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2009_日本代表・・前半に2点目を奪うまでのサッカーには、本当に素晴らしいコンテンツが満載だった・・(日本vsベルギー、4-0)・・(2009年5月31日、日曜日)

「前半も20分を過ぎたあたりからベースダウンしてしまった・・そんなサッカーをやっているようでは、決して我々が目指す目標に到達できるばすがない・・」

 岡田武史監督が、語気を強めていた。たしかに、前半24分に二点目を奪ってからは、攻守にわたって、ボールがないところでのアクションの量と質が「ちょっと」減退したと思う。

 まあ、相手の(明らかに自分たちよりも劣る)チカラを体感しただけではなく、(守りを固めるベルギーから)2ゴールも奪えたことで、ちょっと日本代表の「意志」のポテンシャルが「落ち着く」のも分かる気がするけれどネ。

 ただ、『世界に抗していく絶対的な目標イメージ』を持ち、それに向けてストイックに突き進んでいる岡田監督にとっては、ギリギリの全力ハードワークをつづけることこそが大事なことだったんだろうね。「プレーが終わっても、まだ彼らは歩けるじゃないか・・」と語気を強める。フムフム・・

 「だからハーフタイムに彼らの覚醒をうながした(激烈なゲキを飛ばした!?)・・(そのこともあって!?)後半は再び持ち直した・・」

 そんな岡田武史監督の言葉を聞いて、ハタと考え込んだ。そうかな〜〜・・。オレは、前半の2ゴールを奪うまでのサッカーは、後半のサッカー内容とは比べものにならないほど素晴らしいモノだったと思うけどナ〜〜。

 たしかに後半、ボール奪取勝負=闘う意志=(!?)を基盤にしたプレーのペースは、前半の最後の時間帯から比べれば少しはアップしたけれど、サッカーの内容自体は、前半に彼らが2ゴールを挙げるまで魅せつづけたスーパーな組織プレーとは比べものにならないほどの差があったと思うのですよ。それほど、前半の半ば過ぎまでに魅せたサッカーには、本当に、本当に素晴らしいコンテンツが内包されていた。

 そこで展開されたサッカーの素晴らしさを、うまく言葉で表現できるかどうか・・。わたしは、ゲームを観ながら、守備ブロックを固めるベルギーに対して日本代表が作り出した(目立った)チャンスについて、こんなメモを書いていた・・

 ・・長友佑都のオーバーラップ(単独ドリブル突破)からのクロス(牛若丸=中村憲剛=の決定的ヘディングシュート!)・・長谷部誠の『タテのスペースをつなぐ』超速ドリブルからの流れるようなスーパーミドルシュート・・牛若丸(憲剛)の中盤ドリブル勝負からの中距離シュートトライ・・中村俊輔とのコンビネーションによってフリーでボールを持った牛若丸(憲剛)が、サイドゾーンから中央へ、置くように流したグラウンダークロスを、後方から押し上げてきた遠藤ヤットが(例によって!?)クールなサイドキックで、あと僅かでゴール!!という惜しい中距離シュートを放った・・

 ・・前半15分には、逆サイドから(センタースポットにボケッと突っ立っていた大久保嘉人を追い越すように!)大きく回り込んで右サイドスペースへ抜け出した俊輔へタテパスが通り(素晴らしい俊輔の意志=フリーランニング!)そこからのクロスを、岡崎慎司と大久保嘉人が続けざまに「叩いた」けれど、結局はポスト直撃ということになった(結局ゴールならず・・信じられない!!)・・前半19分には、俊輔による夢のようなタメキープからの決定的スルーパスが、抜け出した大久保に通り、決定的シュートチャンスが演出される(そのパスを呼び込んだ大久保の動きにも拍手っ!)・・

 前半の20分過ぎまでには、そんな決定的チャンスが続けざまに演出されたのですよ。そして、そんな流れのなかで、当然のように先制ゴールが決まるのです。岡崎慎司と絡んでボールを持った牛若丸(憲剛)の流れるような「流しアシスト」と、決定的スペースへ走り抜けた長友佑都の爆発フリーランニングに乾杯!

 それにしても、長友佑都が放った、ベルギーゴールの天井ネットを突き破らんばかりのキャノンシュートには思わず快哉を叫んでしまった。そしてその2分後には、今度は牛若丸(憲剛)が素晴らしいタテへの抜け出しフリーランニングを魅せ、その「ボールがないところでの勝負の動き」が、大久保嘉人が送り込んだ素晴らしいスルーパスと、ピタリとシンクロした。本当に、目の覚めるような2点目のゴールだった。

 メモでリストアップしたように、前半のチャンスメイク(そのコンテンツ)は本当に変幻自在だった(攻撃の絶対的なコンセプトは『変化』にあり!)。

 クロスからのヘディングあり、相手の視線と意識をフリーズさせてしまうような高質なタメからの決定的スルーパスあり(人の動きとのシンクロ!)、中央突破のコンビネーションあり、中距離シュートあり・・

 もちろん「それ」は、素晴らしいディフェンス(ボール奪取勝負)が機能していたからこそのモノだった。そして「その攻撃コンテンツ」は、明らかに、ペースアップした後半の「それ」を凌駕していた。皆さんは、どう思いますか?

 わたしは、そんな高質な攻撃の立役者は、もちろん、長谷部誠、遠藤ヤット、そして中村兄弟(俊輔と牛若丸=憲剛=)で構成する中盤の「ダイナミック・カルテット」にあったと思っているわけです。もちろんリーダーは、言わずと知れた「組織と個がハイレベルにバランス下天才チームプレイヤー!」中村俊輔。

 とにかく、彼ら四人が展開しつづけた「ダイナミズム」は(記者会見で質問されたように!?)決して、選手の並びを表した数字の組み合わせや、プランされた(言葉で表現されるような)戦術的な役割なんていうモノで表現される次元のハナシじゃないのですよ。要は「意志」。

 そう・・本物の守備意識を絶対的な基盤にしたクリエイティブなルール破り・・汗かき仕事を進んで探し出す積極プレー姿勢・・互いに使い、使われるというメカニズムに対する深い理解・・自信と確信ベースの相互信頼・・などなど・・

 ところで「世界のベストフォー」という、岡田武史監督が志向する目標イメージ。

 そのことを質問されたベルギーのフェルコーテルン監督が、ニヤリとしながら、こんな表現をした。「言うは易く行うは難し・・とはいっても、そこはサッカーだから、何が起きるか分からないけれどネ・・とにかく強い意志をもって最高の準備に全力を傾注することだね・・」

 そんなフェルコーテルン監督の言葉を引用しながら、こんな質問をぶつけてみた。

 「ベルギーの監督さんは、ニヤリとしながら、そんなことを言っていた・・そこで質問だが、岡田監督は、世界のベストフォーに上り詰めるためには、何がもっとも大事なことだと思っているか?」

 「簡単だ・・本気で取り組むかどうかだ・・選手一人ひとりが(ベストフォーを)信じて目指していれば、いま何が大事か、何をやらなければならないかは、おのずと分かるはずだ(ゲームの後に深酒をするなんていうアイデア自体が出てこないはずだ!)・・とにかく、本気でやるかどうか・・それに掛かっている・・」

 素晴らしい表現だね。その言葉を放ったときの表情は、まさに『ホンモノ』だった。

 フィジカル、テクニック、タクティック、また心理・精神的な部分でも、「世界」との間には、まだまだ明確な「最後の僅差」が横たわっている。だからこそ、少なくとも、しっかりと走ることだけは最低条件だよね。そう、攻守にわたり、できる限り多く「数的に優位な状況」を作り出すために・・。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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