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2009_中村俊輔_さて、ポジティブなイメチェンを魅せはじめた・・(2009年12月3日、木曜日)

さて、久しぶりの中村俊輔コラム。相手は、強豪のアトレチコ・マドリーでっせ。前回のコラムで書いたことに対し、明確な「意志の変化の兆し」が感じられたのでアップすることにしました。

 中村俊輔・・良かったですよ、とても。まあ、ゲームは、ホームゲームを戦うアトレチコに「4-0」で粉砕されちゃったけれど、彼自身は、(基本的なポジショニングのイメージが中央寄りに=より自由に=なったということも含めて!)攻守にわたって、存在感を大きくアップさせたと思います。

 何が良かったか・・。まあ、守備での忠実汗かきプレーや、テクニカルなボール奪取シーンは置いておいて、ここでは攻撃プレーに向けましょう。まず、ボールにタッチする回数が増えた・・そして、一つの仕掛けの流れに乗りつづけるカタチで何度か「起点・基点」になれていた・・そして、俊輔自身が「勝負プレーに入っていく回数」も増えた・・

 ボールにタッチする回数が増えたという現象だけれど、それは、日頃のトレーニングでの中村俊輔の「プレーぶり」がバックボーンだよね。ボールがないところでの動きの量と質が高揚しただけではなく、一つひとつのボールに触ったときのプレーに、前への積極性が出てきたということを仲間が明確に感じはじめたということでしょう。

 要は、仲間が、ヤツにボールを預ければ、良いカタチ(展開)になることが多い・・と認識しはじめたということです。だからこそ、「中村俊輔を捜してボールを預ける」という現象が増えてきた。それは、とても大切なことです。

 これまでは、誰もが中村俊輔の「巧さ・上手さ」は認めていたけれど、どうも「安全志向」の展開パスが多いという印象を持たれていた・・。要は、中村俊輔のプレーに「攻撃性」が足りないと思われていたということです。そう、リスクチャレンジ姿勢が足りない・・。周りは、オレが仕掛けてやる!という積極マインドのチームメイトばかりだからね。

 そんなイメージが、中村俊輔自身が(ここ数週間で)表明していたとおり、より積極的に「仕掛けていく意志」が明確にアップしたことで、チーム内で彼に期待する「コンテンツの幅」が大きく広がったということだよね。

 実際、中村俊輔のプレーぶりからは、(エスパニョールの、チームとしての攻撃イメージや仕掛けリズムに合わせるように!?)彼の「意志」がより攻撃的になったと感じた。

 日本代表の場合は、とにかく人とボールを動かしつづけることでスペースを突いていくというイメージだよね。だから、中村俊輔がパスを出しても、多くのケースで、再び彼にボールが戻ってくるし、そこから最終勝負を繰り出していける。

 でもエスパニョールでは、仕掛けの流れに入っていくリズムが「より早く直接的」といった感じがする。もちろん、相手守備ブロックが整ってしまう前に仕掛けていくというイメージだろうから、それはそれで正解の部分も多いわけだけれどネ。

 とにかく、チーム全体が、そんな「仕掛けリズム・イメージ」で統一されているのは確かなことだし、「それ」に乗っていかなければ、どんどんと「置いてけぼり」を喰らってしまう。だから中村俊輔も、自分自身の(仕掛けの流れに入っていく)プレーリズムのイメージを調整したということでしょう。まあ(後半には守備的なハーフの仕事もこなしたことも含めて・・)そんなふうに柔軟にプレーイメージを調整できることも、彼の能力の高さの証明ということだけれど・・

 とにかく、自分自身のなかでの「イメチェン」を、グラウンドの現象として実効を発揮させはじめた中村俊輔に期待しましょう。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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