーで相手を攻略してしまうのですよ。

 でも、この試合の香港のように、はじめから前へ出て行く気のないチームの場合は、そのほとんどで難しいゲーム展開になるのが常。強化ディフェンスを敷くチームとの対峙・・常に強烈なマンマークに遭うことで、誰もうまくフリーでボールを持てない(=上手くスペースを使えない)・・そして徐々に、ボールがないところでの動きが停滞気味になり、組織プレーも機能しなくなる・・

 でも、この試合の香港は、人数がいる割には、ディフェンスが徹底していなかった。ポジショニングバランスは、ある程度はできていたけれど、それをベースにした、臨機応変のチェイス&チェックやマーキングがいい加減なのですよ。

 もちろん、フリーな選手をうまく使いこなす、クレバーな日本代表の人とボールの動き(組織コンビネーション)という背景もあったわけだけれど、それにしても香港のディフェンスは、いい加減だった。それに、最終ラインも、まともにラインコントロールが出来ていない。すぐに「デコボコ」になるし、日本選手の決定適すベースへの飛び出し(もちろん岡崎慎司〜〜!!)にも、まったく付いていけないし、カバーリングもいい加減。

 これじゃ、日本代表に、何度も何度もスルーパス攻撃で攻略されてしまうのも道理です。

 (前述したように)もちろんそこには、日本代表が魅せつづける「鋭いコンビネーション&必殺スルーパス」という武器も存分に威力を発揮していたことは言うまでもありません。

 そんな「パス出し」のスーパースターは、言わずと知れた中村俊輔。

 シンプルな組み立て(展開)パス&忠実ムーブだけじゃなく、大きなサイドチェンジパス、魔法のボールコントロールから繰り出される魔法のスーパースルーパス、それに(まるでゴールへパスするように!?)この試合では、何度か、中距離シュートにもトライしていた(もっともっとロングシュートにチャレンジすべき・・彼は、日本代表でも、もっともロングシュートが上手いんだよ!)。

 中村俊輔は、このチームにとっては、クリエイティビティー&イマジナビリティーの(創造性と想像性の)心臓だね。エスパニョールでも、彼を中心に「動き」を演出すれば、もっともっと良くなるのに。あっと、またたま話題が逸れたし、タラレバのハナシも出てきはじめている・・それにしても、とても眠くなってきている・・フ〜〜。でも、頑張ってつづけるゾッ・・っと。

 ただこのチームでは(どんどんパフォーマンスが高揚しつづけている!)長谷部誠と遠藤ヤットで組む守備的ハーフコンビが、本当に素晴らしい機能性を発揮しつづけているからこそ、中村俊輔の才能も光り輝けるという事実がある。要は、長谷部&ヤット&シュンスケのコラボレーション。これに中村憲剛が絡めば、魅惑のカルテット・・。

 それにしても、このゲームでの長谷部誠は、すごく目立っていた。攻守にわたる汗かきプレーだけじゃなく、何度もロングシュートにトライすることで香港ディフェンスを釣り出したし、何度も(中村俊輔ばりの)スルーパスも決めたし、前述のスーパーサイドチェンジパスも決めた。

 また遠藤ヤットも、例によって派手じゃないけれど、攻守にわたって、とても「クール」で素敵な汗かきプレーを展開している。もちろんボールを持ったときのクリエイティブで実効あるプレーも見逃せない。

 うまく表現できなくなっていきている(アタマの回転がスムーズではなくなってきている)。

 とにかく、守備だけではなく、ゲーム&チャンスメイク(リンクマン的な仕事)で素晴らしい存在感を魅せつづける遠藤ヤットと長谷部誠の守備的ハーフコンビがいるからこそ、両サイドバックも、後ろ髪を引かれることなく、最後の最後までオーバーラップしていけるし、トゥーリオだって、流れのなかで最前線まで上がっていくことが出来る・・なんてこと「も」言いたかった。

 もう限界かもしれない。ということで、今日はこのあたりでお開きにさせてください。悪しからず・・。それにしても、クロス攻撃ネ〜〜・・たしかに「イメージシンクロ・コンテンツ」が、まだまだ矮小のようで・・あ〜眠い・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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