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- 2009_「J1」_第25節(最終決戦)・・アントラーズの見事な超パワープレー・・様々な視点で(守)プレーのメリハリを欠いたフロンターレ・・(AvsFR、最終結果=2-3)・・(2009年10月7日、水曜日)
- 凄かったですね〜、アントラーズが魅せつづけた超パワープレー。それを何と表現したらいいものやら・・。失うモノがない吹っ切れた極限のプレッシング!? いやいや、そんな陳腐なものじゃ言い表せそうにないね。まあ、極限の「仕掛けイメージ統一サッカー」ってなところですかネ。
シンプルな「アーリークロス」を、ダイナミックに送り込みつづけるアントラーズ。その状況やタイミングについては、もう、一人の例外もなく全員が、完璧にイメージを共有していると感じる。そんなだから、どこでアーリークロス(アバウトなロングボール)が飛ばされるか明確にイメージしている三人目、四人目、五人目、六人目・・といった、超のつくスピリチュアルパワーを秘めたサポートの動きが「連動」しつづけるのも道理なのです。
そんなアントラーズのパワフルな仕掛けに対し、守るフロンターレは、ちょっとでもヘディングクリアが短くなったり、変にボールが「こぼれ」でもしたら、即刻、大ピンチに陥ってしまう・・。フ〜〜
開始早々、アントラーズの岩政大樹が、粘り腰で押し込んだ「追いかけゴール」。ショッキングな出来事でしたネ。観ている方も、ボコッ!ってアタマをぶん殴られたように覚醒したに違いありません。そして、どんどん、ドラマがヒートアップしていく。徹底したシンプル攻撃をつづけるなかで、ポストシュートなどの惜しいチャンスを何度も作り出すアントラーズ。フムフム・・
ということで、この試合でのポイントは、二つあるわけです。一つは、アントラーズが徹底して繰り出しつづけた、吹っ切れた(見応え十分な)シンプルなロングボールによる超パワープレー。そしてもう一つが、「それ」が分かっていたにもかかわらず、全員の集中力を最高レベルまで高揚させ、維持させられていたかと言ったら、ちょっと疑問符がつくフロンターレ・・という視点。
アントラーズの超パワープレーに対しては、もちろん、まず何といっても「ボールの出所」を完璧に抑えまくる・・というイメージを徹底することが肝心でした。要は、最前線から中盤にかけて、「前気味の選手」による、全力の忠実チェイス&チェック(要は、ボールを追いかけ回す忠実プレッシング)が殊のほか重要な意味を持っていたということです。
それは、あのようなカタチで押し込まれている状態で、前戦の選手が「中途半端に下がってくる」のは自殺行為だとも言い換えられます。チョン・テセ、ジュニーニョ、田坂祐介など、どうも中盤の低いポジションに引き気味になってしまう傾向が強かった。それでは、ロングボールしかイメージしていない(後方の)相手ボールホルダーに余裕を与えてしまうのも道理。
もちろんアントラーズの後方選手には(味方が前掛かりということで)あれだけの広大なスペースがあったわけだから、それを全てカバーして効果的なプレッシャーを掛けつづけるのは容易な作業じゃないだろうけれど、とにかく彼らは、全力ダッシュでチェイス&チェックを仕掛けつづけなければならなかったのですよ。
そんな前戦からのチェイス&チェックが効果的に機能すれば、チームにポジティブな刺激になったはずだし(勇気と積極性を与えられた!?)、後方ブロックも、下がりすぎたり、受け身の(アナタ任せの!?)心理でプレーする瞬間も出現しなかったと思うのです。
そう、次のテーマが、無為に下がりすぎたフロンターレ守備ブロック・・という視点。もちろん、ほとんどの時間は、高い集中力を保てていた。だから、フリーになる、三人目、四人目、五人目・・のアントラーズ選手も、簡単には出現してこなかった。でも、そんな集中が、一瞬、途切れてしまうようなシーンも、何度か目撃されたのですよ。
人数が足りているからこその「譲り合いマインド」。それは、メチャクチャ危険なんだよ。そう、ドーハの悲劇。
下がりすぎ、周りの人数が多すぎたら、誰が誰をマークするのかがとても曖昧になって、アナタ任せの心理にも陥ってしまう。だから、アバウトなロングボールが「こぼれ」たら、そこに、フリーな相手の「足」や「アタマ」が出現してきてしまう・・。
これが危険なんだよ。だから、最後の勝負タイミングでは、ヘディングで競る者と、そのスポットの周辺で、上がってきている相手を密着ハードマークする者の、勝負イメージのメリハリが大事になってくるのですよ。
繰り返すけれど、ほとんどの時間帯では、フロンターレ守備ブロックは集中していましたよ。でも、(人数が足り過ぎていることで!?)ほんの一瞬、気抜けになってしまうシーンもあったということです。 分かっていながら、 アントラーズに、繰り返し決定的チャンスを作り出されたことは確かな事実だったからね。ホンモノの心理ゲーム、サッカーの面目躍如!?
ということで、この試合では、ちょっと、中村憲剛と谷口博之のリーダーシップが機能しなかったことには落胆させられた。彼らこそ、中盤から最前線にかけての超ダイナミックなチェイス&チェックを、味方に対する強烈な「刺激」とともにリードすべきだった・・!?
とにかくこの試合は(この20分間は)、両チームにとって、とても貴重な(フィジカルに感じられる)学習機会になったことでしょう。
ところで、この試合。わたしは、スタジアムではなく、自宅でのテレビ観戦でした。悪しからずご理解いただければ幸いです。
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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