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2009_日本代表・・本当の意味で「世界と互角に対峙する」ために・・(ウズベキスタンvs日本、0-1)・・(2009年6月6日、土曜日)

何やってんダ、オマエ〜〜〜ッ!

 本田圭佑のプレー「姿勢」を見ながら、ホントにアタマにきていました。彼は、全体的には良いプレーを魅せた(こちらも彼に対する期待値を高めることができた)チリ戦の後で、「日本代表は本当によく走る・・驚いた・・オレも(チームにとって価値ある選手になるために!?)守備も含めてもっと動かなければ・・」なんて、殊勝なことを言っていたのに、その反省が、この試合では、まったくと言っていいほど「プレー意志」に反映されていなかった。

 交替出場した本田圭佑は(それも、攻守にわたって大車輪の活躍を魅せつづけていた中村憲剛との交替だったのに!!)攻守にわたって存在感を示すことはなかった。

 彼は、まず何といっても、守備で、全力のチェイス&チェックを魅せなければならなかったのに、ボールを追う姿勢が「ぬるま湯」。まさに「アリバイのチェイスアクション」ばかりといった体たらくなのですよ。全力ディフェンスからゲームに入っていこうとしないのだから、チームのなかで「どんな存在意義」を構築しようというのか・・。

 また攻撃でも、ブレーキになるばかり。勝つしかないウズベキスタンが、必死のチェイスを仕掛けているというのに、いつものような「緩いリズム」で無為にボールをキープするばかり。そして、相手の必死のタックルでボールを失ってしまったり、味方にとって迷惑な「逃げパス」を出して足を止めてしまったり。そんな、強い意志(戦う姿勢)のカケラも感じないプレー姿勢に、誰もが憤っていたに違いない。

 彼は、世界を目指す日本代表にとって価値のあるハードワークということの意味するところが分かっていない。厳しいかもしれないけれど、今日のようなプレー姿勢(イメージ)じゃ、オランダ二部リーグでは通用しても、世界を目指す日本代表にとっては邪魔者以外の何ものでもない。彼は、ディエゴ・マラドーナじゃないんだよ。フ〜〜・・

 とにかく、あれだけの才能に恵まれた本田圭佑の「プレー姿勢(意志のコンテンツ)」に、心底ガッカリさせられた筆者でした。あれほどの才能に恵まれているのに・・

 フ〜〜、まあ仕方ないけれど、そんなネガティブな話題から入ってしまったから、どうもノリが悪い。ということで次のテーマだけれど、まあ、「押されながらも、しっかりと守りきった日本代表」といったところから始めるしかないだろうね。

 たしかに日本代表は(勝つしかないのに一点をリードされてしまった)ウズベキスタンがブチかましてきた「レベルを超えた闘う意志」によって、ちょっとタジタジになった。前半では、半ばを過ぎたあたりから。また後半も、全体的にはウズベキタンのペースだったとせざるを得ない。

 現象的には、ウズベキスタンの運動量が勝っていたことで、中盤での攻守のせめぎ合いで(数的優位な状況を作り出すプロセスでのせめぎ合いで)ウズベキにペースを握られたということです。

 だから日本代表は、チェイス&チェックをベースにした「ボール奪取プロセスの機能性」をアップさせられず、次の攻撃も、うまく組み立てることが出来なくなってしまった。とはいっても守備プロセスの「最後のところ」では、決してウラを取られたり、危ないカタチで(フリーで)ボールを持たれたりした(フリーシュートのチャンスを与えた)わけではないけれどね・・

 ウズベキもチカラがある。だから、相手ボールホルダーに安易にアタックを仕掛けたら簡単にかわされ、置き去りにされてしまう。そんなイージーな「ボール奪取勝負」を仕掛けていくのではなく、もっと忠実にチェイス&チェックを繰り返したり、相手ボールホルダーへのプレッシャーを粘り強くつづけることで「次の効果的なボール奪取勝負」を狙うというイメージを徹底するべきだった。

 ただし、後半の立ち上がりは、明確に「守備からプレーに入っていくという姿勢」を感じた(ハーフタイムでの岡田武史監督のゲキが効いた!?)。忠実なチェイス&チェックを基盤に、どんどんと「守備の起点」を作り出すことで、ボール奪取勝負の内容でウズベキスタンと互角以上のサッカーを展開できたと思うのですよ。

 だからこそ、そんな「守備を絶対的なバックボーンとして統一したプレー姿勢」が、その流れのコアの一人でもあった牛若丸(中村憲剛)に代わって登場した本田圭佑の怠惰なアリバイアクションによって(もちろん彼だけが原因というわけじゃなかったけれど・・)減退したという「現象」に憤っていたのですよ。あっと・・またまたアドレナリンが生成されはじめてしまった。

 ハナシを戻しましょう。たしかに、押されているという「表面的な見え方」は同じだったかもしれないけれど、そこでの「実質的な現象コンテンツ」には、たしかな違いがあったと思うのですよ。

 要は、「奥まで」押し込まれ過ぎて大きなピンチを迎えてしまう・・という現象と、押されてはいるけれど、そんな相手の勢いを安定して受け止め、逆にしっかりと人数を掛けて押し返す・・という現象の違いということです。

 とにかく、後半の立ち上がりから20分過ぎまでのゲームの流れと、前半と後半の半ばからの「押し込まれていた流れ」とは、明らかに、その内容が異なっていたということが言いたかった筆者なのでありました。

 ここからは、ちょっと枝分かれしたテーマに入っていきますが、この試合では、遠藤保仁、長谷部誠、中村俊輔、牛若丸(中村憲剛)という中盤の「ダイナミック・カルテット」に岡崎慎司が加わり、その五人が、攻守にわたって、まさに縦横無尽のポジションチェンジを魅せつづけました。また、たまには、岡崎慎司と大久保嘉人がワントップのポジションを交替していた(その際は、中盤での縦横無尽のポジションチェンジに大久保嘉人が加わった!・・またワントップに牛若丸が入ったり、そこへ後方から、遠藤保仁や長谷部誠がサポートに入り込んでいった!)。

 ということで、この「枝分かれテーマ」でのキーワードは、豊富な運動量(動き)とリスクチャレンジということになりますかね。

 ・・豊富な運動量(≒縦横無尽のポジションチェンジ≒攻守にわたって、出来るだけ多く数的に優位なカタチを作り出しつづけること!)をベースに、積極的にリスクへチャレンジしていくプレー姿勢・・それは、とりもなおさず、主体的に「様々なバランスを崩して」いくというプレー姿勢に他ならない・・

 ・・だからこそ、次の守備で様々なバランスを素早く調整できるための「優れたバランス感覚」が求められる・・そのバランス感覚は、「ホンモノの守備意識」とも言い換えられる・・このメカニズムに対する理解が重要・・

 ・・そんな優れた守備意識(≒優れたバランス感覚)を進化させるプロセスでは、互いに、使い、使われるという組織プレーメカニズムに対する深い理解も重要な意味をもってくる・・それ「も」優れたバランス感覚という「能力」の主要な構成要素・・

 何か・・こう・・堂々巡りをしているような・・あははっ・・。

 最後になりましたが、とにかく・・南アW杯本大会への出場権獲得に対して乾杯!! それも、実力で勝ち取った成果だからこそ特筆の価値がある。

 とはいっても、たしかに日本は、目に見えて強くなっているけれど、それでもまだまだ課題は多い。

 例えば・・攻守にわたって出来る限り多く「数的に優位なカタチ」を演出する・・そのために、もっともっと運動量を上げる(意志の発露としての、攻守にわたる全力スプリントの量と質の向上!?)・・またそこには、「走らない(全力で闘わない)系」の選手のプレーイメージをポジティブに変容させるという課題もある・・などなど、世界に抗していくためのテーマは山積みなのですよ。

 とにかく、岡田武史監督の(優れたバランス感覚に支えられた!?)限界を極めるリスクチャレンジ姿勢に期待しましょう。ホント・・サッカー監督にとって、「バランスの取れたグレーの発想が出来ること」ほど大事な資質はないよね・・あははっ・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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