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- 2009_日本代表(オランダ戦その2)・・日本代表が志向する、究極の組織サッカー!?・・(オランダvs日本、3-0)・・(2009年9月6日、日曜日)
- 何となく、(ネガティブに過ぎる、昨日アップしたコラムのニュアンスが!?)気になって眠れなくなってしまった。ということで、日本代表チームに、より明確なスポットを当てたコラムを書き足すことにしました。
気になったメインテーマ? そりゃ、岡田武史監督が志向するサッカーのやり方だよね。色々な表現が出来るだろうけれど、やっぱり(トータルフットボールという王道ベクトル上にある!?)究極の組織サッカー・・っちゅうのが私は気に入っていますね。
だから、本田圭佑は(彼の不遜な自意識が!?)ネガティブな存在ということになってしまう。そりゃ、本田圭佑が所属するチームでのように、彼の「もっとも良いところ」を最大限に活かすようなチーム戦術を立てられるのだったら、ちょっはハナシが違ってくるよな。だから、最前線と中盤(汗かきの仕事屋)の間で、好き勝手に仕掛けていくプレーに集中できる・・!?
でも、世界に強者を相手にしなければならない日本代表チームには、そんなタイプの才能を許容できるだけのキャパがない。
本田圭佑が、あのような姿勢でプレーするなら、やはり、ボールを持ったら(どんな悪いパスでもしっかりと支配下に置き、余裕を持ってキープしながら)少なくとも相手の一人や二人は、勝負ドリブルで抜き去り、その背後スペースを攻略できるくらいじゃなければダメでしょう。
でも結局彼は、ディエゴ・マラドーナじゃない。もっと言えば、所属チームでの「特殊なチーム戦術」でスポイルされ、本当の意味での「良い選手」になる機会を阻害されている・・!? まあ、そのような見方「も」出来ないことはないかもしれないね。フムフム・・
ということで、日本代表が志向する(!?)究極の組織プレーというテーマに入っていく。 まず、まさにオランダのお株を奪う、中盤での、積極的な「ボール狩り」ディフェンス・・
そこでは、最終ラインのセンターコンビ、中澤佑二とトゥーリオを除いたフィールド8人が、(高く保つ攻撃的な守備ライン=コンパクト中盤ゾーン=をベースに)基本的なポジショニングバランス『は』保ちながらも、それぞれの積極的な「汗かき」と「リスクチャレンジ」アクションを、有機的に連鎖させつづける。
忠実でダイナミックな「チェイス&チェック」。そして「それ」をベースに、周りのインターセプトアクション(相手のトラップの瞬間を狙うアタック)、遠いサイドでの忠実マーキング、ツボを狙いつづける協力プレス準備アクションが、まさに有機的に連鎖しつづける。
相手を凌駕する運動量をベースにした、究極の組織プレー。その目標は、言わずと知れた、『出来る限り多く、数的優位な状況をつくりつづける』というコンセプト。
そしてそこでは、「このポイント」も、とても重要になってくるのだけれど、そこでチェイスする守備の起点プレイヤーは、決して、無理な=無責任な=アタックを仕掛けることなく、次、その次の味方にボール奪取を委ねるというイメージなのですよ。要は、「チェイス&アタック」ではなく、あくまでも「チェイス&チェック」ということです。もちろんボール奪取チャンスがあればハナシはまったく別だけれどネ。とにかく、その視点で、この日本代表チームは、(イメージトレーニングも含め!?)本当に、よくトレーニングされている。
まあ・・なかには、「オレがボールを奪い返してやる!」といったイメージ「しか」もっていない自分勝手なプレイヤーが、効果的なボール奪取プロセスのベースになる「有機的なイメージ連鎖」を阻害する状況も観られたけれどネ。
それが、セカンドハーフでディフェンス機能性が減退したことの元凶だった!? 昨日のコラムでは、その「現象だけを」指摘したけれど、やっぱり原因も探さなければ・・ね。疲労!? いやいや・・それだけじゃなかったネ・・。
あっと・・「それまで」日本代表が展開した素晴らしい組織ディフェンスというテーマ。その創造性あふれるダイナミック守備(ボール奪取勝負)の前に、次々とボールを失いつづけるオランダ代表なのです。彼らは、自分たちのお株を奪われたことも含めて、とても深く強いフラストレーションに苛(さいな)まれていたに違いありません。
それが、何度かの「ラフなアタック」を誘発した!? 中村俊輔(vsデ・ヨング)や長谷部誠(vsスナイデル)は大丈夫だっただろうか? そのシーンを観ながら、2006年ワールドカップ本大会の直前に行われたドイツ代表との準備マッチで、シュヴァインシュタイガーからの「フラストレーション・ラフアタック」受け大けがを負った加地亮のことを思い出していた。
あっと・・オランダ代表のスナイデルのケガも心配だよね。もしかしたら、おかしな(不運な)足の着き方が原因で、何らかの大けが(骨折!?)を負ったかもしれない。本田圭佑のスライディングが直接の原因じゃないとは思うけれど・・
ちょっとコラムが冗長になりはじめている。そして、ここから、攻撃に入っていくわけです。そう「ゼロトップ」というイメージの、究極の「組織オフェンス」。
それは、人とボールが動きつづける組織プレーと(その目標イメージ=すべてのシチュエーションで、数的に優位なカタチを作りつづけること!!)、良いカタチを見極めた(勇気を振り絞る!)局面での個人勝負の、「日本的なニュアンス」の最高バランス・・なんて表現できるかね。
もちろん昨日のゲームでも、ある程度は機能した。でも(昨日のコラムで書いたように)あれだけゲームを支配していながら、その流れのなかから作り出した「最終勝負シチュエーションの危険度」は、そんなに高いモノじゃなかった。
それに対して、まさに「ワンチャンス」といった機会しか作れなかったオランダだったけれど、その一つひとつの「質」は、とても高く危険そのものだった。そのベースは、もちろん、ハイレベルな組織プレーイメージのなかで、世界レベルの「個のチカラ」が、効果的に表現されるというポイントだよね。
同じようなチーム戦術で闘うチーム同士の試合では、最終的な勝負は、個のチカラの量と質によって決まる・・っちゅうことです。
とにかく、岡田武史監督は、「究極の組織プレーというやり方」を突き詰めていくつもりのようですし、私も異論はありません(というか・・それしかオプションがない!?)。でも、やはり、世界トップレベル守備ブロックのイメージのウラを突いて作り出さなければならないチャンスの量と質という視点では、まだまだ大きな課題が横たわっている。
もちろん、最終勝負シチュエーションでの「受け手」の動きの質もそうだけれど、わたしは(いまの段階では!?)勇気をもった勝負パスの供給イメージ(自分からギリギリの勝負を仕掛けていく強烈な意志!)の方こそが、より大事な要素だと思っています。とてもリスキーな勝負のロングパスや勝負のスルーパスに「もっと積極的にチャレンジする」というイメージ・・
ニワトリが先か、タマゴが先か・・。もちろん、出し手と受け手のイメージはシンクロしていなければならないけれど、たまには、エイヤッ!で出すパスが「先行」したっていい。そう、当時の中田英寿のようにネ。それがあれば、後から「ディベート」を活性化できる。それがあれば、選手たちも、より明確に「勝負イメージ」について考え、人の動きのクオリティーを高めていく機会に恵まれる。
とにかく、最後の最後まで、人とボールの動きをベースにした(局面での数的優位状況を演出するというテーマも含む!)組織勝負を志向する・・という原則的な方向性が定まった日本代表だからこそ、突き詰めていかなければならないテーマも、より具体的に集約されつつあるということかな・・!?
まあ・・ネ・・。最初からチーム作りのコンセプトにブレはなかったと言われれば、こちらは黙るしかないけれど、もちろんプロセスでは、個のチカラの融合にもトライされていた(今でもトライされつづけている!?)ということは確かな事実だけれどサ。
もっと、もっと、玉田圭司や中村俊輔、はたまた中村憲剛や遠藤ヤット、そして長谷部誠も、ドリブル勝負にチャレンジしていい・・もっと、もっと、中村俊輔や中村憲剛、遠藤ヤットや長谷部誠にしても、中距離シュートにトライしていい・・もっと、もっと、最前線へ突っ掛けていくなかで、スッと、バックパスを「置く」ような、クールなプレーをイメージしていい(もちろん狙うはダイレクトの中距離シュートだよ!)・・もっと、もっと・・
何か・・本当に「小さなイメージの進化」によって、最終勝負シチュエーションの量と質が「劇的に高揚」するかもしれない・・という期待が高まっている筆者ではありました。
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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