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2009_日本代表・・貴重なガチンコ勝負・・でも最後は、世界での成功体感の差!?・・(オーストラリアvs日本、2-1)・・(2009年6月17日、水曜日)

すごいガチンコ勝負になった。

 日本代表の強者たちは、決して頭(こうべ)を垂れることなく、胸を張って成田に降り立って欲しい。それだけの(世界と対等に渡り合えるだけの!)ポジティブな内容が詰め込まれた「ガチンコ」だったと思う。

 特に、オーストラリアに押し込まれたゲーム立ち上がりの展開を、意志のチカラで(勇気あるチャレンジを繰り返すことで!)盛り返していった時間帯、また、ケーヒルが同点ゴールを決めてから、同じくケーヒルが勝ち越しゴールを決めるまでの15分あまり。そこで日本代表は、世界との「対等の対峙」という雰囲気を放散しつづける本格感あふれるギリギリの「闘い」を魅せつづけた。

 たしかに負けはしたけれど、それでも、このゲームでの日本代表のプレー姿勢からは、「ワールドカップでベストフォーを目指すんだ!」という強烈な意志が放散されていたと思う。日本代表は、胸を張っていい。

 とはいっても、「勝負」という視点じゃ、やっぱり、まだまだやることが山積みだと感じさせられた。

 流れのなかでは、オーストラリアに、全くといっていいほどスペースを攻略されなかったのに(流れのなかからチャンスを作らせなかったのに)セットプレーからのワンチャンスを二度とも決められてしまった。それは、「そこに来るはずだ!」という、世界のギリギリ勝負の体感を積み重ねたケーヒルの「イメージ力と実行力」に拠るところが大きかったわけだけれど、それでもネ・・。

 よく「世界の二番手ランクにいる連中」が言うじゃないですか・・全体的なサッカーの内容でも、また作り出したチャンスの数でもオレたちの方が上回っていたけれど、ヤツらは(世界トップに君臨する強者は)一度のチャンスをゴールに結びつけて勝負にケリをつけちゃうんだよな・・ってね。

 この試合での日本代表にも、そんな「表現」が当てはまるのかもしれない。中盤での(攻守の)内容でも、またチャンスの(芽の!?)量と質でも、オーストラリアに優るとも劣らない(いや・・彼らを上回る!?)サッカーを魅せたけれど、それでも、誰もが「アッ・・ゴールだっ!」と身体をフリーズさせる瞬間は、ほとんどなかった。

 それに対して(ヨーロッパでプレーする代表選手のレベルに基づけば、日本よりも、より世界に近いと言える!?)オーストラリアは、少ないチャンスを、しっかりと結果に結びつけられるだけの「何か」を持っていた!?

 例えば、クロスボールによる勝負シーンだけれど・・

 以前、岡崎慎司が活躍した日本代表のゲーム後の記者会見で、岡田武史監督に対して、こんな質問をぶつけたことがあった。

 「岡崎慎司がタテへ抜け出して(その人の動きとボールの動き=スルーパス=が上手くシンクロしたことで)作り出した決定機には素晴らしいモノがあった・・それは岡田監督によるイメージ作りが功を奏したのだと思う・・それでも、それとは別に何度もあったクロス勝負のチャンスがうまく活かされていなかったと思う・・そこでは、ニアポスト勝負とか、明確な勝負イメージが感じられなかったということなのだが・・」

 そのとき岡田武史監督は、「たしかに、それも課題の一つだ・・」と答えていたけれど、この試合でも、どうもその課題がうまくクリアできていない(クリアされる方向へいっていない!?)と感じた。

 何度も、クロスボールを送り込めるチャンスを作り出したけれど(ペナルティーエリアの角ゾーンを攻略するというイメージは徹底していたけれど・・)どうも、センタゾーンで待つ味方選手の「パスを受ける動き」がはっきりしない。ニアポストゾーンへ飛び込んでいくのか・・そこで「スリップヘッド」によって流されたボールに飛び込んでいくのか・・などなど・・

 「それ」は一瞬の勝負・・。要は、ゴール前で勝負する味方選手は、クロスを送り込める状況になることを「期待&予測」してアクションを起こす「勝負イメージ」を持っていなければならないということです。ボールを持つ味方が、クロスを送り込める状況になる「一瞬でも前のタイミング」で、何らかの「意志のアクション」を起こさなければ、決して相手マークを振り切れないのです。

 そう・・、トゥーリオの先制ヘディングゴールのシーン。彼は最初、後方から、相手マークを引き連れてニアサイドへ動き、次の瞬間には、スッと後方へ戻りながらタテへ抜け出していった。移動距離は10メートル以上だったよね。

 それは、ボールがないところでの意志の爆発(確信という心理エネルギーに支えられたセルフモティベーション!!)とも言える。

 もちろんそれは、岡田武史監督による「セットプレーでの勝負イメージ作り」が実を結んだということだけれど、そんな地道な努力が、何度失敗しても減退することのない「強烈な勝負イメージ」を形成し、「確信レベル」を引き上げるということだね。

 たしかにオーストラリア守備ブロックは、予測する能力(アンティシペーション)も高く、(粘り強くマークしつづける)意志のレベルも素晴らしかった。だから、そんな強者のマークを振り切るのは大変な努力がいる。でも・・だからこそ、願っててもない学習機会だった・・

 だからこそ日本代表は、このような「本物のガチンコ勝負」で獲得した「成功体感」と「失敗体感」を、繰り返し反芻しつづけなければならないのですよ。そう、クレバーに編集されたビデオ素材を最大限に活用する「イメージトレーニング」・・

 その他にも、橋本英郎と今野泰幸の守備的ハーフコンビが、この試合では(まあ立ち上がりは、ちょっとビビり気味の消極パスもあったけれど・・)より積極的に、攻守にわたって(攻撃ではリンクマンとしても!)チャレンジを繰り返したことが日本代表のベースアップの基盤になったこととか・・牛若丸(中村憲剛)が魅せつづけた、攻守にわたる獅子奮迅の活躍とか(攻守にわたって相手とのフィジカルコンタクトを極力避けるようなクレバーな工夫プレーに拍手!=まさに、牛若丸vs弁慶!?)・・走る(全力スプリントの)意志をみせはじめたことで、持てる能力を(組織プレーと個人勝負プレーの両面で!)実効あるカタチで発揮できるシーンが少しは増えた松井大輔とか・・トゥーリオの流れのなかでのオーバーラップとか・・確かにこれだったら、ジェレミー・ウォーカーが言うように、ヨーロッパでも完全に通用するだろうなと納得させられるようなスーパープレーを魅せつづけた長友佑都とか・・様々なテーマはあったけれど、まあ、今日はこのあたりで・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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