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- 2009_ナビスコ・・歯車が狂いはじめているアルディージャ守備が気に掛かる・・(2009年6月7日、日曜日)
- 今日は、天気が良かったこともあって、二試合をハシゴすることにしました。ナビスコカップのアルディージャ対マリノス。そして、ジェフ対サンガ。
個人的な感覚だけれど、サッカー専用スタジアムとしての大宮「NACK」と千葉「フクアリ」には、本格的なノスタルジー(郷愁)を感じてしまう筆者なのです。だから、そこでのサッカー観戦は、いつも楽しみにしている。
こぢんまりとしたサイズのスタジアム。グラウンドが近く、見やすいこともあって、スタンドとグラウンドの「一体感」も特筆。そこには、わたしがドイツへ留学していた当時の、一昔前の「ほのぼのとした、オラが村のスタジアム」という雰囲気があふれているのですよ。もちろん、近代的なサッカー専用のビッグサイズ埼玉スタジアムも、それは、それでいいけれどネ・・。
ということで、二試合をハシゴ観戦したけれど、基本的にそれは、わたしの脳内イメージバンクを充実させることが目的でした。だからレポートする(コラムを発表する)つもりはなかったけれど、ちょっとアルディージャの守備に興味が湧いたことで、それについて簡単にコラムを書くことにしました。
要は、アルディージャ守備の歯車が狂ってきている・・というテーマ。前節のサンフレッチェ戦では「7点」もブチ込まれたアルディージャ守備でしたが、今日のマリノス戦を観て、さもありなん・・と思った次第。
とにかく、後方からタテのスペースへ入り込んでいく相手選手(ボールがないところでのアクション)に付いていかず、安易に「行かせてしまう」のですよ。また、パス&ムーブでタテのスペースへ抜け出していく相手選手も、簡単に「行かせて」しまう。そんな、いい加減な守備プレーを観ながら、そりゃネ〜〜だろ・・なんて思っていた。
最終勝負シーンにおいて、瞬間的に「タテ方向のマークの受け渡しをする」なんて、世界トップチームだって無理だよ。案の定、繰り返し、背後のスペースを攻略されてしまうアルディージャ守備ブロックなのです。要は、自軍ゴール前で、マリノス選手に、ある程度フリーでボールを持たれてしまうということです。そりゃそうだ。何せ、マークが甘すぎるんだから・・
「前節のサンフレッチェ対アルディージャ戦のビデオで、アルディージャ守備が、(パスとフリーランニングによって!?)何度もウラのスペースを攻略されているシーンを観察していたんですよ・・だから我々も、そのイメージで攻め込んでいこうと話し合ったというわけです・・」
マリノス木村浩吉監督が、そんなニュアンスのことを言っていた。
アルディージャ守備ブロックは、互いのポジションバランス「ばかり」を気にし過ぎているということだろうね。優れたディフェンスでは、互いのポジショニングのバランス調整(バランシング)と、バランスの取れたゾーン守備ポジショニングを「ブレイク」してマンマークへ移行するという『切り替えプロセス』の繰り返しが基本なのですよ。
ただアルディージャ守備では、タテへの抜け出しフリーランに対し、バランスを「ブレイク」してマンマークへ移行するというプロセスが緩慢に過ぎる。これじゃ、簡単に「ウラのスペース」を攻略されてしまうのも道理だよね。
そう・・マリノスの高質な組織パスプレーに翻弄され、何度も、ボールのないところで勝負を決められてしまうアルディージャ守備・・ってな具合。
そこで、張監督に聞いてみた。「互いのポジショニングのバランスを気にしすぎているせいか、肝心なところでマークを外されてフリーでスペースへ走り込まれてしまう(そしてそこにタテパスを通されてしまう)シーンが頻発したと思う・・要は、マリノスに簡単にウラを取られてしまったということですが・・そのことについて(私の見方について)コメントをいただけませんか?」
張監督は、そんな私のネガティブな質問に対しても真摯に答えてくれましたよ。
「昨シーズンは、守備が不安定だった・・今年は、それを克服するために、前線から(互いに連動するように)プレスをかけつづけるという守備プレーにトライしはじめた・・第七節あたりまでは藤田、石原、市川など、メンバーが揃っていたこともあって、前戦からの守備が(チェイス&チェックと、それに連動した周りのボール奪取勝負プレーなどなどが)うまく連動して機能していた・・要は、フォワードも含めて、前から積極的に守備に入ってくれていたことで、後ろも連動できたということ・・でも今は、ケガなどで、一人、また一人と抜けていくことで、守備の連動性に問題が生じていると思う・・今日のゲームでも、連動していないから穴が開いたと思う・・」
まあ・・そういうことなんだろうね。そしてそこには大事なキーワードがあった。前からの連動プレッシング守備(ボール奪取勝負)・・
アルディージャ選手は、そんな「前からの」積極的なボール奪取勝負をイメージしているから、相手ペースになって受け身に立ったときにやらなければならない忠実なディフェンスプレーが、うまく出てこなくなったということなのかな?
前からのプレッシング守備によって、相手の攻撃を「前」で抑制できているうちは、タテパスも簡単には出てこないだろうから問題は顕在化しない。相手は、続けざまにプレッシャーを仕掛けられることで(囲い込み協力プレスによって!)簡単にはタテパスを出せないということです。
でも一度、前戦からのプレスがうまく機能しなくなったら、さあ大変。余裕をもって前を向いた相手(仕掛けの起点)から、どんどんタテパスが送り込まれることで(スムーズに、タテ方向にダイレクトパスをつながれることで)深さのあるボールの動きを展開されてしまうでしょう。
そして、効果的なタテパスが出てくることで(モティベーションがアップすることで!)三人目、四人目の相手選手が後方から飛び出していく頻度もアップする。そして、「タテ方向のフリーランニング」にアルディージャ守備ブロックが対応できず、ウラのスペースを攻略されてしまうというわけです。
とはいっても、そのような状況でも、タテ方向もしっかりとカバーするような忠実マンマークが機能したら、問題は大きくならないものです。でもこの試合でのアルディージャ守備は(サンフレッチェ戦でも!?)そんな緊急事態であるにもかかわらず前でボール奪取勝負を展開するというイメージに凝り固まっていた!? フムフム・・
とにかくアルディージャは、守備の「プレーイメージ」を、もう一度しっかりと調整し(プレーの連動イメージを再確認し)徹底させる作業に全力を傾注しなければいけません。それがなければ、取り返しのつかない事態に陥ってしまうかも・・
ということで、彼らのディフェンスが、これからどのように変化していくのか(改善・調整されていくのか)というテーマに興味がわきはじめている筆者でした。
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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