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- 2009_なでしこ国際試合・・素晴らしい組織サッカーを展開した、なでしこ・・でも・・(ドイツvs日本, 0-0)・・(2009年7月30日、木曜日)
- 「そうなんですよ・・日本では、アレでも通用しちゃうんですよ・・だから(世界基準から見たら)どうしても甘くなってしまう・・世界との対戦で、そのことを体感して欲しいと思っていたから、彼女たちにとっても、よい機会だったと思います・・」
佐々木則夫監督に代わって、今回のドイツ&フランス遠征(各国代表チームとの対戦が組まれている!)の指揮を執る「望月聡」コーチが、オフィシャル記者会見の後で、私の質問に、そう真摯に答えてくれました。
ヨーロッパでは、公式記者会見に両チーム監督が同席するのが普通なのですよ。それに望月コーチの通訳をするドイツ人の方は、どうもそんなに日本語が流暢(りゅうちょう)ではないご様子。ということで、公式会見が終わってから、望月コーチに、我々との立ち話(囲み取材)をお願いした次第。
あっと・・。ホントに、ご無沙汰してしまいました。もう10日以上もHPをアップしていなかった。
先週からドイツにきているのですが、友人のドイツ人コーチや、プライベートの友人たち、また知り合いの日本人の方々と旧交を温め、この数日間は(昨日まで)ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟が主催する国際会議に参加していました。
そこでは、スポーツ(サッカー)を介して社会の(文化的な)豊かさを充実させ深化させようとしているドイツ政治家とのディスカッションや、「パーソナリティー」というメインテーマを底流にディスカッションが深められた今回の国際会議の内容など、とても興味深いテーマが山積みだった。
でも私は、実際にコラムをアップするところまで(心理)エネルギーを高揚させられず・・という体たらくだったのですよ。まあ、久しぶりのドイツということで、リラックスし過ぎたのかもしれない。ホント、面目ありません。とにかく、それらのテーマについては、追い追いコラムに「落として」いくつもりですので・・
ハナシを、ドイツ対日本のエキサイティングマッチに戻しましょう。
国際会議が開催されたのは、プフォルツハイムという、バーデンヴュルテンベルク州にある小さな町(シュツットガルトの近くですネ)。そして、そこから100キロと離れていないマンハイムという町のスタジアムで、国際会議が終了した数時間後に(1600時キックオフ)ドイツ対日本の国際試合が行われたというわけです。
中途半端なキックオフ時間。それもウイークデイ。でもスタジアムには、女子サッカーの社会的ポジション(注目度)のアップに対応して、かなりの観客が集まった(先日、ドイツが「6-0」という大勝を収めたオランダ戦では、週末のナイターということもあって3万人近くの観客が詰めかけた!)。また来週には、ロシアとの親善試合も予定されている。
それらの試合は、8月の末からフィンランドではじまる「女子のヨーロッパ選手権」に臨むドイツ代表にとって、とても大切な準備試合というわけです。あっと・・キックオフ時間。それは、ヨーロッパ選手権のキックオフが「1600時」に集中しているということで、そのイメージ的な準備だったということでした。
実のところ私は、日本のテレビ放送に合わせたキックオフ(日本では夜中の2300時)だと思っていたのですよ。でも・・まあ・・よく考えてみたら、そんなことはあり得ないよな・・と思い直し、主催のドイツサッカー協会の役員に聞いてみたという訳です。あははっ・・
それでも、ドイツにしても、フランスにしても、この重要な時期に、準備の総仕上げマッチの相手として(その一つとして)日本を選んだという事実は重い。
「日本は、とても良いチーム・・テクニカルだし、特に組織コンビネーションが素晴らしい・・日本とのゲームは、我々の準備にとって、とても大事なモノになると考えていた・・そして予想通り、日本はとても良いサッカーを魅せてくれたし、我々に、様々な課題を抽出するチャンスをくれた・・その課題に取り組むことは、ヨーロッパ選手権に臨む我々にとって重要な意味を持つはずだ・・」
(北京オリンピックで対戦した)ドイツ女子代表の「ジルビア・ナイト女史」がテレビのインタビューで、そんなコメントを残していた(もちろん公式記者会見でも同様のニュアンスのコメントをしていた)。
そう、ゲーム全体を通して、日本は、とても優れた組織サッカーを魅せたのですよ。
たしかに立ち上がりの数分は、ドイツのパワフルなプレッシングと、タテへのスピーディーな(パワフルでシンプルな=そのイメージで統一されているからこそ抜群に危険な!)仕掛けにタジタジだったけれど、15分も経たないうちに、日本がいつもの組織サッカーを展開できるようになっていくのです。
そのベースアップの絶対的なバックボーンは、言うまでもなく、組織的なプレッシング守備。それがうまく機能したからこそ、次の攻撃にも人数を掛けていけた・・だからこそ、(パワフルでスピーディーな)相手とのフィジカル接触を避けられるような、人やボールの活発な動きを演出できた・・。
そして徐々に、そんな日本の組織プレーに振り回され気味になったドイツチームの足が止まり気味になっていく。まあ、それには、ものすごく暑かったこともあるよな。湿度は低いけれど、気温が34度を超えていたんだからネ。
こうなったら、もう日本の独壇場。(人が動きつづけるなかで)小気味よくボールが動きつづけ、気持ちよくスペースを陥れていくのですよ。そんな「なでしこ」のプレーを観ながら、昨年2月に中国で行われた「東アジア選手権」を制した日本女子代表の圧倒的なスーパー組織サッカーに思いを馳せていた筆者なのでした。でもネ・・
でも、結局は、最後のところで、ドイツ守備に抑えられてしまうのです。ドイツの最終ラインは、とても強かったし、一度コンビネーションで置き去りにされても、強烈な意志で追いかけ、追いつき、強烈なタックルでボールを奪い返してしまうドイツのパワフルな女子選手たちなのです。
ニュアンス的には、こんな感じですかネ・・スパッ、スパッと、コンビネーションパスを連携させるなかで、大柄なドイツ選手を振り回し、ウラスペースを攻略していく日本代表・・でも、最後のところの競り合いでは、ことごとくドイツ守備に抑え切られてしまう・・決定的なフリーランニングが甘い(ドイツの忠実マークを振り切れない!)・・決定的な段階でのパス出しも甘い(ドイツの忠実でパワフルなチェイス&チェックが機能する)・・また良いカタチでボールを持っても、一対一のドリブル勝負では、どうしてもドイツ守備を切り裂けない(それでも、大野忍や安藤梢、また宇津木瑠美などは、とても魅力的で効果的なドリブル勝負を魅せていたけれどネ)・・
そして、冒頭の望月聡コーチのコメントを引き出した私の質問につながるテーマに入るわけです。
要は、全体的には、攻守にわたる日本の優れた組織プレーによってゲームを支配されているドイツだけれど、一度カウンターに入ったら、強烈にスピーディーでパワフルなチャンスメイクを魅せつづけるということです。
「たしかに流れのなかでは日本がゲームを支配していたけれど、決定的チャンスの量と質では、明らかにドイツに軍配が上がると思う(そのことはドイツ人ジャーナリストとも意見が一致していた)・・そのほとんどは、日本の守備ブロックのミスが原因だった・・一発ロングパスの対応が甘くて抜け出されたり、考えられないところで相手のボールを奪い返されたり、単純なミスパスでボールを失ってしまったり・・」
それが望月コーチに対する質問の骨子だったけれど、ホントに(特に最終ラインに)単純なミスが多すぎたのですよ。
単純なロングボールの処理を誤って(一度などとは、バウンドしたボールがアタマを越えてしまった!)ドイツにボールを渡してしまったり(2-3回はあったよね・・それが原因の、パー直撃弾も含めた決定的フリーシュートを何度も浴びた!)、守備ブロックのなかで(安易に!?)キープしているボールをパワフルなタックルで奪われて「4対2」の決定的ピンチを日本ゴール前の決定的ゾーンで作られちゃったり(奇跡的な日本GKのセービングで命拾い!)、安易なアタックをかわされて(逆サイドでフリーになっていたドイツ選手に)シンプルなラストパスを決められちゃったり(右ポスト直撃の強烈なシュートを打たれた!)。フ〜〜・・
とにかく日本代表は、GKの海掘あゆみが魅せつづけた堅実なゴールキーピングに感謝しなければいけない。彼女がセーブした「失点」は、少なくとも3つはあったからね。
ところで、冒頭で紹介した望月コーチの発言だけれど、その骨子は、日本では(アジアでは)通用するプレーが、世界を相手にしたら通用せず、それが命取りになるということを選手たちは体感しなければならない・・その意味で、この試合は、とても重要な学習機会になった・・ということですかネ。
そのことに合わせ、望月コーチは、こんなことも言っていた。
「たしかに(ドメスティックサッカーに慣れきっていることが原因の!?)甘さもあったとは思いますが、同時に、ドイツに対してレスペクトし過ぎているという側面もあったと思うんですよ・・要は、自分たちが、ドイツに対して弱いという思いこみのことです・・たしかにドイツは強いですよね・・絶対的なスピードやパワーで対抗できないという側面もあるわけですよ・・でも、だからといって、萎縮してしまったら、もっと差が広がってしまうし、自分たちの実力を存分に発揮できませんよね・・そんなコンプレックスを克服することも今回の重要のテーマなのです・・」
後半のドイツだけれど、フレッシュな選手を投入したこともあって、ゲームの流れは好転していきました(その立ち上がりには、強烈なミドルシュートが日本ゴールのバーを直撃した!)。たしかに、ボールの支配率では日本が上回ってはいたけれど、チャンスの量と質に関しては(たしかに日本も数回、バー直撃弾も含めてチャンスは作り出したけれど)やはりドイツに軍配を上げざるを得ないのですよ。
全体としては(私のなかでは)「いくらゲームを支配していても・・」といったニュアンスを含む印象が残ったけれど、それでも、澤、宮間、坂口、荒川といった主力組を欠いたチームとしては(世界トップに君臨するドイツを相手に)満足のいくサッカーを魅せてくれたことは確かな事実でした。コラムの内容とはちょっと矛盾するかもしれないけれど、私は、この「なでしこジャパン」を心から誇りに感じていました。これ・・ホント・・
「勝てなかったことは残念・・でも、二年後のワールドカップで、ドイツと対等に渡り合えるという体感は得ることができたと思う・・また選手には、外国でプレーする主力組を蹴落とすくらいの意志をもってプレーして欲しいと伝えた・・」
望月コーチは、そんなニュアンスのことも言っていたよね。フムフム・・
ドイツを凌駕する(!?)組織サッカー。そのことは、ドイツ人ジャーナリスト連中や、この試合を観戦したドイツ人ファンも、完全にアグリーしていたと思う。誰もが、口々に、「日本の方が良いサッカーだった・・日本の方が強かった・・」という声を掛けてくれたし、望月コーチと立ち話をしている「我々」の周りを取り囲んでいたドイツ人ファンも、望月コーチのサインをねだっていた。
写真はそのときの一枚。望月コーチが子供に取り囲まれている。そのことからも、いかに「なでしこジャパン」が魅力的なサッカーを展開したかが、うかがい知れるじゃありませんか。何といっても、子供は正直だからね。
ところで、望月コーチと立ち話をしていた「我々」というクダリ。実は、この試合は、友人のサッカーコーチで、ドイツのフライブルク在住の中野吉之伴(きちのすけ)さんと一緒に観戦していたのです。
なかなか鋭い視点の(優秀な!?)サッカーコーチ。わたしは現場での仕事ぶりは見たことないけれど(いまでも、フライブルクのクラブでユースのコーチをつづけている)優秀に違いないと思っているわけです。
とにかくテーマ設定がハイレベルだし、それをベースにしたコーチングの現場で起きたこと、体感したことをメールで報告してくれる文章の活き活きしていること。誠実さと、インテリジェンスと謙虚さに支えられた優れた学習能力。それだけでも、彼の確かな将来性がうかがえるというモノです。
彼は、2001年の4月にドイツへ渡り、それから3年かけて(わたしの時代にはなかった)C級ライセンスを取得し、2007年にはB級ライセンスに合格しました。そして、つい一週間前の2009年7月23日に「A級ライセンス」にも合格したのです。これは素晴らしい快挙です。いまのA級ライセンスは、とてもハイレベルで、ドイツ人でも合格するのは難しいからね。もちろん彼は、その間もずっと、フライブルクの二つのクラブでユースチームのコーチとして経験を積んでいます。
そのこともあって、「それじゃ、合格祝いも兼ねて、一緒に観戦しよう・・」ということになったというわけです。
彼と知り合ったキッカケ・・。いつだったか、正確に日付は覚えていないけれど、「是非一度お会いしたいのですが・・」といった(もちろん深いサッカー哲学的なことも含む)内容の真摯な手紙を受け取り、その数ヶ月後に、ドイツのフランクフルト空港で会ったのが最初だったですかネ。
実は、そんなに期待していたわけではなかったのですが、話してみて、その誠実さや学習能力の高さに感銘を受けたことを覚えています。もちろん彼は、頂点のプロコーチライセンスを目指しているし、彼ならば・・という期待が高まります。
ミュンヘンの長澤好高さん(彼については、この「コラム」を参照してください)も含め、これからの日本サッカーを担っていけるだけのバックボーンを秘めた人材は育っているということだろうね。後は、「受け皿」としての日本サッカー界の(様々な意味合いを内包する)キャパシティーの進化と深化が望まれる・・ということですかね。
もう夜中の2時をまわってしまった。長い、長〜〜い(冗長な!?)コラムになってしまったから、もう、まったく、読み返す元気がありません。変な内容や言い回し、誤字・脱字のオンパレードだろうな〜〜。でも、まあいいや、取り敢えずアップして寝ようっと・・。
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ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。
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ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。
基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。
いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。
蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。
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