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2009_「J2」_第12節・・とても「興味深い」エキサイティングマッチだった・・(ベルマーレvsセレッソ, 1-0)・・(2009年5月2日、土曜日)

ここは、レッズ対アルビレックスの「J1マッチ」が行われる埼玉スタジアム。

 いまスタンドの記者席に到着したのですが、コラムを書きはじめる前にまずは腹ごしらえということで、埼スタ名物のカレーと(ちょっとカロリーが足りないかも・・ということで)プチケーキのセットも仕入れました。フ〜〜、満足。

 その間、何人もの赤い観客の方々から挨拶された。「どうも今日は・・」「お互い、とことんサッカーを楽しみましょうネ・・」「いまレッズは大変な上昇気流に乗っているから、観ていて楽しいですよね・・他のチームのファンにとっては羨ましい限りだろうけれど・・」などなど。

 でも、にこやかにコミュニケーションを取りながらも、自分の表情が憔悴しきっているに違いないと思っていた。何せ、平塚競技場から埼玉スタジアムまでの道中は、まさに地獄の大渋滞でしたからね。

 相模川をわたり、茅ヶ崎と藤沢のバイパスを抜けるまでは快調だったのですがネ〜〜。そこから横浜新道に至るまでの国道一号線が大渋滞・・第三京浜を降りてから首都高(用賀)までの環状八号線が大渋滞・・そして首都高速が大渋滞・・フ〜〜。

 ゴールデンウィークということもあって、ドライバーの多くは、休日にしかハンドルを握らない方々だったに違いありません。こちらは、注意深くクルマの脇をすり抜けていくのですが(スミマセンね・・厳密にいったら道路交通法違反なのかも・・)たまに、後方を確認せずに、急に車線を変える人がいたり、前の状況を確認しようと(!?)私の進路にクルマを「寄せてくる」人もいる。フ〜〜・・

 結局は、危ないと感じる「冷や汗シーン」は皆無だったけれど、それでも想像を絶するくらい『気』を遣ったから本当に疲れた。危険なシチュエーションを「予測して事前に回避する」ことに心理エネルギー(集中力)を使い果たした!?

 埼玉スタジアムの駐車場に単車を止めたとき、身体のエネルギーレベルが大きく落ち込んでいるのを体感しましたよ。あ〜〜あっ、オレ「も」もう若くないんだよナ〜〜・・そうだよね、大住さん、後藤さん・・あははっ・・

 そうそう・・危険な状況を、予測ベースで回避する能力。自慢じゃありませんが、40年間もライダーをやっていると、危険なシーンが、自然に(そして瞬間的に)脳裏に浮かぶようになるのですよ。要はアンティシペーション(anticipation=予測・予知能力)。まあ、長年の経験ベースのイメージ描写力ってなことですかネ・・あははっ。

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 あっと、またまた前段が長くなってしまった。さて、ベルマーレ対セレッソ。なかなか面白いコンテンツが詰め込まれていた。

 「展開的にいったら、西の横綱(セレッソ)が攻めつづけ、東の前頭(ベルマーレ)が、のど輪とか張り手を駆使して土俵際で踏ん張った・・ってな感じですかネ」

 ホント、反町監督は、いろいろとシャベリの表現も考えているだね。なかなかの努力家・・!? でもまあ、欲を言ったら、こんな締め「も」あったかもネ。「のど輪とか張り手を繰り出していたら、ちょっとよろけた西の横綱の足が土俵から滑り出してしまった・・」なんてネ、あははっ。

 冗談はさておき、ゲーム展開については「表面的には」反町さんの相撲的な比喩が当を得ている部分があるかもしれないけれど、実際のゲーム内容的なニュアンスには「もっと深いモノ」があったと思っている筆者なのです。

 個のチカラの単純総計としては、たしかにセレッソに一日以上の長がある。チアーゴ、マルチネス、カイオで構成する「センターゾーンを貫くシャフト(軸)」に、乾貴士、香川真司という才能あふれるサイドアタッカーが絡むだけじゃなく、6番のスーパーテクニシャン(スーパーなリンクマン)濱田武や、両サイドバックコンビ(酒本憲幸と石神直哉)等が、チャンスを見計らって、どんどん前戦の仕掛けプロセスに絡んでいく。

 やはり地力では「J2」屈指のセレッソといったところ。西の横綱・・!? まあ、たしかにそうだネ。でも、あれだけゲームを支配されていたにもかかわらず、ベルマーレがたまに繰り出す(カウンター気味の仕掛けも含めた)攻撃には、本格的な「勢い」が乗っていたのも確かな事実だったと思うのですよ。

 要は、彼らの攻めに、どうせ途中でボールを失っちゃうから・・なんていう中途半端な(ぬるま湯の)マインドなど、これっぽっちもなかったということです。彼らの攻めには、強い、本当に強い「意志」を感じた。その強烈な意志が、攻守にわたって、最後の一滴まで絞り出すような全力ダッシュに集約されていたというわけです。

 ・・だからこそ、三人目、四人目のフリーランニングにも本格的な勢いがあった・・だからこそ、ボールホルダーも勇気をもってギリギリの勝負プレーを繰り出していけた・・だからこそ、セレッソ守備ブロックも、ある恐怖心をもってベルマーレの攻撃に対処せざるを得なくなっていた・・そして、だからこそ、カウンターからの素晴らしい決勝ゴールが生まれた・・

 言いたかったことは、こんな感じ。

 ・・たしかにセレッソの方がチカラが上で、全体的にはゲームを支配した・・そして前半では、何度か、ベルマーレ守備を振り回して決定的スペースを突き、決定的チャンスを作り出した・・そのうちの2本は、本当に決定的ピンチになった(前半の内容だけからすれば、実質的には2-1でセレッソがリードしていてもおかしくなかった!)・・

 ただ後半は、ベルマーレの守備での「意志」が格段にアップしたと感じた。前半では振り回されたセレッソの攻めが、あるゾーンで完璧に「止められる」ようになったのですよ。守備の起点を演出するチェイス&チェックと、インターセプトや(相手トラップの瞬間を狙った)ボール奪取アタック狙い、協力プレス、遠いサイドでのマーキングといった「守備の起点」の周りで展開される守備プレーが、うまく有機的に連鎖するのです。

 要は、ベルマーレの守備が、受け身で消極的な「リアクション的ディフェンス」ではなく、積極的にボールを奪い返しにいくようなダイナミズム(=意志)にあふれているということです。だからこそ攻撃にも勢いが乗る・・。あっ、それはもう書いたっけ。

 守りを固めてワンチャンスのカウンターを仕掛けていく「後ろ向き」のサッカーだ・・。反町康治ベルマーレに対する、そんなネガティブな風評は、正しくないね。彼らは、立派な「前向きサッカー」を展開しているよ。

 反町康治監督は、こんなことも言っていた。

 「努力すれば結果がついてくるということをチーム全体が体感しはじめたと思う・・トレーニングに真摯に取り組むなど、選手たちの意欲的な姿勢も感じられる・・それが、全体的な底上げの原動力になっている」

 ベルマーレは、これからもっと良くなると思いますよ。それにしても反町康治監督は「楽しそう」に仕事をしている。「そのこと」のコノテーション(言外に含蓄される意味合い)は、非常に広く、そして深い。そして「そのこと」こそが、良い結果を生み出す「原動力」なのです。

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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