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2009_UCL・・長谷部のヴォルフスは残念だったけれど(別途レポート予定)ドイツ2チームが決勝トーナメント進出・・(2009年12月10日、木曜日)

ホント・・すごかったネ〜〜、バイエルン(ミュンヘン)。まあ、私が観たなかでは、今シーズン最高の(組織)サッカーを展開していたと思いますよ。

 何せ、ユーヴェントスのホームスタジアムでのアウェーゲームだったわけだからね。それも、終わってみれば、「4-1」というスコアもさることながら、シュート数が、全体で「22対7」、枠内シュート数で「8対2」、ボール支配率が「59%対41%」、またコーナーキックの数も「11対2」といった具合に、内容的にもバイエルンが圧倒したことは一目瞭然。フムフム・・

 まあ、ユーヴェが悪すぎたという見方もできるけれど、その背景には、今シーズン、ヴェルダー・ブレーメンからユーヴェントスへ移籍してきた「ディエゴ」という諸刃の剣も、物理的、心理的に大きく関与していたという事実もありそうだね。

 要は、ユーヴェが、チャンスメイカーのディエゴにボールを集めようとすればするほど、彼を完璧に封殺するというイメージのバイエルンが仕掛けるゲーム戦術にはまり込んでいったということです。まあ(ブレーメンに所属していた)ディエゴのプレーのクセなどは、バイエルン選手もよく知っているわけだからネ。

 それにしても、このところのバイエルン・ミュンヘンは、やっと、調子が上向きつつあると感じます。その、もっとも大事なバックボーンは、冒頭で示唆したように、チームとして(組織として)まとまったからに他なりません。この試合で魅せた、攻守にわたる全員のシンプル&全力の汗かきプレーは、まさに見所満載でした。

 そこには、リベリーも、ロッベンも、ルカ・トーニも、クローゼも・・も、いない。フムフム・・

 新任監督のオランダ人プロコーチ、ファン・ハール。当初は、うまくサッカー内容を高揚させられず、大変苦労していた。一時期は、ロッベンという天才の個人プレーによって、少しは持ち直した感もあったけれど、やっぱり根本的な「病巣」は断ち切れていなかった。

 それが、ルカ・トーニやクローゼをベンチに座らせるという荒療治(いや・・正しい選択!?)を敢行しただけじゃなく、天才リベリー&ロッベンがケガなどでチームを離れたこともうまく活用して(!?)チームが組織プレーに目覚めるキッカケにした・・!?

 ファン・ハールは、元来、天才連中を、攻守にわたる組織プレーに「も」精進させることに長けたプロコーチという評価がベースだからね。まあ、天才のケガ離脱などの緊急事態をうまく活用したということでしょう。脅威と機会は表裏一体・・。そこでは、ファン・ハールのウデが存分に発揮された。でも・・

 そうそう、リベリーやロッベンが復帰してくる「ここから」が、正念場だね。でも、リベリーにしてもロッベンにしても、ルカ・トーニやクローゼにしても、この試合でバイエルンが魅せた「スーパー組織サッカー」は、ちょっとしたショッキング現象だったはずだよね。

 チームは生き物。やっと、ファン・ハールが、自分がリードするカタチでの(本当の意味で自分が主導する)チームマネージメントを押し進めていけるようになったということだけれど、それぞれの「生き物」がこだわる、それぞれの意志を、どのように、組織プレーと個人プレーが、うまく高みでバランスしたサッカーへと収斂させていくのか・・。これからのファン・ハールの心理マネージャーとしてのウデに興味が湧きます。

 とにかく、私は、バイエルン・ミュンヘンに対して、究極の「組織と個のバランス」を期待するわけです。個の才能は十分。ただ、まだまだ「組織マインド」が徹底されていなかった・・だから、全体としてうまく機能していなかった・・それが、「組織」が機能すれば、サッカー内容が大きく飛翔することを天才連中にも強烈にデモンストレーションできた・・さて・・

 そのプロセスでは、外国人として初めて、バイエルン・ミュンヘンのキャプテンマークを巻くことになったオランダ代表の(現オランダ代表監督ファン・マール・ヴァイクに説得されて最近復帰!)ファン・ボメルの存在が大きいよね。プレーの量と質だけじゃなく、素晴らしいリーダーシップも兼ね備えるスーパーサッカー人。ファン・ハールにとっては、まさに、グラウンド上の理想的パートナー(=グラウンド上のエクステンションハンド)ということでしょう。

 また、ドイツ代表で、ファン・ボメルの守備的ハーフパートナーでもあるシュヴァインシュタイガーも、とても素晴らしいプレーを披露するようになっている。

 彼が何度もチャレンジした危険な中距離シュート。 それがあったからこそ、ユーヴェ守備ブロックが開かざるを得なくなり、バイエルンの組織プレーの可能性が広がった。

 ハナシは飛ぶけれど、そのこと(中距離シュートへの積極的なトライ)は、日本代表にとって、アジアを闘う際の(もちろんワールドカップ本大会でも!)重要なヒントになるよね。そう・・日本代表のなかで最も中距離シュートが上手い中村俊輔に、もっともっとチャレンジして欲しいと思う訳なのです。フムフム・・

 ということで、シュツットガルト。この6日(日曜日)に着任したばかりのクリスティアン・グロス監督のもと、これまた、素晴らしい積極サッカーでルーマニアのウルジチェニを圧倒してしまった。何せ、開始11分で三点もブチ込んでしまったんだからね。その後も、何度もチャンスを作り出すなど、内容的にも、今後のシュツットガルトの復活を予感させてくれた。

 クリスティアン・グロス監督は、アントラーズに復帰した中田浩二が所属していたスイスのバーゼルで長いこと監督をしていた。何度もスイスリーグで優勝し、そこからチャンピオンズリーグへ参加するなど、とても素晴らしい成果を挙げているプロコーチ。わたしも、コーチ国際会議で、何度か話したことがある。なかなかのパーソナリティーですよ。

 彼が、チームに対してどんな「刺激」を与えたのかは分からないけれど、この試合では、まさにイメチェンのダイナミックサッカーを展開したよね。その現象は、サッカーが究極の心理ボールゲームであるという事実を如実に示していた。

 簡単だけれど、これからミーティングが始まるので、今はここまでにさせていただきます。後から、長谷部のゲームも(ヴォルフスブルク対マンU)レポートする予定です。では・・

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 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

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 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 




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