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2009_日本代表・・「オレが決めてやるっ!」という意志の爆発が感じられなかった・・(日本vsバーレーン、1-0)・・(2009年2月28日、土曜日)

「たしかに(岡田監督が言うように)日本代表は良いサッカーをやったとは思う(まあここでは洗練されたという形容ニュアンスでしたかネ)・・それでも、あれだけチャンスを作り出しながら、シュートとか、ゴールとか、決まる感じがしなかった・・日本には何かが欠けていると思うのだが、そのテーマについて、お考えを聞かせていただけないか?」

 そんな私の質問に対し、岡田監督は、「ワールドカップ予選ということで相手も必死だった・・世界中どこでもそうだと思うが(能力のあるバーレーンということも含めて)そんな状況では簡単にゴールを割ることは難しいだろう・・もちろんそれには選手たちのタレント性という側面もあるだろう(岡田監督は、タレントという言葉に、選手個々の能力だけではなく、心理・精神的なバックボーン、日本の社会体質など、様々な要素を含めていた!?)・・ただ、能力ある選手がいないからどうするのか、といった視点じゃなく、我々はそこから(それを前提に!?)スタートしている・・」といったニュアンスのことを言っていた。

 要は、日本の社会体質的な課題は、そう簡単には克服できない・・だから我々は、それが「あること」を大前提に、仕事を積み重ねている・・といったことでしょう。私は、それについて「二面性パーソナリティー」というコラムを書きました。そのコラムは「こちら」を参照してください。

 試合後、ある方が、こんなことを言っていた。「そう・・ゴールが決まる感じがしないんですよネ・・日本には『オレが決めてやるっ!』っちゅう雰囲気を振りまいている選手がいないというか・・だから、勝っても、どうしてもスッキリしないし不満が残るのかもしれませんよね・・」

 ナルホド、ナルホド・・。わたしは試合中に、こんなメモを取っていました。

 ・・たしかに組織コンビネーションはうまく機能している・・ただ、それにミックスしていくべきリスキーな個人勝負が足りない・・仕掛けの変化が足りない・・それじゃ、いくら組織パスプレーがうまく機能しても、ゴールを陥れることはできない・・もっと自己主張を!・・意志・・

 ・・何度かバーレーン守備を組織パスで崩してスペースを攻略し、そこからチャンスを作り出した・・でも、それが決定的シュートにつながらない・・良いクロスも送り込まれるし(中村俊輔からのスーパーな!)タテパスから、玉田圭司や田中達也がシュートチャンスを得たけれど、結局ゴールは遠かった(そんな印象の方が先行した・・そこには、ゴールを確信するという感覚は出てこなかった!)・・

 ・・内田篤人も、何度もチャンスは得たけれど、そこでも、ゴールが決まるという確信的な感覚は出てこなかったし、実際、シュートを決められなかった・・玉田圭司にしても内田篤人にしても、自分のカタチとタイミング「しか」イメージにないということなのかもしれない・・もっと泥臭くシュートを打てないものか・・それにしても、内田篤人がペナルティーエリア内でクロスボールをトラップしようとしたプレーには(結局トラップミス!)閉口した・・フリーで、相手GKと1対1だゼ!!・・

 そのテーマについて、ジェフ千葉のアレックス・ミラー監督を追いかけているイギリス人の著名ジャーナリスト、フレッド・バーコーと話したのですが、その会話のなかで、フレッドがこんなニュアンスのことを言っていた。「そうそう・・アレックス(ミラー監督)も、そのポイントについて何度も指摘しているよ・・日本人には、コンクペティティーブ・スピリットが足りないってね・・」

 コンペティティーブ・スピリット。まあ、相手に(自分にも!?)打ち勝つための強烈な意志・・っちゅうことですかね。

 「オレがシュートを決めてやる!」という強烈な意志があれば、例えば玉田圭司が、(前半に)中村俊輔からの夢のようなタイミングとコースのラスト縦パスを受けたシーンでは、「相手の足が出てくるかも・・」というイメージを脳裏に描きながら、無理なタイミングと大勢からでも(相手の足や身体ごと!)シュートをブチ込むといった「泥臭いプレー」が出来たはずだと思うのですよ。

 でも、このシーンの玉田は、まだまだ自分自身の(シュートの)カタチとタイミングにこだわり過ぎていた(自分のカタチとタイミングでしかシュートを打てない!?)。

 要はサ・・もっと勇気をもって個人勝負(例えばドリブルシュート)にも挑んでいかなければならないということです。

 人とボールを動かしつづける組織的な仕掛けプロセス。理想イメージは、組織パスプレーを基盤にスペースを活用していくことで、相手とのフィジカルコンタクトがほとんど出てこない状態で(要はスペースをうまく活用しながら)ラストパスやクロスからダイレクトシュートをきめる・・っちゅうことだろうね。

 この試合での日本代表は、(しっかりと走り、攻守にわたって出来る限り多く数的に優位な状況を演出しつづけるというイメージで!?)素晴らしい組織パスを積み重ねながら的確にスペースを突き、チャンスを作り出していた。ただ、最後の瞬間における「強引なまでの意志の爆発」が足りなかった。だからこちらは、ゴールに対する確信的な感覚は希薄なまま、何かが足りないという印象だけが残った。やっぱり、釜本邦茂がいないということか・・

 チャンスは作り出していた・・でも、最後の強引さ(意志の爆発)が足りないために、そのチャンスを具体的なシュートに結びつけられなかったり、シュートを放っても、打ち切れなかったりミスになってしまったり、また相手GKにとって「ノー・プロブレム」のシュートしか打てなかったり・・どうも可能性が感じられない(期待値が高まりを魅せない)・・

 ところで前日の記者会見。そこで岡田監督が、「勇気をもったリスクチャレンジの姿勢は大事だが、蛮勇ではダメ・・」といったニュアンスの発言をしたとか。フムフム・・。

 難しいネ・・。私は、その発言が、選手たちに「無意識の言い訳」をする「逃げの余地」を与えてしまうかもしれないことの方を心配するのですよ。日本の社会体質にドップリ浸かっている選手だから、「但し書き」的なニュアンスの発言は、本当に慎重にしなければならないと思うのです。

 特に、予選突破が見えてきたここからの日本代表は、ワールドカップという世界舞台で、いかに日本サッカーを「鮮烈に」アピールするのかというテーマに「も」取り組みはじめなければならないわけだからネ。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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